2017.9.8 更新

交通事故の慰謝料増額のために!後遺障害認定手続きの流れを知ろう!

交通事故の被害者は、治療費や交通費など多くの出費をしなければならなくなります。時には、後遺症が残って元の生活に戻れなくなることもあります。それにもかかわらず、そのすべての費用を被害者が負担するのは不公平で、できるだけ多くのお金を加害者や保険会社に請求したいと思うのはもっともです。少しでも多くのお金を請求するために、後遺症が残った精神的苦痛に対して支払われる後遺障害慰謝料について知っておきましょう。


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交通事故の後遺障害とは?

後遺障害とは後遺症の一部なので、後遺障害を定義づけるためには、まず後遺症がどんなものかを知る必要があります。

後遺症とは交通事故によって生じた症状のうち急性期症状(受傷後すぐ現れる症状)と異なり、治療を続けても良くならない機能障害や神経症状などのことで、後遺障害とは、治療を続けても完治することのない、医学的所見のある精神的・肉体的な傷害で、労働能力を喪失させる症状のことです。

つまり、交通事故後もはや良くならない神経症状が残ってしまったとしても、労働能力の喪失を伴わなければ後遺障害にはあたりません。ここにいう「労働能力」とは平均的な労働能力をいい、職種や利き腕、知識、経験などは考慮されていません。また、交通事故によって生じた障害でなければそもそも後遺症にあたらないため、たとえば、もともとお酒好きだった方が事故の1ヶ月後に膵臓ガンだと宣告されても、膵臓ガンの治療費を請求することはできません。

後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)とは?

交通事故に遭遇したら、突然の出来事に動揺し、相当の恐怖感を覚えるでしょう。大きな事故であればトラウマとなり、しばらくの間運転できなくなるかもしれません。

また、入院すれば仕事を休まなければなりませんし、せっかくの休日を費やして何度も通院しなければならないこともあります。このように交通事故に遭えば、精神的・身体的に疲弊します。このため、交通事故の被害者は加害者に対し、このような精神的・身体的苦痛を補うための慰謝料を請求することができます。

慰謝料には、医療機関への入院や通院を強いられたことによって生じた精神的苦痛に対する入通院慰謝料(傷害慰謝料)、後遺症を抱えて生きていく精神的苦痛に対する後遺症(後遺障害)慰謝料、大切な身内の命を奪われたことによる精神的苦痛に対する死亡慰謝料の3種類があります。

精神的な苦痛は人それぞれなので、一定の基準がなければ裁判所はその判断に困ってしまいます。このため、実務では入通院慰謝料は実際の入通院日数や期間を基準に、死亡慰謝料は一家の大黒柱であったか否かなどを基準に、どれくらいの額を請求できるかが決まっています。

詳しくは後述しますが、後遺症(後遺障害)慰謝料は、後遺障害等級が何級であるかによってその額がある程度決まっています。

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後遺症慰謝料で重要な症状固定とは?

後遺症と判断するには、治療を続けてもこれ以上良くなることはないと言えることが必要です。この「治療を続けても良くも悪くもならない状態」を「症状固定」と呼びます。

これ以降、薬やリハビリによって一時的に状態が良くなるものの、しばらく経つと痛みなどの症状(後遺症)が現れることになります。「症状固定」の概念は医学上のものではなく、法律分野でのみ用いられている概念です。

なぜこのような概念が認められているかというと、損害額を確定させる基準となる日が必要だからです。つまり、症状固定をもって支払額が確定し、保険会社はお金を支払います。

一方で、症状固定後に治療を行うことに意味はなく、支払額は確定しているので、このとき以降、治療費や通院交通費、看護費を請求することができなくなります。加害者や保険会社にとっては被害者が無意味に通院した分の治療費を支払わなくて良くなる一方で、被害者は交通事故の痛みを和らげるためにリハビリや薬を受けても治療費を請求できなくなってしまいます。

このため、一般的には加害者や保険会社は症状固定日を早めたいと考えており、被害者は症状固定日を遅らせたいと考えています。
症状固定日は休業損害等がいつまで発生するかを決めるものなので、「何月何日が症状固定日である」と具体的に決めなければなりません。そうでなければ、軽い事故であったにもかかわらず被害者が3年間休み続けている場合に、いつまで給料相当分を支払えばいいのかわかりません。

しかし、症状固定は医学用語ではないため、医師に「症状固定するのはいつですか?」と尋ねても「何月何日が症状固定日です」と正確に返答してもらうことはできません。また、保険会社が「そろそろ症状固定にしてください」「症状固定したので治療費を打ち切ります」と伝えてきても、症状固定となるわけではありません。

症状固定の日を決めるのは、示談する場合には被害者自身、訴訟で争われている場合には裁判所です。保険会社の申入れを受け入れて示談する場合には裁判所の判断は関係ありませんが、訴訟の場で判決が下されるとそれが症状固定日の最終決定となります。たとえ被害者が治療は必要だと考え、訴訟提起後も通院を続けていたとしても、裁判所が保険会社の申入れの日に症状固定していたと考えれば、その日以降の治療費などを請求することはできません。

この場合、被害者は不利益を受ける可能性があるので、きちんと担当医の話を聞いてさらなる治療が必要かを判断したほうが良いといえますが、示談に応じると示談金を超えるお金は請求できなくなるので、保険会社の申入れを受け入れるかどうかは慎重に決めなければなりません。

もっとも裁判所も何の根拠もなく症状固定日を決めるわけではなく、担当医師の治療の経緯や治療期間、怪我の程度などに関する意見を最も重視して、過去の判例、裁判例などを参考にして、症状固定日を決めます。症状固定日は怪我の種類によって異なりますが、実務上、大まかな目安としては、事故日の約半年後に症状固定日が訪れるといわれています。

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後遺症慰謝料の金額は等級次第

そもそも慰謝料の額は、裁判所基準、任意保険基準、自賠責保険基準のいずれによって算定するかによって大きく変わってきます。

もっとも高額になるのは弁護士に依頼した場合に適用される裁判所基準で、任意保険基準、自賠責保険基準のいずれが高額かは事案ごとに異なります。

そのうえで、後遺症慰謝料としていくら請求できるのかは等級、すなわち障害の程度によってある程度決まってきます。傷を気にする度合いは人それぞれであり、たとえば綺麗な女性であっても、おでこにできた目立たない傷が気にならない人もいれば、高齢の男性の中にも膝に残った手のひら大のアザが気になって仕方ない人もいるでしょう。

裁判所には人の心の中まではわかりませんので、判断の際に寄り添える基準が必要となります。これが「後遺障害等級」です。

もっとも、事案を柔軟に処理するため、後遺障害の等級は10種類の部位ごとに16等級142項目に細かく分類されています。後遺障害が2つ以上残った場合、それらの障害をあわせて考えて最終的に1つの等級に評価します。

この等級の中で、自賠法施行令の別表第一に規定された介護を要する後遺障害の慰謝料が最も高く、次に高いのが自賠法施行令の別表第二に規定された1級、最も低いのが自賠法施行令の別表第二に規定された14級です。

両目の失明や両足まひなど後遺症1級に該当する場合、裁判所基準であれば2,800万円、自賠責保険基準であれば1,100万円が後遺症慰謝料の一応の目安となります。最も軽いのはむちうち症や関節の痛みなどで該当しうるのは14級です。14級に該当すれば裁判所基準で110万円、自賠責基準で32万円ほど請求できます。

このようにどの等級に該当するか、また等級に該当するかしないかで支払額が変わってきますので、適正な等級認定を受ける必要があります。また、等級認定を受けなければ、通常保険会社から支払いを受けることはできないため、そういった意味でも適正な等級認定を受けることが大切です。

後遺障害が認定される5つの条件

自賠法施行令では、後遺障害とは「傷害が治ったとき身体に存する障害」(自賠法施行令2条1項2号柱書)と定義されています。
もっとも一般的に後遺障害と認定されるためには、

「交通事故が原因となる肉体的・精神的な傷害であること」
「将来においても、回復は見込めないと医師が判断した状態であること(症状固定後であること)」
「交通事故と本人の感じる後遺症状に因果関係が認められること」
「本人の感じる後遺症状の原因が医学的に証明、説明できるものであること」
「後遺症状の程度が自賠責法施行令の等級に該当すること」という5つの条件を満たさなければならないと考えられています。

ただし、後遺障害といえなければ後遺症慰謝料を請求できないわけではなく、裁判所はこの認定に拘束されないため、後遺障害等級に該当していない場合であっても例外的に賠償金の支払いを認めることがあります。

たとえば「本人の感じる後遺症状の原因が医学的に証明・説明できるものであること」ですが、後遺障害のすべてに確実な医学的所見があるとは考えにくいところです。頸椎捻挫や腰椎捻挫のように検査上何の異常もなく他覚所見もないのに、頸部痛や頭痛、腰痛が続く症状もあります。

この場合でも医学的に推測できる状態であれば等級認定を受けられる可能性があります。実際、14級9号の「局部に神経症状の残すもの」と認定されるためには、「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)と異なり、症状の存在が医学的、他覚的に証明されることは必要ありません。

「事故受傷より1週間以内に医療機関にて外傷性の傷病名が確認できること」「6ヶ月以上の医療機関への通院履歴が確認できること」「通院期間中に4週間以上の中断が無いこと」「半年間で40日以上の通院があること」といったポイントから自覚症状が単なる故意の誇張ではないといえれば、認定されます。

後遺障害認定手続きの流れ

具体的な後遺障害認定手続きの流れは以下のとおりです。

まず、担当医に後遺障害等級認定申請の必要書類である後遺障害診断書を作成してもらいます。複数の怪我があり、2つ以上の診療科に通っている場合には、診療科ごとに後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。

適正な認定を受けるためには、できるかぎり正確に自覚症状を伝えることが大切です。病院に後遺障害診断書がなければインターネット上などからダウンロードして準備します。

次に、後遺障害診断書を保険会社に提出して後遺障害等級の認定請求を行います。一括請求を利用した「事実認定」の場合、後遺障害診断書を医師に書いてもらって加害者側の任意保険会社に送るだけで、後の手続きは保険会社が行ってくれます。「直接請求」の場合、被害者が自分で必要書類を収集したうえで加害者が加入している自賠責保険会社に送付します。

その後、提出した書類が損害保険料率算出機構の自賠責調査事務所に送付されて審査が始まります。審査終了後、保険会社から被害者へ認定結果(認定票、認定理由を記載した別紙)が送付されます。認定されていれば、結果通知から数日以内に支払われます。

一方、認定されておらず、その理由に不満があれば異議申立てを行うことができます。異議申立ては何度でも行えますが、いたずらに異議申立てを繰り返すのは得策とは言えないため、新しい証拠を添付するようにしたほうが良いでしょう。

等級認定されるための注意点3つ

等級認定されるための注意点は、「保険会社の言いなりにならない」「医師任せにしない」「弁護士に相談する」の3点です。

第一に、お金を支払う立場にある加害者の保険会社は、決して被害者の味方ではなく、的確なアドバイスをしてくれることはほとんどありません。このため、保険会社の担当者が親切だからといって言いなりになってしまうと、かえって被害者が損することになりかねません。

第二に、世の中の医師全員が後遺障害診断書の作成に慣れているわけではなく、必ずしも作成された後遺障害診断書に認定を受けるために必要な記載がなされているとは限りません。このため、後遺障害診断書は自分で確認して、もし不備があれば記載内容を補足してくれるように頼みましょう。

第三に、等級認定を受けるためには、後遺症と判断するに足りる証拠を集めなければなりません。法律知識がなければどんな証拠を準備すればいいかもわからないでしょうから、弁護士にどんな資料が必要か、どのような記載内容とすればよいかを尋ねてみてください。また、後遺障害と認定されるには通院回数などもポイントとなってくるので、なるべく早期に弁護士に相談して、意見を聞くのが良いでしょう。

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