2017.6.8 更新

交通事故の慰謝料を勝ち取る!請求方法のポイントまとめ

いつ、どこで遭遇するかわからない交通事故。それにもかかわらず、みんなどこかで「自分は大丈夫」と思っています。いざ被害者の立場になると、動揺して、何をどうすればいいのかわからないでしょう。保険会社から「この度は誠に申し訳ありませんでした。示談金として○○円お支払いさせていただきます」と言われ、その程度かと考えてしまう人がいるかもしれません。しかし、このとき示談に応じることは非常に危険で、適正な価格の賠償金を自ら勝ち取る必要があります。ここではその請求方法についてご説明しましょう。

慰謝料の請求方法と流れ

交通事故の怪我はすぐにあらわれるとは限りません。事故直後は興奮しており、痛みを感じにくい状態になっているため、2日~3日経過してから神経痛の症状が現れることもあります。

もし事故直後になかった痛みが現れたなら、なるべく早くに病院に行ってください。後遺症として残ってしまうような痛みである場合、事故から1ヶ月以内に受診しているか否かが等級認定をされるポイントとなります。

交通事故の症状で代表的な「むちうち」については交通事故が原因でむちうちに...通院期間について知りたいにまとまっているので、よろしければご覧ください。

また、このような場合には交通事故証明書の記載が物損になっている可能性があるので、警察に行き人損扱いに変えてもらいましょう。物損扱いのままだと十分な額の損害賠償請求をできないことがあります。

治療を続け、痛みがなくなったら、交通事故によっていったいどれだけの損害が発生したのかを確定させます。

時には治療を続けても痛みなどの症状がなくならないことがあり、後遺症として残ることがあります。後遺症が残ってしまった場合であっても、ある特定の日をもってどれだけの損害が発生したかを確定させます(症状固定)。

いったん損害額を確定させ保険会社と合意してしまうと、もはやその日以降の治療費等を請求できなくなりますので、保険会社に症状固定したことを連絡する際には、あらかじめ専門医と十分に相談することが大切です。

交通事故の多くのケースにおいて、保険会社の方から示談を持ちかけてきます。しかし、保険会社は被害者の味方ではなく、通常提示してくる金額は不当に安い金額です。

そこでその金額での示談を断り、被害者側で確定させた損害金を支払うように内容証明郵便(郵便局が発信日と発信内容を証明してくれる郵便)で保険会社に連絡します。

すんなりと支払ってくれれば特段問題ありませんが、なかなか支払ってくれない場合が多いので、交渉を行います。

交渉がうまくいかず硬直状態になってしまったら、交通事故紛争処理センターでの和解あっせんや民事調停を利用して、中立公正な第三者を交えて話し合います。

事案によっては担当弁護士や調停委員が保険会社と合意するように持ち掛けてくることがありますが、応じる必要はありません。最終手段としては訴訟を提起して、裁判所に決めてもらいます。

交通事故による慰謝料の計算方法

治療費や通院交通費など実際に支出した分については損害額を簡単に把握できるでしょうが、得られたはずなのに得られなかったお金や精神的苦痛に対して支払われる慰謝料の額の算出には苦労するかもしれません。

たとえば「特に怪我はしていないけれど、事故後運転するのがすごく怖くなってしまったから、精神的苦痛として8,000万円請求する」と何の根拠もなく主張しても、保険会社が支払うことはまずありません。支払ってもらえるように損害額を確定させるにあたっては、どういった損害について支払いを求めることができるのか、どういった基準で損害を算出するのかについて知る必要があります。

交通事故で慰謝料を請求できるのは、基本的に、怪我をして入院や通院をしたとき(入通院慰謝料)、後遺症が残ってしまったとき(後遺障害慰謝料)、命を奪われてしまったとき(死亡慰謝料)です。

これらの額を算出するために自賠責基準、任意保険基準、裁判所(弁護士)基準といった3種類の基準があります。

任意保険基準は公表されていませんが、裁判所基準は日弁連交通事故相談センターなどで購入できる「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」に書かれています。この本には東京地裁の実務に基づく賠償金の基準が示されており、裁判をした場合に請求できる金額の目安となります。

自賠責基準を用いた場合の金額は以下のとおりです。
まず入通院慰謝料は、1日あたりの入通院慰謝料を4,200円として、治療期間分の慰謝料を受け取ることができます(上限120万円)。ここにいう「治療期間」とは「入院期間と通院期間の合計」または「実際の通院日数(入院期間に実際の通院回数を足した値)の2倍」のうちいずれか少ない方を指します。

次に、後遺障害慰謝料は認定された等級ごとに定まっており、最も高いのは介護を要する後遺障害第1級で1,600万円(裁判所基準2,800万円)、最も低いのは介護を要しない後遺障害第14級で32万円(裁判所基準110万円)です。

最後に死亡慰謝料は、死亡した本人の慰謝料が350万円、近親者の死亡慰謝料は請求人数によって異なり、請求権者が1人の場合550万円、請求権者が2人の場合650万円、請求権者が3人の場合750万円です。さらに死亡した人が誰かの生活を養っていれば200万円プラスされることになります。

示談交渉の方法とポイント

人損事故の場合、万一後遺症が残ってしまった場合にその分の額を請求できなくなるのを防ぐため、示談交渉は治療終了後に始めるのがベターです。部位によって異なりますが、一般的には事故後半年で症状固定日としており、半年ほど経っても痛みが消えないようであれば後遺症として損害を請求することを検討したほうが良いでしょう。

もし保険会社や加賀者に示談を急かされても、被害者側が折れる必要はありません。当座をしのぐお金が欲しいのであれば、示談して示談金をもらうのではなく、仮渡金制度を利用してください。

仮渡金の支払金額の上限は,自動車損害賠償保障法17条1項、自動車損害賠償保障法施行令5条に定められています。たとえば11日以上治療が必要な方であれば、1人あたり5万円を請求することができます。

さらに脊柱を骨折した方や14日以上の入院を必要とする方は20万円受け取ることができます。大きな事故であればあるほど、被害者が示談を急いで得られるメリットはほとんどありません。

そもそも示談(和解)は、互いに譲歩しあってそれなりに満足できる結論に達することなので、被害者と加害者の双方にメリットがなければならないでしょう。被害者だからといって一方的に高額なお金を請求しても、一方的に暴言を吐いて怒鳴りつけても、より良い結論を得ることはできません。ある程度感情を脇に置いて、あくまで冷静に交渉していきます。

また、示談交渉は「値切り交渉」と似ており、最初から希望の価格を提示することはおすすめできません。希望の価格から譲歩していけば、希望価格よりも低い金額で示談することになりますので、希望価格の3割~4割増しの価格を提示したほうが良いでしょう。請求額に根拠があることは必要ですが、示談交渉のうちは厳密に証拠に基づくことは求められませんので、いくらか高めの金額を提示しても大丈夫です。

特に慰謝料の額は事案によって変わり、証拠に裏付けられたものでもないので、調整しやすい損害費目です。 交渉を続けても半年間合意に至らなければ、次の手段に出たほうが良いでしょう。保険会社が不当に提示額を下げていた場合、「訴訟を提起します」という一言が引き金になって、突然被害者の言い分を認めてもらうことも十分に考えられます。

示談がもつれそうになったら

示談がまとまらなかった場合に採りうる手段としては、裁判を起こすこと以外に法律知識のある第三者を交えて話し合う方法があります。
たとえば、公益財団法人「交通事故紛争処理センター」は無料で担当弁護士に和解をあっせんしてもらうことができます(平成28年9月時点で194名の弁護士が在籍しています)。

担当弁護士は公平中立な立場で話し合いに加わるため、時には大幅な譲歩を求められることがありますが、応じる義務はありません。もっとも、訴訟になった場合を見越したアドバイスであるため、そのアドバイスを無視して訴訟を提起しても希望の結果が得られるとは限りません。このような理由からか、交通事故紛争処理センターを利用した場合の示談の成立率は9割を超えています。

交通事故紛争処理センターを利用するには、まず利用者(申立人)の住所地か事故の起きた場所を管轄するセンターで法律相談を受けるため、予約をとります。直接センターに赴かなければならず、電話での法律相談は受け付けてもらえません。予約がとれたら、センターから利用申込書用紙など必要書類が送付されてきますので、準備します。また、保険会社にセンターの申込みをしたことを連絡します。

その後、まず法律相談を行い、利用者が和解あっせんを希望し、且つ弁護士が和解あっせんを必要だと判断した場合、1回あたり1時間程度の和解あっせんが行われます。人損事故であれば通常3回から5回ほどで、物損事故であれば1回から2回で和解が成立します。

このように手続きは非常に簡単です。しっかりした資料を準備しなければ主張が認められないこともありますが、一般的に裁判所に提出する資料ほどしっかりしたものでなくても適正に判断してもらうことができます。

民事調停で解決できる?

交通事故紛争処理センターと同様に話し合いを仲介してくれる手続きが簡易裁判所の「民事調停」です。民事調停において間に入るのは、裁判官1名と調停委員2名で構成された調停委員会です。

裁判官が含まれていますが、基本的に裁判官は出席しないため、調停委員2名が聞いて、手続きを進めていきます。手続きの基本的な流れは交通事故紛争処理センターと異なりませんが、交通事故紛争処理センターと異なり、費用が必要となります。

また、交通事故紛争処理センターの和解あっせん手続きで提出された案を保険会社が不当に拒否したとき、審査会による審査が行われて、一定の場合には保険会社の同意を得やすくなるのに対し、民事調停にはそのような制度がありません。

このため、民事調停のほうが示談はまとまりにくく、交通事故の被害者にとっては交通事故紛争処理センターのほうが利用しやすいといえるでしょう。ただし、全国各地にある簡易裁判所と異なって、交通事故紛争処理センターは全国11ヶ所(札幌、仙台、東京、さいたま、名古屋、静岡、金沢、大阪、広島、高松、福岡)にしかありません。

解決できない場合は訴訟を

交通事故紛争処理センターや民事調停を利用しても交渉がまとまらなかった場合やこれらの手続きを利用しても埒が明かないと思われる場合には、訴訟を提起することになるでしょう。弁護士に依頼しなくても被害者本人が訴訟を提起することはできますが、手続きが複雑であるため弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士費用や時間、手間といった負担が生じますが、適正な価格で事件を解決できるというメリットがあり、多くの場合、示談で終わらせるよりもより多額のお金を受け取ることができます。

すべて自分で行うのは得策とは言えない

以上、被害者本人が自分でできる請求方法をご紹介しました。自分で交渉などを行えば費用は節約できるかもしれません。
しかし、必要な手続きを知るために知識が必要となり時間はかかりますし、自分で交渉した場合に請求額が大幅に下がってしまうことを考えれば、自分で手続きを行う場合と弁護士に任せる場合のどちらがお得なのかわかりません。

事故後なるべく早い段階で弁護士に委ねてしまったほうが精神的にも楽になれるでしょう。 事故当時の状況は必ずしも簡単に把握できるわけではなく、時には目撃者の意見、実況見分調書、衝突実験などが重要な証拠となって、事故の実態が見えてくることがあります。

事案によっては警察の報告が誤っていて、加害者だと思われたほうが被害者だったケースもあるのです。さまざまな観点から警察の報告を覆すことは法律知識に疎い一般の方には極めて困難です。交通事故の実績が豊富な弁護士でなければできない仕事があるのです。

弁護士選びのポイント

交通事故が得意だと積極的にアピールしている弁護士には、交通事故鑑識官にも引けを取らない知識を有し訴訟経験も豊富な弁護士もいれば、弁護士基準をもとにいくらか示談金を増やしただけで被害者に示談を勧める弁護士もいます。

被害者にとって有益な弁護士は前者のタイプです。このような弁護士を選ぶ判断基準の手がかりになるのがホームページの存在です。そこには弁護士の紹介や実績、得意分野などが書かれているはずです。

弁護士が取り扱う事案は広範囲に及びますが、交通事故事案に精通、できれば専門的に取り扱っているかを確認してみましょう。
加えて、後々のトラブルを避けるため、料金設定が明確な弁護士に依頼することを忘れないようにしましょう。

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