2017.6.23 更新

交通事故の慰謝料を知りたい!死亡した場合の慰謝料はいくら?

「慰謝料と賠償金の違いは?それぞれいくらもらえるの?」
「保険会社に専門用語をたくさん言われて困っている」

突然大切な人を奪っていく交通事故。いつまでも悲しみにくれていることもできずに、残された子どもたちのために立ち上がらなければならないこともあるでしょう。

悪質な加害者からより多額のお金をもらって反省を促したいと思うこともあるかもしれません。慰謝料の種類、算定基準などを知り、保険会社の口車に乗せられて安い金額で示談してしまわないようにしてください。

受け取れる金額を引き上げる近道は、弁護士に依頼することです。

慰謝料と賠償金の違いとは?

不運にも交通事故に遭遇してしまったら、ケガの治療費が必要となったり、時には会社を休まなければならなくなったりして、被害者には予想外の出費が生じます。赤信号で停車していたら、後ろから信号無視の車に衝突された場合など、そのお金を被害者が負担するのは明らかに不公平です。

このため、加害者に生じた損害の賠償を請求することができます。

つまり、損害賠償金とは、運転手が不注意に交通事故を起こしたことにより、被害者に生じたお金のことで、大きく分けて積極損害、消極損害、慰謝料に区別することができます。

積極損害とは、実際に被害者が出費した費用のことで、入院費、治療費、通院費、通院交通費、付き添い看護費、修理代、裁判をした場合の弁護士費用、遅延損害金などが挙げられます。もし被害者が死亡してしまったら、葬儀費用、火葬費用、仏壇や位牌の購入費などその葬儀関連費用も積極損害として請求できます。

基本的には客観的な証拠が存在する限り、相当な範囲で請求することができます(ただし、過失割合に従って減額されることがあります)が、先ほど挙げた例のうち、葬儀関連費用と弁護士費用については例外的な取り扱いがなされています。たとえ数百万円の葬儀をしたとしても、実際に認められるのは150万円ほどで、実費がそれを下回る場合にはその実費分しか認められません。弁護士費用について実際の支払額と無関係に、通常請求認容額の約1割のみ認められています。消極損害とは、事故に遭っていなかったら得られていたはずのお金のことで、休業損害や逸失利益(後遺障害による逸失利益、死亡による逸失利益)などが挙げられます。

休業損害は会社を休まなければ得られていたはずの給料などで、逸失利益は後遺症を負わなかったり、死亡したりしなければ得られていたはずのお金です。死亡による逸失利益を算定する際には、その方が67歳までに得られたお金から生活費と中間利息を差し引きます(平均寿命をもとに67歳が基準になっています)。

例として、年収800万円稼いでいた50歳の男性が亡くなった場合を想定してみます。一家の大黒柱の生活費は年収の3割から4割程度と考えられており、稼働可能期間が17年である場合の中間利息(ライプニッツ係数)は11.2740なので、この方は年収800万円のうち生活費を差し引いても毎年480万円から560万円は得られていたはずで、中間利息を考慮すると大体5,850万円になります。

実務上、税金相当額は控除しないことになっています。慰謝料とは、交通事故によって精神的に苦痛を受けた分を補うためのお金で、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料などが挙げられます。精神的な苦痛をお金に換算することは難しいため、怪我の重さなどから慰謝料の額は決まります。

被害者が弁護士に相談するおすすめのタイミング
  • 事故後、記憶が鮮明なうち
  • 怪我の治療中または治療が完了したとき
  • 後遺障害等級認定の申請をするとき
  • 後遺障害等級の認定が下りたとき
  • 加害者と調停や裁判に発展したとき
  • 大事故・死亡事故の場合
  • 死亡事故の慰謝料とは?慰謝料の基準は?

    死亡慰謝料には、死亡した本人の慰謝料と被害者の近親者の慰謝料の2種類があります。近親者には、その請求の根拠である民法711条に例示されている父母、配偶者、子どもだけでなく、事実婚の配偶者も含まれるとされています。

    また、例外的な事情があれば死亡した配偶者の兄弟なども含まれます。その額の算定基準には、裁判所の採用する基準、任意保険の採用する基準、自賠責保険の採用する基準の3種類があり、どの基準を採用するかによって慰謝料の額が大きく変わります。

    最も高くなるのは、裁判所の考え方や判例をもとに導き出された裁判所の基準で、世帯主が死亡した場合の慰謝料(本人の慰謝料、近親者の慰謝料の合計)の目安は2,600万円から3,000万円ほどといわれています。

    後述するように慰謝料は賠償金の総額を調整する機能を有しているため、具体的な事案によってその金額は変わります。一方、最も安くなるのが自賠責保険の採用する基準をもとに算定した場合で、本人の慰謝料は350万円で、近親者の慰謝料は請求人数によって異なり、1名なら550万円、2名なら650万円、3名上の場合には750万円です。

    共働きで被扶養者のいない夫婦の場合、裁判所基準であれば3,000万円ほど請求できるのに対し、自賠責保険基準であればそのわずか3割である900万円しか請求できないのですから、どれだけ大きな差があるかは明らかでしょう。

    また、死亡した年齢により慰謝料額が異なる点については、子どもを亡くした場合でも、夫や妻を亡くした場合でも、おじいさんやおばあさんを亡くした場合でも、大切な人を失い、大きな精神的苦痛を味わうことには違いありません。このため、死亡による逸失利益と異なり、死亡慰謝料に年齢による違いは設けられていません。ただし、裁判例を見ると若年者に対して基準額よりも多く認定されていると思われるケースもあります。

    慰謝料をもらうまでの流れは?

    任意保険の加入率は年々増えてきているものの、2014年時点で日本人の約3割は任意保険に加入していません。交通事故の加害者が任意保険に加入していればその保険会社と連絡をとりあいます。

    被害者救済の便宜を図るため、自賠責保険の分も含めて損害全額を任意保険会社に対して請求することができるようになっています(一括払い制度)。一方、任意保険に加入していない場合や任意保険会社が対応してくれない場合には、自賠責保険会社に対して直接請求します。

    一般的に示談成立後、10日ほどで指定した口座にお金が振り込まれます。自賠責保険はいわば最低限度の損害填補保証なので通常任意保険の方が提示される金額は高くなりますが、交通事故によってその損害が生じたという因果関係を証明できない場合や被害者側に落ち度がある場合には、自賠責保険による損害賠償額のほうが高くなることもあります。

    示談交渉をしても希望どおりの額で合意ができない場合には、主要都市にある交通事故紛争処理センターの利用を検討してみましょう。自動車事故の場合にしか利用できませんが、示談交渉が成立するように担当弁護士が無料で、被害者と保険会社の間に入ってくれます。

    約9割の事案で示談が成立しており(2015年時点)、無事事件を解決できる可能性が高いといえます。交通事故紛争処理センターを利用できない場合や示談できなかった場合には、弁護士に相談して、訴訟などを検討することになります。

    慰謝料と相続の関係性

    近親者の慰謝料については、近親者に生ずる請求権であるため、相続とは関係ありません。これに対し、被害者本人の慰謝料は被害者本人が負った苦痛を請求するもので、被害者が死亡した場合には、相続が絡むことになります。

    相続とは、父母、子どもなど本人と一定の関係にある人(法定相続人)が被害者の財産などを丸ごと引き継ぐこと(民法896条本文)です。慰謝料請求権は単純な金銭債権であるため、ほかの財産権と同様に、被害者が死亡すると同時に(民法882条)、法定相続人のものとなります。

    このため、仮に被害者が交通事故で即死し、事故の苦痛を味わうことなく亡くなったとしても、法定相続人は、被害者本人の精神的苦痛を補うための慰謝料を請求することができます。「もっと生きたかった」という被害者本人の悲しみを金銭に置き換えて請求するイメージです。

    慰謝料請求権を相続できる法定相続人については、民法に規定されており、夫や妻は法定相続人となります(民法890条本文)。また、子どもも相続人となります(民法887条1項)。そのほか、子どもがいないときには祖父母が相続人になる、子どもが死亡したときには孫が相続人になるなど、詳しく記載されています。

    法定相続人ではない内縁の配偶者や事実上の養子は、被害者本人の慰謝料請求権を相続することはできませんが、養ってもらう権利(扶養請求権)を侵害されたとして、本人の慰謝料請求権を行使した場合とほぼ同額のお金を受け取れることもあります。

    法定相続人が複数人になる場合、死亡による慰謝料請求権は法定相続分(民法900条)に従って分割されます。子ども(たち)と配偶者がいる場合、法定相続分はそれぞれ2分の1なので、たとえば1,000万円の慰謝料請求権を2人の子どもとその母親で分けるとすると、子どもは250万円ずつ、母親は500万円を受け取れます。このようにその法定相続分の範囲であれば、ほかの法定相続人の同意を得なくても、一人で訴訟を提起して請求することができます。

    もっとも、多くの保険会社は相続人全員の総意が一致していることを確認できなければ、示談交渉に応じてくれません。

    このため、法定相続人の一人が音信不通である場合や法定相続人間で示談方針が異なる場合には、いつまで経っても示談が成立せず、慰謝料を受け取れません。個別に示談してくれるように説得しても合意してもらえない場合には、最終的に訴訟を提起して、自己の相続分のみを請求することになるでしょう。「相続人の意見が一致していなければ損害金を支払わない」という保険会社の言い分に法的な根拠はないため、訴訟を提起すれば、保険会社も支払いに応じざるを得ないのです。

    死亡事故の慰謝料を引き上がるケース

    裁判では、具体的なケースごとに柔軟な判断がなされます。特に慰謝料は、公平な判断を可能とするため、損害賠償額を引き上げる調整的な機能を担っており、その額は事案によって異なります。

    たとえば、若い頃に出版した本の印税や講演会でお金を稼ぎながら身寄りのない大勢の子どもを養っていた70歳の老人が交通事故で即死した場合、死亡による逸失利益が少なく、入院費用などの治療費もかかっていないため、損害は少ないともいえますが、慰謝料の額などで公平妥当といえる解決を図ります(加えて、このケースでは扶養請求権も侵害されたといえるでしょう)。

    慰謝料額を引き上げる事情としては、被害者に多数の被扶養者がいたこと、被害者の後遺症による逸失利益の算定が困難であること、加害者が事故時に飲酒運転をしており著しい過失があるといえること、加害者が事故後証拠隠滅行為を行ったり事実と異なる事故状況を主張していたりして不誠実といえることなどがあります。

    実際にあったものでは、常習的に飲酒運転をしていたトラックの運転手が3歳と1歳の女児らにトラックで衝突し、トラックの炎上に巻き込まれた女児らが両親の目の前で焼死した事案で、相場の価格を1,000万円以上も上回る3,400万円の慰謝料が認められました(東京地判H15.7.24)。

    より多額の賠償金を認めなければ被害者がかわいそうで、より多額の賠償金を認めることで加害者に反省を促すべき事情がある場合には、慰謝料の額は高くなる傾向にあります。もっとも、慰謝料の額は裁判官の裁量に委ねられているので、いかなる場合にどれだけの慰謝料が認められるかはケースバイケースです。

    交通死亡事故の被害者遺族が弁護士に依頼した方がいい理由

    死亡事故の連絡を受けると、保険会社は事実関係の調査を行い、遺族に対して慰謝料を含めた示談金の額を提示します。保険会社はなるべく支払額を抑えたいと考えているので、このとき提示される金額はもっとも金額の低い自賠責基準額をもとに算定したものです。

    「裁判所基準(弁護士基準)では……」と持ち掛けたとしても、弁護士でない被害者に保険会社が裁判所基準に基づく金額を提示してくれることはほとんどありません。納得できる適正な金額で示談するためには、実際に弁護士に依頼して交渉にあたってもらうことが必要です。

    ときには裁判するまでもなく、裁判所基準で示談が成立することもあります。先ほど述べた例のように、自賠責基準と裁判所基準では1,000万円単位で異なることもありますので、保険会社に丸め込まれてしまわないように、交通事故に遭遇したらなるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。

    「弁護士費用特約」の付された自動車保険もあり、自分の保険にこの特約があれば、弁護士費用について一定額の補助を受けることができます(ただし、被害者に過失が一切ない場合には、弁護士費用特約を使えない場合があります)。

    自分の保険に付いていなくても、家族の特約を使用できる場合がありますので、一度確認してみてください。

    死亡事故まではいかなくとも、交通事故で後遺症が残ってしまう方も多いかと思います。なかでも「むちうち」はその代表と言えるでしょう。むちうちについては通院期間はどれくらい?交通事故でむちうちになってしまった時の対応とは?で解説しているので、参考にしてみてください。

    関連記事一覧

    【交通事故】むちうちは通院期間次第で慰謝料と後遺障害で損をします

    通院期間が短いと慰謝料額は少なくなってしまいます。逆に長ければそれだけ慰謝料は増額出来ます。 むちうちの通院期間や日数を知り、慰謝料で損しないためには弁護士に相談し、弁護士(裁判)基準で慰謝料を受け...

    交通事故の慰謝料が丸分かり!通院から6ヶ月後のケースではいくら?

    「慰謝料の種類と金額の相場は?」 「少しでも多くの慰謝料を勝ち取るには?」 ...

    交通事故の慰謝料基準とは?~自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準~

    「交通事故の慰謝料の種類について知りたい」 「交通事故の慰謝料の計算方法は?」...

    交通事故の通院慰謝料で損しない!3つの基準の計算方法と相場まとめ

    「提示された通院慰謝料が想定より少ないけどもっと高額にならないのか。」

    主婦やパートでももらえる?交通事故の慰謝料で絶対損しない方法とは

    「交通事故で怪我をして、家事ができず家族に迷惑をかけている」 「主婦だって家事...

    お悩み別ページ

    ページランキング

    1. 交通事故の慰謝料を勝ち取る!請求方法のポイントまとめ
    2. 交通事故の慰謝料は難しいことだらけ?内訳と内容を詳しく解説!
    3. 交通事故の慰謝料を知りたい!死亡した場合の慰謝料はいくら?

    カテゴリ一から探す