2017.7.26 更新

交通事故の慰謝料は難しいことだらけ?内訳と内容を詳しく解説!

交通事故に遭った際に問題になることが多い慰謝料。ワイドショーでは芸能人の離婚などで慰謝料が取り上げられることもありますが、交通事故における慰謝料とはどういったものなのか、慰謝料の額は何を基準に決められるのかなどわからない点も多いでしょう。ここでは、交通事故の慰謝料に関してその内訳と内容を詳しく解説します。慰謝料に関する知識を得ておくと、いざというときに得られる慰謝料の額が1,000万円ほど高くなる可能性もあります。

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損害賠償請求の内訳と相場

損害賠償請求は、いわば「害」された利益につき、お金で「償」うように「求」めることです。交通事故の被害者の多くは、治療費や病院までの出費を余儀なくされ、治療のために有休休暇を使わざるを得なくなります。

被害者の中には、せっかくのビジネスチャンスを失う人もいるでしょう。このように実際に支出したお金や得られたはずなのに得られなかったお金は、被害者の「害」された利益です。全く被害者に落ち度なく事故が起きたのに、このお金を被害者が負担しなければならないのは不公平であり、たとえ被害者に落ち度があったとしてもこのお金のすべてを負担しなければならない理由はありません。

そこで、その分のお金を加害者や保険会社に「償」ってもらえるように「求」めていくのです。 実際に支出したお金、目に見えて発生している損害を積極損害といい、得られたはずなのに得られなかったお金、いろいろな事情を考慮して判断すれば発生していると推測できる損害を消極損害と呼びます。

積極損害には診療費・治療費、通院交通費、入院雑費、装具・器具等の購入費、葬儀費用、損害賠償手続費用、弁護士報酬・費用などが含まれます。一方、消極損害の内訳は休業損害(休業中の収入や利益)、後遺症による逸失利益、死亡による逸失利益です。

積極損害と消極損害はともに財布にダメージを受ける財産的損害に該当します。交通事故の被害者は財産的に損害を負わされるだけでなく、精神的にも苦痛を受けます。この精神面の苦痛を補うためのお金が慰謝料と呼ばれます。 交通事故損害賠償請求で認められる額は事案によって異なるため、一律の相場はありません。

たとえば、青信号で法定速度を守り走行していたところに、スピード違反のトラックに衝突されて家族4人が亡くなった場合の賠償額と、駐車場で自動車同士が軽く接触した場合の賠償額は億単位で異なります。もっとも、損害項目ごとの相場は存在するため、それを合算すると大体いくらくらいを請求できるのかは見えてきます。

たとえば「入院1ヶ月、通院3ヶ月の怪我、後遺障害なし、交差点での出会い頭の事故」であれば、入院1ヶ月、通院3ヶ月の入院費、治療費、入通院慰謝料、交通費などと1ヶ月分の看護付き添い費、期間分の休業損害などを合算していけば請求可能な金額の範囲は見えてくるでしょう。

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交通事故における慰謝料の内訳

交通事故の慰謝料は、病院で治療を受けざるを得なかった精神的苦痛に対する入通院慰謝料、事故後後遺症が残り元の生活に戻れなくなった精神的苦痛に対する後遺障害慰謝料、事故によって命を落としたことに関する死亡慰謝料の3種類に区別することができます。

死亡慰謝料には、未来を奪われた本人の精神的苦痛に対する慰謝料と大切な人と一緒に暮らすことができなくなった近親者の精神的苦痛に対する慰謝料があります。当然ながら死亡した本人は慰謝料を裁判で請求することはできませんが、両親や子ども、その配偶者が相続することによって、本人の慰謝料を含め加害者や保険会社に対し請求することができます。

実費を負担しており、事案ごとに計算のための根拠がある治療費や交通費などと異なり、慰謝料を算定するにあたっては個別に精神的苦痛の大きさを測ることはできません。このため、慰謝料の額を決めるにあたって目安となる基準が設けられています。

この基準は1つでなく、自賠責基準、任意保険基準、裁判所(弁護士)基準の3種類があります。

最も慰謝料の額が高くなるのは裁判所で争われたときや弁護士が交渉したときに用いられる弁護士基準で、一般的に最も低くなるのは最低限度の保証である自賠責基準です。

慰謝料の額が上下する6つのポイント

慰謝料の額が上下する6つのポイントは、通院期間、入院日数、休業損害の有無、後遺症の有無、後遺障害等級の有無・程度、過失割合の有無です。

ここで軽自動車にAさん、Bさん、Cさんの3人が乗っていたところ、事故に遭い、Aさんは軽傷で済みましたが、Bさんが死亡し、Cさんに重度の後遺症が残ったケースを想定してみます。慰謝料には3種類ありますが、常に3種類請求できるとは限らず、A、B、Cが請求できる慰謝料は次のとおりです。

軽傷で済んだAさんが請求できるのは入通院慰謝料、Bさん(の遺族)が請求できるのは死亡慰謝料、Cさんが請求できるのは入通院慰謝料と後遺障害慰謝料です。この中で最も慰謝料の額が高くなるのはBさんで、最も安くなるのはAさんです。

入通院慰謝料のみを取り上げてみても、AさんとCさんの請求額には差があり、Cさんのほうが圧倒的に高くなります。Cさんのほうが治療期間も長く、より大きな苦痛を味わっていますので、Cさんの慰謝料の額のほうが高くなるのは自然なことでしょう。

つまり、通院期間、入院日数が増えれば増えるほど、苦痛が大きくなるので、入通院慰謝料の額は高くなります。また、休業損害の存在、後遺症の存在は怪我が大きいことを推測させ、入通院慰謝料の額を増やす可能性があります。 また、Aさんが入通院慰謝料しか請求できないのに対し、Cさんはそれに加えて後遺障害慰謝料を請求することができます。

つまり、後遺障害等級の認定を受けていれば、それだけで請求できる慰謝料の額は高くなります。さらに障害の程度も額を増減させるポイントです。もしCさんが軽い後遺症で済んでいれば、従来どおりの生活を送れる可能性が高くなり、苦痛は小さくなります。

例えば、膝に大きなアザが残ってしまっても膝から下を完全に失ってしまっても苦痛であることには変わりませんが、アザだけであれば歩くことはできますので、膝から下を完全に失ってしまうよりも苦痛は軽くなります。このような後遺障害の程度も慰謝料の額に影響します。

また、一般的に後遺症障害認定が取りにくいと言われている「むちうち」についてはコチラの記事で詳しく解説しています。
交通事故でまさかのむちうちに、通院期間はどれくらい?

通院期間、入院日数、休業損害の有無、後遺症の有無、後遺障害等級の有無・程度が、慰謝料を増やすためのポイントであるのに対して、慰謝料の額を下げる方向に働くのが過失割合の有無です。どちらか一方のみの注意不足(過失行為)によって起こる交通事故はあまり多くなく、特に自動車同士の事故の場合、双方の運転手の注意不足が重なって事故が起こります。

このため、通常交通事故ではそれぞれの過失割合に従って賠償額を決めます。たとえば同程度のスピードで走行中の直進車が信号のない交差点で衝突した場合、一般に左方車の運転手の方が過失は少なくなり、左方車の運転手の過失が4割、右方車の運転手の過失が6割と判断されます。

その結果、総額1,000万円の損害が発生したという場合、左方車の運転手が400万円、右方車の運転手が600万円を負担します。もし過失がなければ慰謝料の額は変わりませんが、過失割合が認められると慰謝料の額は減額されてしまいます。

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慰謝料の計算方法

先ほどのAさん、Bさん、Cさんの例をより具体的なものとして、概算金額を計算してみます(慰謝料の額は総合的な事情を考慮して算定されるので、下記の金額はあくまで目安にすぎません)。

Aさんは奇跡的に軽傷で済み、病院に通う必要さえありませんでしたが、同居していた両親の死亡後専業主婦の奥さんと二人暮らしだったBさんは即死し、Cさんは半年の入院後、15ヶ月通院(実通院日数30日)し、最終的に等級認定5級の後遺症が残ってしまいました。わかりやすくするため、この例ではAさんらに過失はないものと仮定します。

死亡慰謝料を算定する際、自賠責基準では亡くなった本人の慰謝料として一律に350万円が認められ、加えて慰謝料を請求できる人数によって額が増えていきます。さらに被害者に被扶養者がいれば200万円追加されます。このため、自賠責基準でBさんの死亡慰謝料を算定すると、請求権者が1人である場合の慰謝料550万円と被扶養者がいる場合の慰謝料200万円に350万円を加えて、1100万円を請求できることになります。

一方、裁判所基準では一家の支柱(世帯主)であるか、母親であるか等その人の家庭における地位をもとに算定され、一家の支柱であるBさんが亡くなった場合、2800万円を請求できます。

このように自賠責基準と裁判所基準では1,700万円の差があります。

入通院慰謝料を算定する際、自賠責基準では原則として通院期間1日あたり4,200円を受け取ることができます。もっとも、上限が120万円に設定さており、それを超えて請求することはできません。

ここでいう通院期間とは、入院日数と通院期間の合計値と入院日数と実通院日数の合計を2倍にした値のいずれか少ない方なので、Cさんの場合は、入院日数(180日)と実通院日数(30日)の合計を2倍にした値420に4,200をかけることになります。

しかし、算出される額は176万4000万円であり、120万円を超えてしまうため、Cさんは入通院慰謝料としては120万円しか請求できません。いわゆる赤い本の別表をもとに裁判所基準で計算すると、272万円なので、152万円異なることになります。後遺障害慰謝料は等級認定の程度によって額が決まっており、5級の場合、自賠責基準では599万円しか請求できないのに対し、裁判所基準であれば1,500万円ほど請求できますので、901万円の差があります。

このようにCさんは自賠責基準では719万円しか請求できないのに対し、裁判所基準では1,772万円請求できますので、1,000万円近く異なることになります。実際には5級の障害が残るほどであれば入退院日数はもっと長くなると予測されますので、その差はさらに大きくなるでしょう。

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ぜひ参考にしてみてください。

物損事故でも慰謝料は認められる?

原則として物損事故では慰謝料の請求は認められません。しかし、子どもに恵まれなかった老夫婦が10年前からわが子のように可愛がっていたペットが事故に遭った場合や、家の中で家族が団らんしていたところ突然トラックが突っ込んできて、怪我はしなかったもののトラウマになるほどの恐怖感を覚えた場合など、非常に強い精神的苦痛を味わったと容易に推測できる場合があります。

そこで、下級裁判所の中には、例外的に「目的物が被害者にとって特別の愛着をいだかせるようなものである場合や、加害者が害意を伴うなど相手方に精神的打撃を与えるような仕方でなされた場合など、被害者の愛情利益や精神的平穏を強く害されるような特段の事情が存する」場合には物損であっても慰謝料請求を認める可能性を残しているものがあります(東京地裁平成元年3月24日判決交通民22巻2号420頁等)。

自動車は代替品であるため、愛車が傷つけられたとしても、慰謝料請求が認められる可能性は低いといえます。一方、ペットは生きているものであり、同じ犬種の犬であっても代わりとはならないでしょう。

また、多くの人にとってマイホームはかけがえのないものであり、とても大切なものです。このため、すでに述べたような例では慰謝料請求が認められる可能性があるといえます。

実際に家の中に自動車が飛び込んできたケースでは、生活の平穏が害されたとして慰謝料請求を認めたものがあります(東京地裁八王子支部昭和50年12月15日判決交通民8巻6号1761頁、大阪地裁平成元年4月14日判決交通民22巻2号476頁)。

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弁護士に相談するメリットとデメリット

交通事故の処理を弁護士に任せると、示談交渉をスムーズに進めることができ、また、裁判所基準を使うことができるようになるので、より多くのお金を請求できるようになります。

一方、弁護士に依頼した場合、紛争が長期化するおそれがありますが、これは通常紛争をまっとうに解決するために必要な期間で、いたずらに長期化するわけではありません。

また、弁護士費用が発生しますが、弁護士特約があれば300万円までは弁護士費用を負担しなくて良くなるので、まずは自分の保険や家族の保険に利用できる弁護士特約がないかを確認してみると良いでしょう。

弁護士の探し方のポイント

いたずらに紛争が長期化するのを防ぐためには、有能な弁護士に相談する必要があります。そこで法テラスで弁護士を紹介してもらったり、各地の弁護士会が実施している交通事故の相談会を利用したり、知人に弁護士を紹介してもらったりして、交通事故の実績が豊富な弁護士を探すことをおすすめします。

このとき、報酬金などの料金体系が明確であるか、説明がわかりやすいか(専門用語を一般的な用語に置き換えて説明してくれているか、クライアントの顔を見て理解度を確かめたうえで話を進めているか等)といったポイントで良い弁護士かどうかを判断すると良いでしょう。

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