2017.8.10 更新

交通事故でむちうちに……症状固定と慰謝料の関係性とは?

交通事故による慰謝料とは、もちろん精神的苦痛に対する慰謝料もありますが怪我による通院、入院費、治療の諸費用、仕事の休業損害など色々な意味を含んでいます。交通事故による身体的ダメージの中でも代表的なものが「むちうち」ですが、その症状がもう改善されない状態になった時期と慰謝料の種類や金額には実は相関関係があるのです。では、症状固定とはどのようなものか、症状固定までの期間と慰謝料の関係、弁護士の頼む際の注意点などを考えてみましょう。

症状固定とは

「症状固定」とは、医学的な意味と法律的な意味があります。医学的な意味での症状固定とは「それ以上の治療を継続しても症状が改善することが望めないとき」とされています。

たとえば、むちうちの治療を行った際に一時的に症状が良くなってもまたすぐ元に戻ってしまい、それを繰り返している状況において一般的には「症状固定した」とみなされます。

法的な意味での「症状固定」とは、症状固定の前後で加害者側が支払う賠償金などの費用の種類が変わってくるということです。症状固定より前は「傷害部分」に対しての加害者側の負担(治療費、休業損害、入通院慰謝料)が支払われますが、症状固定の後は「後遺障害部分」として、後遺障害等級に応じた損害賠償(後遺障害慰謝料や介護費)扱いにすることになっています。

これはいつまでも加害者に治療費を負担させるのではなく、区切りをつけて、それ以降の症状については後遺障害としての慰謝料等に切り替え、早期の解決を目指すという趣旨なのです。

症状固定時期とは?誰が決める?

症状固定を判断するのはあくまでも通院先の医師です。保険会社に「最近、通院はされていますか?あまり改善されていないようであればそろそろ症状固定しましょう。」などと言われることがあります。

しかし、保険会社の提案には強制力があるわけではないため、安易にそこで同意してはなりません。いったん症状固定してしまうとその先の通院費は自費で支払わなくてはならないことになります。

保険会社側の都合でできるだけ早く症状固定させたいため、被害者側にそのような働きかけをしてくることがあるのですが、症状固定を決めるのはあくまで被害者を診察する(後遺障害診断書を作成する)「医師(主治医)」です。

たとえ保険会社からの打診があったとしても、症状固定の時期というのは賠償額の決定上、非常に重要なことですから医師と相談して決定する旨をはっきりと伝えておくべきです。なお、一般的に、被害者の多い「むちうち」の場合は平均して6ヶ月程度の通院、治療を経て症状固定となることが多いようです。ただ、これもケースによっては最高裁判所により3ヶ月程度で十分と判断されたものもあるため一概に言うことはできません。

後遺障害を受けるには?

通院治療をし続けたとしても完全に症状が治まらず、むちうちによる後遺障害に苦しむ人もいます。
後遺障害を難しく専門的に定義すると「傷病が治ったときに残存するもので、当該傷病と相当因果関係がある」
「将来においても回復が困難と見込まれる精神的または身体的な毀損状態にある」
「その存在が医学的に認められた」「労働能力の喪失を伴っている」状態とされています。

つまり一般的にいう「後遺症」があったとしても、残ってしまった症状がすべて交通事故によるものと判断されるわけではない(すべてについて慰謝料を請求できるわけではない)のです。

もし交通事故による後遺障害と認定されればその程度によって「示談金」の金額が変わってきます。後遺障害の程度の基準としては「後遺障害等級表」というものがあり、具体的な症状の例と保険金額が明確に示されています。

まず、症状固定となった時点で後遺症が残っている場合は主治医に「後遺障害診断書(自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書)」を作成してもらう必要があります。これがなければ等級の認定をすることはできず、この診断書に書かれた内容が「医療的証拠(医証)」となります。その後に上記の後遺障害等級表でどこに該当するかという認定をしますが、等級認定は主治医がするのではなく「損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)」という専門的組織があり、そちらで行っています。

ただ、(顔の醜状痕などを除き)この組織と直接面談をするわけではなく、等級認定は書面での審査となるため上記診断書が大変重要になってくるのです。 後遺障害診断書に適切な記載をしておかなければ、本来認定されるべき後遺障害が認定してもらえない可能性があります。つまり、事故直後から戦略的に動かなくては被害者側に有利な認定は得られないということです。

医師は医療のプロではあっても後遺障害診断のプロではありませんので、医師に全面的に任せきりという状態になってはいけません。被害者自身が少しでも適切かつ有利な診断書を得られるために、心がけておきたいことがあります。

まず、前提としては後遺障害診断書の作成経験がある医師に依頼することが大切です。自覚症状についてはなるべく詳細に、小さなことと思えても漏らさず医師に説明しておきましょう。そして、医師に記入してもらった後遺障害診断書をしっかり自分でもチェックし、記入漏れなどがあればすぐ質問、指摘することです。

医師にうまく自覚症状を伝えられない、必要な検査を頼みづらいなどで困っている人についてはそのような状況でのサポートをする「MC(メディカルコーディネーター)」という人がいます。これは特に資格などを保有しているわけではありませんが、弁護士と提携していることもありますので紹介してもらえる場合があります。MCが病院に同行し、医師に必要な検査を依頼してもらうことによって、より適切な後遺障害診断書を作成できることもあるのです。

賠償額の算定において症状固定日がもつ意味

上記で説明した「症状固定」とされた日がいつなのかという点は、慰謝料算定の意味から大変重要です。症状固定とされる日の前後により、加害者側が負担する慰謝料の種類が変わってくるほか、金額にも影響してくるからです。症状固定日の前であれば「傷害による損害」に対する慰謝料という位置づけになります。

交通事故により味わった苦痛、病院に通院・入院することによる精神的苦痛を鎮めるためにこれらを金銭的に評価して被害者に支払うというものです。 これに対して症状固定日の後は「後遺障害による損害」に対する慰謝料という位置づけになります。

これは、きちんと病院に通ってむちうちの治療を続けたにもかかわらず症状固定後もなお後遺障害が残ってしまった場合に、それに対する精神的苦痛に対して支払われるものです。ただ、上記のとおり、後遺障害等級表に基づいた認定を受けなければ慰謝料の支払いを受けることはできません。

症状固定と損害賠償の関係性

症状固定前に請求できる金銭としては、「治療費」「交通費・付添い看護費・入院にまつわる雑費」「休業損害」「入通院慰謝料」となります。休業損害とは、給与所得者なら交通事故によって会社を休んだ間に得られなかった賃金の分、事業者なら営業できなかったために得られなかった収入の分を補う金銭ということになります。

また、症状固定後に請求できる金銭としては、「逸失利益」「後遺障害慰謝料」「介護料」といったものになります。なお逸失利益というのは、交通事故による身体の欠損や機能の不全などが原因で今までとおりに仕事ができなくなり、その分だけ減ってしまった給与や収入のことをいいます。

このように、症状固定の前後で請求できる種類がはっきり切り分けられています。よって、むちうちの治療が一進一退しており症状固定したとみられる後で治療を続けており、その治療費を加害者側に負担させていたということになると、後で裁判所から加害者側の治療費負担分を否定されることもあります。また、症状固定の後は「休業損害」についても支払いが打ち切りとなることに注意が必要です。

症状固定までの期間が長いほど賠償額は多くなる?

上記のように、むちうち治療の目処が大体つき、症状が固定するとその前後により得られる損害賠償の種類が変わってきます。症状固定を後ろに延ばすほど賠償額は増えるのでしょうか?それは項目によっても結論が異なるのです。

たとえば、「治療費」であれば、症状固定日まで支払われるわけですからそれが後ろにずれると明らかに賠償額が多くなる項目です。ただ、上記のようにもう必要ないのに治療を続けていた場合は後からそれを否定される危険がありますので、実態に合った症状固定日にしてもらう必要があります。

また、「傷害慰謝料(入通院慰謝料)」も、症状固定日まで支払われるものですからやはり症状固定までが長ければ金額は多くなりますが、入通院期間が長くなると慰謝料の増加率が少なくなっていくことに注意が必要です。「休業損害」についても期間の経過とともに徐々に増加率が少なくなるものであり、休業した全期間について1日あたりいくらという計算で増えていくわけではありません。

通常、交通事故にあったばかりの時期はまったく働けないということもありますが、回復するにつれて労働能力は復活してくると考えられるからです。「逸失利益」は後遺障害が残った場合に得られなかった給与や収入ですから、労働能力喪失期間が長いほどその金額は増えるのですが、障害の等級が軽い場合は労働能力喪失期間を5年とされてしまうこともあります。

症状固定日には問題点も

症状固定日とはもともと慰謝料算定の見地から定められた概念ですから、医師の側としても確信を持って「何月何日で症状固定した」と決められないことも多いのが悩ましいところです。

一般的には、定期的に治療していてもむちうちによる症状が治ったり悪化したりを繰り返す状態になると症状固定とされていますが、その判断が微妙で難しいケースもあります。保険会社から医師への照会があり、その時点で患者に症状固定の打診がされることもあります。

特に、保険会社側からこれ以降は治療費が支払えないということを言い渡されると、医師の側から一方的に症状固定の宣告をされてしまうこともあります。もし患者側がまだ治療による改善の余地があると考えるのであればうやむやにせず、医師にきちんと要望を伝えることも大切です。なお、明らかに症状固定とみられる状態にあるのにむやみに引き延ばすと後で裁判所から否定され、損害賠償の金額が減額する可能性があるのは前述した通りです。

むちうち症で取れる可能性のある等級

被害者がむちうち症による後遺障害があると考える場合に取れる可能性のある等級はどのようなものでしょうか。

まず、「7級4号」です。これは「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」です。

次に「9級10号」です。これは「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」です。

次に「12級13号」です。これは「局部に頑固な神経症状を残すもの」です。

最後に「14級9号」です。これは「局部に神経症状を残すもの」です。

どの等級に認定されるかどうかは事故の態様や愁訴の一貫性、症状の経過などいくつもの項目を精査して行われます。

弁護士に相談する際の注意点

不幸にも交通事故でむちうちになった被害者が少しでも加害者側との交渉を有利に進め、多くの金額をもらうためには弁護士に相談することがより良い選択です。

たとえば裁判になった場合に自分で出廷することもできますが、加害者側は通常弁護士をつけてくるはずですから、そうなるとそれぞれが主張をする際にプロと一般人ではどちらが有利・不利なのかは最初から明らかです。

なお、弁護士を選定する際は、どのような基準で選ぶべきなのかを知っておかなくてはなりません。法律知識のない人が依頼するわけですから、弁護士側の説明がわかりやすいことは最低条件です。せっかく専門家に頼むのに相手の説明がさっぱりわからないということでは質問すらできず、結局不満な結論になってしまうこともあるからです。

また、弁護士なら誰でも交通事故に精通しているかというとそうではなく、それぞれに専門の分野があります。交通事故に関する訴訟を数多く経験していればいるほど、損害賠償額の増額交渉に関するテクニックもついているはずですので、そういった事務所を積極的に探すようにしたいものです。

最初の段階で無料相談を行っている弁護士も数多くいますので、とりあえず相談してみることが大切です。相性や説明のわかりやすさ、経験値などを確認し、依頼者にとって信頼できると感じる人に依頼することが最も満足できる結果を導くために必要なことなのです。

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