2017.8.22 更新

交通事故で弁護士に依頼するタイミングとは|失敗しない相談方法

弁護士依頼時に注意するポイント

交通事故被害に遭って,弁護士に依頼する場合,解決するまでに,早くても1か月,裁判になった場合は1年以上かかることがあります。長い付き合いになりますので,フィーリングが合うことも大切です。相談時によく話をし,自分の話をよく聞いてくれるか,専門的なことをわかりやすく説明してくれるか,事故やケガ,後遺症の内容に応じて,今後の見通しについて具体的に説明してくれるかなどを判断することが大事です。
また,弁護士に依頼するとなると,費用面も心配になることと思います。
各弁護士が報酬基準を定めていますので,弁護士費用についてしっかり説明を受け,依頼する場合には報酬契約書を作成し,報酬の支払い時に弁護士と思わぬトラブルにならないようにする必要があります。
弁護士に相談したとしても,その弁護士に依頼しなければならないものではありません。
各弁護士会で交通事故無料相談を実施していますし,ホームページで交通事故法律相談無料と宣伝している法律事務所も多くあります。
長い付き合いになることを考え,一度の相談でその弁護士に依頼することの決断ができない場合には,複数の弁護士に相談したうえで,納得のいく弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士を依頼するメリットとは?

弁護士に依頼しない場合,保険会社との対応はご自身で行う必要があります。
事故状況やケガの内容にもよりますが,治療がまだ必要であるにもかかわらず,事故から3か月,6か月,1年という期間で区切って,保険会社負担での治療の打ち切りを求められるケースがよくあります。
また,けがのために仕事ができない場合でも保険会社が休業損害の支払いを拒むことや途中で打ち切ることもあります。
治療が終わり,最終の示談交渉になった場合でも,保険会社が提示する示談金額は,通常裁判所で認められる損害額を大幅に下回ることがほとんどです。
治療期間中や治療終了後の示談交渉においても,保険会社は可能な限り,支払う保険金を低額に抑えようとしますので,これにご自身で対応し,適切な損害賠償を得ることは困難です。
保険会社としても,弁護士が入っていないケースで,裁判所基準での損害額を支払うことはほとんどありません。
このように,治療中,治療終了後において,ご自身で保険会社と交渉することはストレスも大きく,弁護士が入っていないことで,通常認められるべき金額よりも低額の示談金しか得られません。
弁護士に依頼すれば,保険会社との煩わしい交渉を任せることができ,最終的に得られる賠償金もご自身で交渉するよりも高額になります。
交通事故被害については,弁護士費用を負担したとしても,弁護士に依頼するメリットは大きいといえます。

弁護士依頼で増える損害賠償額?

損害賠償額の計算には,自賠責基準,任意保険会社基準,裁判基準(弁護士基準)があり,この順に金額は大きくなります。
自賠責基準は法律で定められた基準であり,裁判基準はこれまで積み重ねられた裁判例の蓄積に基づく基準であり,日弁連交通事故相談センター発行の「民事交通事故訴訟損害賠償基準」(通称「赤い本」)などで公表されています。
任意保険会社基準は保険会社内部の基準であり,公表されているものではありませんが,裁判基準を大幅に下回ります。
損害賠償の内訳は主に,①治療費②通院交通費③入院雑費④休業損害⑤入通院慰謝料⑥後遺障害慰謝料⑦後遺障害逸失利益に分けられます。
①治療費及び②通院交通費については,治療期間に争いがなければ保険会社基準,裁判基準で異なるものではなく,特段問題になることはありません。
治療が長引き,途中で保険会社負担での治療を打ち切られた場合には,保険会社が打ち切った後の治療費及び通院交通費については,弁護士に依頼しても,示談段階で保険会社が支払いに応じることはそれほど多くはありません。
しかし,治療期間は主治医の意見が尊重されるべきであり,裁判をすることによって,主治医が症状固定(それ以上治療しても症状の大幅な改善が見込めない状態)と判断した時期まで,治療費及び通院交通費が認められる可能性が高まります。
③入院雑費については,弁護士基準では入院1日当たり1500円,自賠責基準では1100円です。任意保険会社は1200円程度で提案してくることが多いです。
④休業損害については,休業の必要性や収入に争いがなければ,保険会社基準,裁判基準で異なるものではありません。
⑤入通院慰謝料は,例えば,入院1か月,通院6か月の場合,裁判基準では149万円となります。
 自賠責基準では,入院期間+通院期間か実通院日数×2のいずれか短い期間に4200円をかけた金額になります。
 上記の例では上限が88万2000円となり,実通院日数によってはこの金額を下回ります。
 任意保険会社基準も自賠責基準と大差はありません。
⑥後遺障害慰謝料は,裁判基準では,1級で2800万円,14級で110万円です。
 自賠責基準では1級で1100万円(常に介護を要するものと認定された場合は1600万円),14級で32万円です。
 任意保険会社も自賠責基準と大差はありません。後遺障害慰謝料は,弁護士に依頼することで大幅に増額する可能性があるでしょう。
⑦後遺障害逸失利益は,むち打ち症などの神経症状の場合,任意保険基準では,労働能力喪失期間を,14級の場合で2年,12級の場合で5年に限定することが多いです。
 裁判基準では14級で5年,12級で10年認められることが多いです。
以上のように,入通院慰謝料,後遺障害慰謝料,後遺障害逸失利益は,弁護士に依頼することで増額される可能性が大きいといえます。

加害者側に対する弁護士の交渉

弁護士が受任した場合,加害者や保険会社に受任した旨の通知を行い,その後は,受任弁護士が窓口となって加害者側と交渉することになり,被害者が加害者側と直接話をする必要はなくなります。
弁護士の主な仕事としては,治療終了後の示談交渉となります。
治療中も,保険会社から休業損害の支払いや治療費の負担の打ち切りを求められた場合,休業や治療継続の必要性について医師の意見を求めるなどし,保険会社と交渉することもあります。
治療終了後は,後遺障害の認定手続を行い,その後,事故状況や,治療期間,後遺障害の内容などに基づき損害額を計算し,加害者側にそれを提示し,示談金額の交渉を行っていくことになります。
示談交渉がまとまらなければ訴訟提起し,加害者に対し裁判所で損害賠償請求をすることになります。

弁護士を選ぶ判断基準

交通事故案件は,裁判例が積み重ねられ,治療期間,後遺障害等級,事故状況に基づく過失割合などに応じて,損害賠償基準は類型化されています。
そのため,通常の弁護士であれば,その基準にあてはめ,損害を計算することは可能です。
もっとも,後遺障害の認定には医学的知識が不可欠であり,適正な後遺障害等級の認定をえるためには,弁護士自身がある程度の医学的知識を有していることが望ましいといえます。
また,後遺障害等級の認定方法については,関節の主要運動の可動域制限や,場合によっては主要運動のみではなく参考運動の可動域も考慮して,後遺障害等級を認定することもあります。このように,弁護士は医学的知識のみではなく,後遺障害の認定方法についても熟知している必要があります。
遷延性意識障害(いわゆる植物状態)や高次脳機能障害(記憶障害,判断力低下,注意力低下,人格変化などの障害)など,重篤な後遺症害が残ったような場合には,将来の介護費用の問題等,複雑な知識が必要となってきます。
適切な損害賠償を得るためには,医学的知識や後遺障害等級認定手続に精通していることは最低条件であり,重篤な後遺症害が残ってしまった場合には,そのような案件についての取り扱い実績がある弁護士を選ぶことが大切です。

弁護士に聞くべき事項とは?

依頼しようとしている弁護士が,交通事故被害について,どれだけの知識経験を有しているかを確認するためには,疑問に思っていることは何でも質問することが大切です。
治療期間と慰謝料との関係,後遺障害等級認定手続の内容,症状から後遺障害等級が何級に認定される可能性があるのかなどを質問することで,その弁護士がどの程度の知識・経験を有しているのかをある程度確認することができます。
また,細かいことでも,いろいろと質問することで,その弁護士が丁寧にわかりやすく説明してくれるかを判断することができます。
重篤な後遺症害が残った案件などは,損害賠償額も高額となりますので,弁護士の知識・経験で大きな差が生じることがあります。
そのような案件では,率直に,そのような交通事故被害の取り扱い実績を聞くことをお勧めします。

弁護士相談時に用意する資料とは?

弁護士に相談する際には,まずはご自身が加入されている自動車保険の保険証書をお持ちください。
弁護士費用特約の有無や,人身傷害補償保険特約の有無を確認する必要があります。
弁護士費用特約に加入していれば法律相談費用や事件を依頼する場合の弁護士費用は保険会社が支払うことになりますので,原則とし自己負担0円で相談・依頼が可能です(法律相談については10万円,弁護士費用は300万円を上限としている保険が多いです)。
人身傷害補償保険は,加害者と交渉することなく,自らが加入している保険会社の基準で,損害の補償を受けられるものです。自らにも過失がある場合には,自分の過失に相当する部分に充当されるため,加害者側からの賠償と人身傷害補償保険金の支払いにより,自分に過失がある場合でも,全損害について保証が受けられる可能性が高まります。
事件処理に必要なものとしては,交通事故証明書があります。
これは警察に交通事故の届けを行っている場合に,自動車安全運転センターで発行してもらえます。
事故により休業している場合には,事故前の収入がわかる資料(給与明細,所得証明など)も必要となります。
治療が終了し,保険会社から示談の提案があったのちに,相談する際には,保険会社提示の示談案はかならずご用意ください。保険会社の示談案が出ていれば,それが適正に計算されているか,争点は何かが判明し,スムーズに事件処理を進めていくことができます。
相談時には,事故に関係する資料は全て用意することが望ましいですが,依頼後に弁護士が,加害者側保険会社から資料を取り寄せることも可能です。
資料についてはとりあえず手元にあるものだけ用意して,まずは相談をすることをお勧めします。

弁護士依頼のタイミングとその理由

弁護士に依頼するタイミングとしては,①事故直後,②治療期間の途中から,③治療終了後,などが考えられます。
事故が起こってすぐに弁護士に依頼することはまれで,治療期間中に保険会社から治療の打ち切りを求められたり,治療終了後に保険会社から示談の提案が出されたときに弁護士に相談するケースが多いようです。
しかし,弁護士に依頼するのであれば,できるだけ早い段階で相談しておくことをお勧めします。
慰謝料の額は通院頻度によっても変わってきます。
医師の指示や同意がない場合の接骨院での治療は保険会社が否定する可能性があります。
治療を受ける際には,毎回,症状を一貫して余すところなく医師に伝え,カルテに記載してもらうことにより,治療終了後の後遺障害認定に有利な証拠として残すことができます。
後遺障害診断書の内容についても,必要であれば弁護士が医師と協議し修正等を依頼することで,適切な後遺障害認定につながります。
このように,適正な損害賠償を得るためには,治療期間中から法的なアドバイスを得ておくことが必要です。
保険会社は,弁護士が入っていなければ,裁判所で認められる基準よりも低い金額しか提示しません。
交通事故被害についは,ほとんどのケースで弁護士に依頼したほうが,賠償金額は増加します。
いずれ弁護士に依頼するのであれば,できるだけ早いタイミングで相談することが適正な損害賠償の取得につながります。

弁護士費用と支払方法

弁護士費用は,①法律相談料,②着手金,③成功報酬に大別されます。
原則として,①法律相談料は,法律相談を行ったとき,②着手金は正式に事件処理を依頼した時,③成功報酬は事件が終了したときに支払うことになります。
なお,事件処理を依頼した後は,別途法律相談料は発生しないことが一般的です。
ご自身が加入している自動車保険で弁護士費用特約に入っている場合には,弁護士が直接保険会社に弁護士費用を請求することができますので,依頼者が弁護士に費用を支払う必要はありません。
弁護士費用特約に入っていない場合には,ご自身で弁護士費用を支払うことになりますが,その場合,法律相談料,着手金,成功報酬は,各弁護士が定めた基準・支払い方法によることになります。
ホームページで法律相談料,着手金を無料と宣伝している弁護士も多くあります。
もっとも,着手金を無料としている分,成功報酬が通常よりも高めに設定されているケースもあります。
弁護士費用特約に入っていない場合は,よく説明を受け,納得したうえで,報酬契約書を作成してもらうことが必要です。

弁護士依頼は裁判が必須条件?

弁護士に依頼したとしても全ての案件で裁判になるわけではありません。
まずは,示談交渉を行い,それがまとまらない場合に裁判になります。
まず,示談をするメリットとしては,早期の解決が可能なことが挙げられます。
後遺症害の認定が終わってから,1か月以内で示談締結に至ることも多いです。
裁判をするメリットとしては,示談では通常支払われない遅延損害金と弁護士費用の支払いを請求することが可能なことが挙げられます。
遅延損害金は事故発生の日から損害賠償金が支払われるまで年5%の割合で計算します。
弁護士費用は損害額の10%程度を請求可能です。
裁判のデメリットとしては,やはり時間がかかることで,早くても半年,長ければ2年以上解決までかかることがあります。
示談で解決するためには,弁護士に依頼したとしても,被害者側も一定程度譲歩することが必要となるケースが多いです。
弁護士としては,事件の内容に合わせて,示談で解決するメリット,デメリット,裁判を起こした場合の損害賠償額の見込みや解決までに要する期間の予測を依頼者に説明したうえで,示談をするか裁判をするか,依頼者とともに考えます。

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