2017.9.1 更新

交通事故の弁護士に不満がある|担当の変更ってできるものなの?

弁護士の変更は可能?

「弁護士の変更」は可能です。
ただし「余分な費用」が発生する可能性が高いので注意しましょう。
これまで相談していた弁護士へ支払う報酬と合わせて、新しい弁護士に着手金を支払う必要があります。
着手金を二重払いしなければならないので、依頼者の経済的負担が大きくなってしまいます。
また、現在の弁護士が進めていた交渉を1からスタートするのであれば、その分の費用も重複しますので無駄になると言えます。

だから、追加費用を節約したい場合は、初期費用ゼロの「交通事故専門」の弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士を変更したい理由にもよりますが、「交渉内容に不満がある」のであれば、交通事故に強い弁護士を選ばなければ、再度同じ不満を抱えることになりかねません。
弁護士を変更する場合は「着手金の有無」と「交通事故交渉の経験」に注目して、変更することをおすすめします。

弁護士を変更する判断基準

弁護士を変更する明確な「基準」は存在しませんが私が実務上感じるのは「交通事故の示談交渉の経験」と「相性」です。
逆にこれを理由に変更しないほうが良いと感じるのが「交渉の遅さ」です。

まず重要なのは、「交通事故の示談交渉に特化しているかどうか」です。
一口に弁護士と言っても、離婚問題に強い弁護士や、借金関係に強い弁護士、などそれぞれに得意分野があります。
いくら地元で有名な実力があるとされている弁護士でも、交通事故の示談の経験が少なければ、交通事故示談の現場ではそれほど力を発揮しません。
だから、交渉中に「あれ?この人言っていることがおかしいな」「保険会社の言いなりになってるんですけど」と感じたら、交通事故の経験について質問をしてみてください。
それで「明確な答え」が返ってこなければ、弁護士変更もやむなしと判断してよいでしょう。
次に大切なのが「相性」です。
交通事故の示談経験が豊富な凄腕弁護士でも、相性が合わず不快を感じてしまうようでは「意思の疎通」が上手にできませんので、自分の思うような示談結果にならない可能性があります。
「交通事故示談交渉の経験」「相性」のどちらか、もしくは両方に疑問を感じるようであれば、次の弁護士を探してみることをおすすめします。
もし、変更したいと思う理由が「交渉の遅さ」なら、踏みとどまってみてください。
特に後遺障害関係の依頼をしている場合、弁護士がいくら急いでも、自賠責調査事務所の認定は時間がかかりますので、短縮することはできません。
もちろん、交渉を放置していたり、スローペースで進めたりする弁護士もいますが、多くの場合が弁護士ではなく保険会社や調査事務所の事務手続きなどの「待ち時間」です。

弁護士変更の多さと理由

ここ数年で交通事故専門の弁護士が急増したため、示談交渉を弁護士に依頼する被害者が激増しています。
それと同時に、交通事故の弁護士を交渉途中で変更する被害者も急増中です。
交通事故で悩む被害者の人数の増加に合わせて、交通事故に特化した弁護士も増加して弁護士の選択肢が増えたため、簡単に新しい弁護士を探すことができるようになったからです。
弁護士を変更する理由で、多いのが「進捗状況の連絡不足」「態度が悪い」「交渉内容に不満がある」「交渉が遅い」です。
弁護士の中には、接客態度がぞんざいで上から目線な人も少なからずいますので、その態度に業を煮やして変更する人が多いようです。
この中で最後の「交渉が遅い」という点は、弁護士の力量だけではなく保険会社や自賠責調査事務所の事務作業にかかる時間に左右されることなので、「変更するにはもったいない理由」だと思いますが、他の3つの理由は変更したくなってもしょうがないものばかりです。

着手金はどうなる?

1度支払った着手金が返金されるかどうかは、依頼時に結んだ契約内容によります。
契約に「解任しても着手金は全額支払うこと」と明記されていれば、着手金を返金してもらうことは、ほぼ不可能になります。
ただし、着手金の金額が不当に高額な場合には適正な着手金との差額を請求することは不可能ではありません。
「着手金の金額は相場通りだけど1円も返ってこないのはどうしても納得できない」のであれば、着手金の返還訴訟を起こすこともできますが、交通事故の示談交渉よりも難易度が高くなることを覚悟しておいてください。
もし、同じ失敗をしたくないのであれば着手金ゼロの弁護士に依頼することをおすすめします。

完全成功報酬型で弁護士解任すると?

最近急増している「完全成功報酬型」の弁護士を解任した場合、実働期間に応じた報酬を請求されます。

「途中で解任した場合も無料です」となると、交渉の終盤で何らかの理由をつけて弁護士を解任する人が出てきてしまいますよね。
完全成功報酬型とは言え、弁護士も商売なので、解任までの費用は請求されます。
示談交渉が完結していなかったとしても、弁護士がその案件について時間を割いて交渉や事務処理をしていたことに変わりはありませんので、請求された費用を支払いましょう。
具体的には、交通費や文書代、宿泊費用などの実費と弁護士に支払う報酬です。

スムーズな弁護士変更方法

弁護士をスムーズに変更したければ、自分の口で弁護士に「変更したい旨」を伝えてください。
新しい弁護士に通知してもらうこともできない訳ではありませんが、弁護士も人間なのでいきなり他の弁護士から解任を告げられると、大変感情を害してしまいます。言いづらいようであれば「家族の知り合いに弁護士がいてそちらに依頼せざるを得なくなった」と言う方便を使っても良いと思います。
弁護士は解任されるので良い感情を抱くことはありませんが、仕事なので淡々と了承してくれるはずです。

その際に、事故に関する書類は全て返還してもらうことを忘れないでください。
弁護士は規定により、交渉のために預かった個人情報や資料は全部返却しなければならない、と決められています。
資料の返却を拒むようであれば、最寄りの弁護士会に相談してみましょう。
また、現在の交渉状況も口頭でも構わないので教えてもらいましょう。
現在「何待ちなのか」ということをはっきりさせておくとが大切です。
交渉のボールが、保険会社にあるのか、こちらにあるのかを確認して、新任の弁護士に伝えてください。
保険会社への通知は新任の弁護士が行ってくれますので、わざわざ被害者さんが連絡をしなくても大丈夫です。

弁護士変更後でも仕切り直せない状況とは?

弁護士を変更してもリセットできないのは「示談」と「症状固定」です。
すでに「示談書」に署名捺印を済ませて、示談が完了している場合は弁護士を変更しても、示談内容を覆すことはできません。
例外的に、請求し忘れた費用や、後遺障害が判明した場合は、追加で支払ってもらえることもありますが、かなりのレアケースと思ってよいでしょう。
奇跡的に示談のやり直しが成功したとしても、示談内容から大幅に賠償金をアップさせるのは、さすがの弁護士でも至難の業です。
次にリセットするのが難しいのが症状固定です。
保険会社が症状固定を迫っているだけならやり直しがききます。
しかし、病院が症状固定の診断書を提出して、被害者も納得していた場合、症状固定を覆すのは至難の業です。
すでに後遺障害の認定作業に入っている場合は、ほぼ無理と思ってよいです。
その場合は、症状固定の撤回よりも、後遺障害の慰謝料や逸失利益などの交渉に力を入れてもらうことで、ある程度挽回できますので、すでに相乗固定が確定している場合も、あきらめずに弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士選びで重要なポイント

弁護士選びで重要なポイントは「交通事故に強い弁護士であること」「聞く耳を持った弁護士であること」「経過連絡をマメにくれる弁護士であること」です。
弁護士と言っても離婚問題に強い弁護士、企業法務に強い弁護士、債務関係に強い弁護士、など、それぞれに得意分野がありますので、「交通事故に強い」ことをアピールしている弁護士に依頼しましょう。
その上で弁護士と直接話して、次の2点を確認してください。
まずは「どれくらいの頻度で連絡をくれますか?」と質問してください。
途中経過に変化があってもなくても、一言連絡があるだけで、安心感が違います。
そして、「ちゃんとこちらの話を聞いてくれるのか」ということを会話の中で、ジャッジしましょう。
いくら交通事故に強くて、連絡をマメにくれる弁護士でも被害者の要望をくみ取らずに示談交渉をすれば、希望する示談内容にはなりません。
少し面倒かもしれませんが、電話でもメールでもよいので弁護士と直接コンタクトを取って上記の3点を確認してみてください。

法テラスや交通事故紛争処理センターでの弁護士変更は?

法テラスに弁護士無料相談をしている場合、基本的には被害者の要望で弁護士を変更してもらうことはできません。
法テラスの民事法律扶助業務「代理援助」(着手金や報酬を分割払いにしてもらえる制度)を利用している場合は、法テラスの承認を得なければ、弁護士を解任することはできません。
交通事故紛争処理センターの無料相談や和解あっ旋も基本的には弁護士の変更はできないと考えて下さい。
もし、違う弁護士に依頼したいのであれば、有償の弁護士を自分で探すことになります。

弁護士特約利用での弁護士変更は?

任意保険の弁護士特約で、弁護士に依頼している場合も弁護士の変更は可能です。
ただし、変更したい旨を弁護士だけではなく、保険会社に通知してください。
保険会社が「いいですよ」と言えば変更することができます。
保険会社に通知せずに、勝手に弁護士を変更すると「弁護士特約から保険金が支払われない」可能性があります。
保険会社も鬼ではありませんので、「弁護士を変更してしまったんですが、特約は使えますか?」と聞かれて、頭ごなしに支払いを拒否することはありませんが、約款には「前もって通知すること」と記載されているので、忘れないようにしましょう。
きちんと通知してから、弁護士を変更すれば全く問題ありません。
1人目の弁護士に支払う費用も、2人目の弁護士に支払う着手金や成功報酬なども弁護士特約が適用されます。
ただし、弁護士特約には上限金額が設定されていますのでご注意ください。
多くの保険会社の上限金額は、300万円なので2人の弁護士への報酬総額が300万円を超えてしまうと、弁護士費用を自己負担しなければなりません。

万が一弁護士特約の上限を超えた場合は、上限を超えてしまった段階で、超過した分が依頼者の自己負担になります。
弁護士を変更する場合は、保険会社に事前に通知した上で、「現在の弁護士への支払いが総額でいくらになるのか」そして「新しい弁護士へ支払う報酬の目安」を確認してから、手続きをしてください。

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