2017.7.25 更新

交通事故の治療で健康保険を使うとデメリットが?被害者の注意点5つ

「交通事故にあって治療が必要になったけど、健康保険は使った方がいいのでしょうか」
「保険会社から治療費打ち切りといわれたけどどうすればいいの・・」

交通事故による通院の治療費の支払い方法はいろいろあります。保険会社に健康保険を使うように言われたけど、本当にそうするべきなのでしょうか。

今回は交通事故による治療で健康保険を使った方がいいのか、そのメリットデメリットについてまとめました。

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交通事故による病院での治療にも健康保険を使うことはできる

交通事故に遭ったとき、怪我をしてしまうことは非常に多いです。その場合、事故後に入院や通院などをして治療をしなければなりませんが、そうなると、当然病院での治療費がかかります。

この治療費の支払いについては、一般的には相手方から支払ってもらえるというイメージがありますが、実際には必ずしも相手から支払いを受けられるとは限りません。

支払いを受けられないケース
・交通事故の直後の通院当初から、相手の保険会社に治療費の支払いを断られる
・通院が長期に及んだ場合に途中で治療費の支払いを打ち切られる

このように、相手の保険会社が治療費を支払ってくれない場合、自分の健康保険を利用して病院に入通院することができます。

病院によっては「交通事故の通院治療には健康保険が使えない」と言ってくることがありますが、法律上そのような制約はなく、制度上は何の問題もなく健康保険を利用して通院治療ができます。

病院が健康保険の利用を認めないのは、健康保険を利用されると自由診療ができないので、病院の収入が少なくなってしまうなどの事情によります。

このように、交通事故後、健康保険が利用できないということはないので、まずはここを抑えておくことが大切です。一般的に、交通事故の場合には健康保険が使えない、という誤解があるので、まずはこれを正しておきましょう。

交通事故の治療費に健康保険を使うべき状況3パターン

  • 加害者の保険会社が治療費を支払ってくれない
  • 加害者の保険会社に通院治療費の支払いを打ち切られた
  • 自分の過失割合が高い

交通事故後の通院治療に健康保険が利用できるとしても、具体的にどのようなケースで健康保険を利用すべきなのか、以下でご説明します。

1.加害者の保険会社が治療費を支払ってくれないケース

健康保険を利用すべき場合の1つ目は、治療開始の当初から相手方の任意保険会社が治療費を支払ってくれないケースです。

こちらの過失割合が非常に高かったり、事故の原因等について何らかの問題があると思われると、相手保険会社が当初から治療費の支払いに応じないことがあります。

このような場合には、自費診療をすると大変な金額になるので、健康保険を利用して通院する必要があります。

2.加害者の保険会社に通院治療費の支払いを打ち切られたケース

次に健康保険を利用すべきケースは、相手の保険会社が通院治療費の支払いを打ち切ってきた場合です。

交通事故直後からしばらくの間は通院治療費を支払ってくれていても、通院が数ヶ月以上の長期に及ぶと、相手保険会社が「そろそろ治療期間は終わり」などと言ってきて、治療費支払いを一方的に打ち切ってくるケースがあります。

このような場合、再度支払いをしてもらうことはかなり難しいです。

治療費を打ち切られたときにするべきこと
・自分の健康保険を利用して通院を継続
・支払いの際の診療報酬明細書などはすべてとっておく

健康保険を利用した場合に支払った治療費負担分については、後に相手方にまとめて請求ができるので、支払い損になることはありません。

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3.自分の過失割合が高いケース

また、健康保険を利用すべき場合として、自分の過失割合が高い場合があります。

この場合、相手の保険会社から通院治療費の支払いを受けていると、後に損害全額について大きく過失相殺されてしまうので、最終的な被害者の受け取り分がほとんどなくなってしまうことがあります。

そこで、健康保険を利用して通院していれば、全体としてかかる治療費の額が抑えられるので、過失相殺をされてもなおいくらかの取り分が残りやすいのです。

実際、自賠責保険では、被害者側の過失が大きいと、大幅に減額されたり支払いが行われなかったりもするので、その意味でもやはり健康保険を利用して通院すべきと言えます。

交通事故後の通院治療は、意外と健康保険を利用すべき場合があるので、覚えておきましょう。

保険会社からの治療費打ち切り後、病院で健康保険を使うメリットは大きい

交通事故後の通院期間が長引いてくると、相手保険会社が治療費の支払いを打ち切ってくることがよくあります。
この場合、医師に意見書などを書いてもらって相手の保険会社にまだ通院が必要なことを主張すると、支払いを受けられることもありますが、多くの場合では、一度治療費支払いを打ち切られたら、再度支払いを受けることが難しくなります。

そこで、この場合には健康保険を利用して病院に通院することが多いですが、治療費打ち切り後に健康保険を利用して病院に通院することについては、どのようなメリットがあるのでしょうか?

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1.被害者は治療費負担を軽くできる

まず一番のメリットは、被害者が病院で支払う治療費の金額が抑えられるので、被害者の負担が軽くなることです。

もし健康保険を使わなければ、全額実費負担になるので、病院で支払う治療費が非常に高額になってしまいます。そのような高額な治療費を支払い続けていたら、いずれ通院が困難になることは目に見えています。

ここで健康保険を使うと、自己負担額が1割~3割に減額されるので、非常に助かります。その程度の負担なら、症状固定まで安心して通院を継続することができます。

2.多くの損害賠償金を受け取ることができる

健康保険を使うと、その分自賠責保険を使わずに済むので、自賠責保険による入通院慰謝料などを多く受け取ることができるようになります。

さらに、健康保険を使うと、被害者にも過失割合がある場合や高い場合に特にメリットがあります。この場合、治療費を自賠責保険から支払ってもらったら、その分がすべて過失相殺されて、被害者が受け取る金額が低くなってしまいます。

それに対し、健康保険を利用して治療費を支払った場合、治療費に相当する部分が少なくなるので、全体として過失相殺される金額が低くなり、減額の度合いが少なくなって被害者の取り分が多くなるのです。

交通事故の治療に健康保険を使うメリットとデメリット

健康保険を使って通院するメリットとデメリットをご紹介します。

健康保険を利用するメリット

メリットについては、今まで述べてきた通りです。おさらいすると、健康保険の利用によって被害者の自己負担額が1割~3割に抑えられるので、支払いの負担が軽くなることです。

また、被害者側の過失割合が高い場合にも利用できますし、その場合、自賠責保険を利用した場合よりも被害者が受け取る賠償金の金額が高くなります。

また、健康保険の利用によって、自賠責保険の枠を使わずに済むので、その分を入通院慰謝料に充てることができるので、その意味でもやはり被害者が受け取る保険金が上がる可能性があります。

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健康保険を利用するデメリット

次に、健康保険を使って通院をするデメリットがあるのかどうか、考えてみましょう。

1.健康保険が使えない病院がある

健康保険を使う一番のデメリットは、健康保険が使えない病院があるということです。確かに、法律上や制度上で、交通事故後の通院について健康保険が利用できないという制限はないので、本来ならどこの病院でも健康保険が使えるべきです。しかし、病院の判断で、健康保険による診療に応じないことがあるのです。

それらの病院は、健康保険を使われると自由診療ができず、病院に入ってくる診療報酬の金額が少なくなるので、交通事故の場合には自由診療をするようにすすめています。

また、自由診療にしないと十分な治療ができないなどと言っている病院もあります。いずれの理由にしろ、被害者にしてみれば、健康保険の利用を断られるのですから、不利益があります。

2.診療の幅が狭くなる可能性がある

健康保険を利用するもう1つのデメリットは、健康保険利用によって、保険が効く内容の診療しか受けられないので、診療の幅が狭くなる可能性があることです。

交通事故による怪我は、単純で健康保険がきくようなものも多いですが、複雑だったりまだ研究がさほどすすんでいない分野の症状などもあり、健康保険がきかない診療方法があります。健康保険を使っても治療ができるけれども、自由診療にした方がよりよい治療を受けられるケースもあります。

ここで、健康保険を使って通院していると、保険がきかない診療方法については実施してくれないので、被害者にとってはベストな治療を受けられない可能性があるのです。

健康保険を使うと、このようなデメリットもあるので、覚えておきましょう。

交通事故の治療費で健康保険を使う上での注意点

交通事故後の治療のために健康保険を利用する場合、いくつかの注意したいポイントがあるので、以下でご紹介します。

保険会社から健康保険への切り替えを勧められたときの対処法

まず1つ目として、保険会社から治療費の支払いを打ち切られて健康保険への切り替えを促された場合の対応方法です。

この場合、打ち切り前であれば、保険会社と交渉をして、治療費の支払いを継続してもらえる可能性があります。

そこで、病院の担当医に「今後〇〇ヶ月間の通院治療が必要」などの意見書を書いてもらって相手に提出し、交渉してみましょう。それによって、治療費の支払いを継続してもらえたら、その方が安心して治療を継続出来ることがあります。

また、実際に治療費の支払いを打ち切られてしまったら、その場合には、相手の保険会社にいくら言っても再開してもらうことは困難なので、健康保険に切り替えた方が良いです。健康保険に切り替える際には、自分が加入している健康保険組合に対して連絡をして「第三者行為による傷病届」という書類を提出しなければなりません。

これを提出することによって、その後の交通事故の通院治療について、健康保険を利用して継続することができるようになります。

病院によっては、健康保険の利用を断られることがあります。このとき、健康保険が使えない理由はないはずだと言って交渉をすれば、健康保険を使わせてもらえることもありますが、どうしてもダメな場合には、別の健康保険が利用できる病院を探して通院を継続しましょう。

どのような手段を使っても、交通事故後の通院治療は症状固定まで継続することが大切です。

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交通事故の過失割合によって最終的な自己負担額も変わる

健康保険を利用して通院する場合、被害者の過失割合によっては、自賠責保険を利用する場合(相手の保険会社に出してもらう場合)と比べて、被害者が最終的に受け取る金額が大きく変わってくる可能性があります。

被害者の過失割合が30%のケース

たとえば、被害者の過失割合が30%のケースを考えてみましょう。この場合、総損害額から被害者の過失割合が30%なので、3割が減額されて、更に支払い済みの治療費を引いて被害者が受け取る金額になります。

   自賠責保険 健康保険
治療費 300万円 45万円
その他損害 300万円 300万円
総損害額 600万円 345万円
3割金額 180万円 103万5千円
総損害額-3割(過失相殺) 420万円 241万5千円
治療費を引いた総額(受取金額) 120万円 196万5千円

被害者が最終的に受け取る金額は、自賠責保険を利用した場合は120万円、健康保険を利用した場合は196万5千円となります。

被害者の過失割合が40%のケース

過失割合が40%のケースを見てみます。

同じように被害者側の過失割合が40%なので、4割が減額されて被害者の受け取り分となります。

   自賠責保険 健康保険
治療費 300万円 45万円
その他損害 300万円 300万円
総損害額 600万円 345万円
4割金額 240万円 138万円
総損害額-4割(過失相殺) 360万円 207万円
治療費を引いた総額(受取金額) 60万円 162万円

被害者が最終的に受け取る金額は、自賠責保険を利用した場合は60万円、健康保険を利用した場合は162万円となります。

このように、過失割合が高ければ高いほど、被害者が受け取る金額は少なくなってしまいますが、健康保険を利用した場合には、比較的被害者が受け取る金額が高くなることがわかります。

交通事故では、損害賠償金額の総額にばかり目が行きがちですが、実は過失割合が大きな問題になるので、忘れてはいけません。

過剰診療とみなされないように注意しよう

交通事故後の通院治療については、過剰診療の問題にも注意が必要です。過剰診療とは、医学的には重要性が低かったり必要性がなかったりする過剰な診療のことです。

健康保険を使わず自由診療にした場合などには、保険から医療費がまかなわれるからと言って、必ずしも必要ではない過剰な診療が行われることがあります。そうなると、当然保険会社の方に高額な請求がいきます。

ここで、不自然な治療方法がとられていたら、過剰診療だと判断されて、最終的にかかった治療費の支払いを受けられなくなることがあります。

過剰診療かどうかについては、その治療内容に医学的な合理性があるかどうかで判断されます。

一概に言うことはできませんが、実際の症状や怪我の程度に対し、一般的ではない高額な治療方法をとっていたり、あまりに濃厚な治療が行われたりしつこく検査が行われたりしていると、過剰診療として治療費支払いが認められないことがあります。

もちろん、一般的な治療法ではない方法であっても、それが症状の改善のために効果を上げているならば過剰診療とは言えないことも多いので、普通と異なる診療方法をとることが一切認められないというわけではありません。

交通事故後の通院治療をする場合には、このようにいろいろな問題が発生する可能性があるので、注意が必要です。

治療費問題についてアドバイスがほしい場合

交通事故後の治療費の問題で悩んだら、交通事故に強い弁護士の相談を受けることをおすすめします。

交通事故を得意としていてたくさんの交通事故事件を取り扱っている弁護士であれば、事故後の自由診療や健康保険を使った診療方法などについて詳しいですし、ケースに応じてどのような治療方法を選択すべきかについてアドバイスをしてくれるので、助かります。

健康保険を使おうかどうか悩んでいる場合や、相手の保険会社から治療費を打ち切られて困っている場合などには、是非とも一度、交通事故を得意とする弁護士の無料相談を受けてみましょう。

今回の記事を参考にして、賢く健康保険を利用して、交通事故後の治療を確実に行いましょう。

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