2017.6.16 更新

交通事故の弁護士費用の相場~被害者はどれくらい負担する?~

交通事故の問題を弁護士に相談したいと思っても、弁護士費用がかかることを考えると躊躇(ちゅうちょ)してしまうという人も多いでしょう。
しかし、交通事故示談交渉や後遺障害認定などは、交通事故問題に強い、評判の高い弁護士に依頼したほうが確実に有利に進められます。
そこで今回は、「弁護士費用はいくらかかるのか」や「それを相手側に負担してもらうことはできるのか」といった、交通事故の示談交渉における弁護士費用について解説します。

目次

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼した場合の、弁護士費用の相場は?

交通事故で弁護士に示談交渉を依頼した場合の費用は、弁護士事務所(法律事務所)によってさまざまです。なぜなら、日弁連(日本弁護士連合会)が以前に定めていた報酬基準が廃止され、弁護士費用が自由化されたからです。

そのため、各弁護士事務所が独自の基準で弁護士費用を定めています。

ただし、現在もこの報酬基準を使用している事務所は少なくありません。

実は、弁護士費用の内訳は「法律相談料+着手金+報酬金(成功報酬)」となっています。

そのなかで、費用の体系は大きく次に挙げる2つのパターンに分けられます。

(1) 依頼するまでに相談料や着手金で約10万円~20万円がかかり、事件が解決したときに、弁護士の介入によって上がった損害賠償金や示談金(経済的利益)の10%程度が報酬金として加算されるパターン
(2) 着手金までの費用が無料で、事件が解決したときに報酬金を支払うパターン

それでは、弁護士費用の内訳について、もう少し詳しく見てみましょう。

弁護士費用の内訳(法律相談料・着手金・報酬金)

まずは法律相談料です。これについては、ほとんどの事務所で30分5000円(+税)になっています。ただし、最近では交通事故の法律相談を無料にしている弁護士事務所もたくさんあります。

また、弁護士に依頼をするときには、基本的に初期費用として着手金がかかります。着手金とは、弁護士に何らかの案件への対応を依頼したときに支払うお金です。普通、着手金として10万円~20万円程度かかるものの、なかには無料という弁護士事務所もあります。

示談が成立して案件(事件)が解決したら、報酬金(成功報酬)を支払います。報酬金とは、案件が解決したときに、その結果(経済的利益)に応じてかかってくる費用のことです。交通事故の場合には、弁護士の介入によって損害賠償金や示談金が増額された分の10%程度を報酬金として支払うことが多いです。

弁護士費用の内訳
法律相談料 30分で5000円(※無料となっている弁護士事務所も多くある)
着手金 10万円~20万円程度
報酬金 経済的利益の10%程度(※弁護士事務所によっては「+20万円」といった、一定額がかかる場合もある)

例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

交通事故に遭った被害者が、A弁護士事務所に相談に行って5000円を支払い、そこのB弁護士に示談交渉の依頼をして10万円を支払った。その後、B弁護士のおかげで示談金が100万円から300万円に増えた。

このケースでは、5000円の法律相談料と10万円の着手金に加えて、20万円の報酬金を支払います。つまり、合計で30万5000円の弁護士費用を支払うことになります。そして、受け取る示談金が300万円なので、被害者の手元に残るのは269万5000円となります。

弁護士費用の支払いのタイミングは?

弁護士費用を支払うタイミングは、一般的には下記のようになっています。

弁護士費用を支払うタイミング
法律相談料 弁護士への法律相談が終わった時点
着手金 弁護士に案件を依頼する時点
報酬金 案件が解決した時点

基本的に、各費用はその場で支払います。

ただし、交通事故問題の場合には、相手から示談金の支払いを受けられるので、弁護士が一度その示談金を預かります。

そして、その示談金から弁護士の報酬額を差し引いて依頼者に返金されるので、依頼者自身が財布からお金を出す必要がないことが多いです。

なかには、後払いが可能という弁護士事務所もあります。

弁護士費用の計算方法とモデルケース

ここでは、弁護士費用の計算方法とモデルケースを見てみましょう。

例えば、弁護士に相談(※5000円の支払い)をして、示談交渉を依頼したとします。そして、依頼をするときに着手金(※10万円の支払い)が発生するので、このタイミングで一括で支払います。

その後、弁護士が示談交渉を進めて、相手から500万円の支払いを受けられたとします。

弁護士が介入したことによって、示談金が200万円分増額されたとするなら、報酬金のパーセンテージを10%にした場合、弁護士に支払う報酬金は20万円です。

500万円の示談金は一度弁護士が受け取り、そこから20万円を差し引いて、依頼者に返金してくれます。つまり、依頼者には480万円が手元に残ることになります。

そして、当初に10万円の着手金と5000円の相談料を支払っているので、弁護士費用の総額は30万5000円(10万5000円+20万円)になり、依頼者が受け取る総額としては469万5000円(500万円−30万5000円)となります。

  • 弁護士費用の内訳は「法律相談料+着手金+報酬金(成功報酬)」
  • 弁最近では、交通事故の法律相談を無料にしている弁護士事務所もたくさんある
  • 報酬金は、弁護士の介入によって増額された損害賠償金や示談金(経済的利益)の10%程度を支払うのが一般的

交通事故の弁護士費用は、加害者側に請求できないの?

それでは、交通事故問題の弁護士費用を加害者に請求することができないのでしょうか。

交通事故では自分が被害者なのだから、弁護士費用も損害に含まれないのかと考えることがあります。できることなら、弁護士費用は負担したくはないはず。そこで、弁護士費用を加害者側に請求したいと思う人も多いでしょう。

しかし、残念ながら基本的に加害者側に弁護士費用を請求するのは難しいと言えるでしょう。なぜなら、日本では、自分の弁護士費用は自分で負担すべきという考え方があるからです。

交通事故問題では、弁護士費用を加害者に請求できる場合がある?

前に、基本的に加害者側に弁護士費用を請求するのは難しいと述べました。

しかし実は、交通事故問題では、加害者側に弁護士費用を請求できるケースがあります。それは、裁判(訴訟)で賠償金を請求する場合です。

交通事故の賠償金は、不法行為による損害賠償請求権に基づくものです。そして、この「賠償金の1割」については、弁護士費用も損害内容として認める扱いになっています。

そこで、裁判官が認めてくれた賠償金の1割分の弁護士費用を支払ってもらうことが可能です。

例えば、裁判で500万円の損害賠償額が認められた場合、その賠償額の1割にあたる50万円分の弁護士費用を、加害者側から支払ってもらうことができるわけです。

この点、自分のケースでは弁護士費用を請求できるのか、過去の判例ではどうなのか、一度弁護士事務所の無料相談サービスで聞いてみるのがいいでしょう。

弁護士費用は、加害者側にどうやって請求するの?

加害者側に対して弁護士費用を支払ってもらうためには、裁判をしなければなりません。そして、そのためには訴状という書類を作って、証拠書類をそろえて裁判所に提出する必要があります。このことを「提訴」と言います。

被害者が提訴をすると、その後に裁判所で審理が開かれます。何度か裁判所での審理を開いた後、最終的にお互いの主張や立証と証拠調べが終了したら、裁判官が判決を書きます。

この判決において、加害者側に対して賠償金と弁護士費用の支払い命令が出されるのです。

これにより、加害者側の保険会社は判決に従って、賠償金と弁護士費用の合計のお金を支払ってくれます。

このとき認められる弁護士費用の金額は、先ほど説明したとおり、認められた賠償金の金額の1割です。

負担したくない!弁護士費用を支払わなくていい方法はないの?

示談交渉により、加害者側から賠償金の支払いを受けられます。

しかし、前述のように基本的に(※裁判で請求する場合以外には)、弁護士費用については加害者側から支払ってもらうことができません。

そうなると、弁護士に依頼をしたくても、まとまったお金が用意できない被害者側にとっては大変です。それでは、被害者側で弁護士費用の負担をしなくても済む方法はないのでしょうか。

実は、被害者が弁護士費用を負担しなくてもいい方法があります。それは「弁護士費用特約」を利用することです。

  • 基本的に、弁護士費用を加害者側に請求するのは難しい
  • ただし、裁判で賠償金を請求する場合には、加害者側に弁護士費用を請求できる

弁護士費用特約を使えば、交通事故の弁護士費用は保険会社が支払ってくれる

前述のように、弁護士費用特約を利用すると、被害者が自分で弁護士費用を支払わなくてもよくなります。

それでは、弁護士費用特約とは一体どのようなものなのでしょうか。

弁護士費用特約ってどのような特約?費用を負担しなくていいって本当?

弁護士費用特約とは、自分の自動車保険につけることができる特約で、交通事故に遭って弁護士に対応を依頼したときにかかる費用を保険会社が負担してくれるものです。

例えば、交通事故で弁護士に相談をするとかかる法律相談料や、弁護士に対応を依頼したときにかかる着手金や報酬金、実費など、すべての費用をこの特約がカバーします。

例えば、交通事故で弁護士に相談をするとかかる法律相談料や、弁護士に対つまり、この特約をつけていると、かかった弁護士費用を自分の保険会社が負担してくれるわけです。

ただし、この弁護士費用特約でカバーできる金額には限度があり、交通事故1件について、法律相談料については10万円、事件依頼料(※着手金や報酬金、実費など)については300万円までとなっていることがほとんどです。

300万円もあれば、たいていの交通事故問題を解決できるので、被害者の負担が発生することは少ないはずです。また、300万円を超えたとしても、その部分を負担すればいいだけです。

弁護士費用を使うタイミングは、弁護士に法律相談をするときや示談交渉の対応を依頼するとき、調停やADR(裁判外紛争解決手続き)、裁判の対応を依頼するときなどです。

弁護士費用特約のメリット・デメリット

それでは、弁護士費用特約を使うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。

この点、費用の負担なしで弁護士に対応を依頼できるという、大きなメリットがあります。

弁護士に示談交渉を依頼したいけれど、弁護士費用がどれくらいかかるのかが心配で、依頼ができないという人もいることでしょう。しかし、弁護士費用特約に加入していると、その費用を気にせず弁護士に依頼ができるのです。

このように弁護士費用特約にはメリットがあるのなら、デメリットもあるのでしょうか。

この点、特にデメリットはありません。強いて挙げるとすれば、保険料が上がることくらいです。弁護士費用特約に加入すると、年間で1200円~1500円くらい保険料が上がります。

ただし、弁護士費用特約を使ったからといって、翌年に保険の等級が下がることはなく、保険料が上がることもありません。

弁護士費用特約が「利用できる」「利用できない」状況

弁護士費用特約は、どのようなときに利用できる(適用される)のでしょうか。

まず、契約者が交通事故に遭ったときです。この点、被害者が契約車両に乗っていなくても補償を受けられます。

例えば、バスやタクシーに乗っていたときの事故、友人の車やレンタカーなどに乗っていたときの事故、歩行中に車で轢かれたといった事故でも、この特約を利用できるのです。

また、契約者の配偶者や同居の家族、未婚の別居の家族が交通事故に遭ったときでも利用できます。

ただし、弁護士費用特約が利用できないケースもあります。それは、天変地異に基づく被害や、被害者自身に過失がある場合です。例えば、以下のような場合にはこの特約を利用することはできません。

弁護士費用特約が利用できないケース
・地震や津波などの被害によって交通事故が起こった場合
・被害者に重過失がある場合
・身を乗り出すなど、問題のある乗り方をしていた場合
・車をきちんと整備していなかったことによって事故が発生した場合

つまり、弁護士費用特約を利用するためには、正しく安全に車に乗っている(車を運転している)ことが必要というわけです。

弁護士費用特約を利用するうえで、保険会社の許可は不要です。特約の料金を払っている以上、特約を利用できるのは当然の権利だからです(※ただし、適用外のケースを除く)。

そのため、保険会社の担当者が良い顔をしなくても、気にせずに特約を利用しましょう。

なお、弁護士費用特約がいかに大切なのかが分かる、こちらの記事も参考になります。

弁護士を自分で指名することや、変更することが可能か?

弁護士費用特約を利用するとき、依頼する弁護士を自分で指名できるのでしょうか。

この点、保険会社が指名するものだと思われているようです。しかし、実際には依頼者が自分で弁護士を選ぶことができます。そこで、依頼したい弁護士がいるのなら、自分でその旨を伝えます。

その弁護士が依頼を受けてくれるのなら、保険会社にその旨と弁護士の連絡先を伝えましょう。そうすると弁護士と保険会社がやり取りをして、弁護士費用の支払いが行われます。

また、途中で弁護士を変えることも可能です。その場合にも新たな弁護士に依頼をして、保険会社にその旨の連絡を入れます。これにより、新たな弁護士と保険会社との間でやり取りをしてくれるようになります。

なお、自分で弁護士を探すのが難しい場合には、保険会社から弁護士の紹介を受けることも可能です。

弁護士費用特約に家族の誰かが入っていれば、自分も使える?

弁護士費用特約は、家族が加入している場合にも利用することができます。例えば、配偶者や同居の親族が弁護士費用特約に加入しているなら、加入をしていない本人も利用できます。

そこで、自分が交通事故に遭ったとき、自分の自動車保険に弁護士費用特約がついていなくても、親や配偶者の加入している自動車保険についているかどうかを確認しましょう。

そして、家族にも適用できる事案であれば、保険会社に連絡を入れて、弁護士費用特約を使わせてもらうといいでしょう。

示談成立までの期間が長いと、弁護士費用の金額も高くなるのか

交通事故の示談交渉は、非常に長引くことがあります。そこで、示談交渉の期間が長引いたら、弁護士費用の金額も高くなるのかが心配になる人もいるのではないでしょうか。

これについては、弁護士費用の計算方法によります。

先に説明したように、着手金と報酬金によって弁護士費用を計算する場合には、示談交渉の期間が長引いても金額は変わりません。

これに対し、タイムチャージ方式で弁護士費用を計算する場合があります。タイムチャージ方式とは、弁護士がその事件にかけた時間分だけ弁護士費用が加算される方式です。そのため、この方式の場合、示談交渉の期間が長引くとその分、弁護士費用がかさんでいきます。

なお、タイムチャージ方式の弁護士費用の相場は、1時間で1万円~5万円くらいになります。

最初から保険会社が弁護士費用を払うのか、まずは自費で立て替えるのか

弁護士費用特約を利用するとき、当初に弁護士費用を依頼者が支払ってから後に保険会社に請求するのか(被害者がいったん立て替えるのか)、保険会社から弁護士に直接支払ってもらうのかが気になる人がいるでしょう。

この点、多くのケースでは保険会社が直接、弁護士に費用を支払ってくれます。そのため、依頼者が立て替え払いをする必要はありません。

弁護士費用特約を利用すれば、手元にまとまったお金がなくても弁護士に依頼できるので、大変便利です。

弁護士費用特約に入っている場合と入っていない場合とで、どれくらい弁護士費用が異なる?

弁護士費用特約に加入するかどうかによって、どのくらい弁護士費用が変わってくるのでしょうか。

以下では、モデルケースによって説明しましょう。

Aさんは、交通事故で被害に遭い、弁護士に相談に行きました。そのとき、法律相談料として1時間で「1万円」かかりました。そして、その事務所のB弁護士に示談交渉の依頼しました。その際、着手金として「10万円」を支払いました。
その後、B弁護士が交渉をすることによって、損害賠償金の額が300万円分も増え、示談金の総額は「400万円」になりました。そこで、報酬金として「30万円(※300万円の10%)」を支払いました。

この場合、Aさんが弁護士費用特約を利用しないと、弁護士費用は「41万円(1万円+10万円+30万円)」かかってしまいます。そこで、Aさんの手元に残るのは「359万円(400万円-41万円)」となります。

しかし、弁護士費用特約を利用すれば、Aさんは上記の41万円の支払いが不要になるので、400万円全額が手元に残ることになります。

以上のように、弁護士費用特約を利用すると、弁護士費用の負担をする必要がなくなるので、とても助かります。

自分が弁護士費用特約に加入しているかどうか、確認する方法は?

自動車保険に加入していても、自分が弁護士費用特約に加入しているかどうかが分からないという人もいるかもしれません。

その場合、まずは保険証券を見てみましょう。そこに「弁護士特約」「弁護士費用特約」などの記載があったら、この特約に加入していることが分かります。

保険証券が手元にない場合や、保険証券を見ても分からない場合には、保険会社に問い合せをしてみましょう。

メールや電話などによって連絡をして、生年月日や契約番号などを伝えて本人確認をしたら、弁護士費用特約に加入しているかどうかを教えてもらえます。

  • 弁護士費用特約を使えば、かかった弁護士費用を自分の保険会社が負担してくれる
  • 弁護士費用特約でカバーできる金額には限度がある
  • 弁護士費用特約は、家族が加入している場合にも利用が可能

交通事故に遭った場合、弁護士費用が高くても弁護士に相談するべき?

交通事故問題の弁護士費用は、最低でも数十万円ほどになることが多いので、安いものではありません。しかし、高額な費用をかけてでも、示談交渉は弁護士に依頼をしたほうががいいのでしょうか。

弁護士に相談することによる、心理的なメリット

交通事故の対応を弁護士に依頼すると、被害者は非常に精神的に楽になります。

交通事故に遭うと、被害者はそれまでのように自由に身体を動かせなくなったり、生活が変わってしまったりして大きくストレスを抱えることになります。

そのなかで示談交渉までしなければならないとなると、ストレスはさらに大きくなり、治療にも専念しにくくなります。

しかし、弁護士に対応を依頼すると、相手との示談交渉はすべて弁護士に任せることができ、相手からの嫌な話を直接聞かなくて済むようになるので、かなりストレスが軽減されます。

また、プロ(専門家)である弁護士に任せれば、示談交渉を有利に進めてくれるので、受け取る示談金が多くなる可能性があります。

弁護士に依頼するときに気をつけるべき「費用倒れ」の問題

弁護士費用特約を利用せずに弁護士に示談交渉を依頼するときには、「費用倒れ」にならないかどうかを確認する必要があります。

費用倒れとは、交通事故の示談交渉などで回収できる示談金よりも弁護士費用のほうが高くなってしまうことです。この場合、被害者は不足分の費用を自分で負担することになってしまうので、注意が必要です。

例えば、軽傷で治療に1週間や1ヶ月ほどかかるケース、小さな物損事件などの場合、弁護士に依頼すると費用倒れになってしまいます。

弁護士費用特約を利用できるなら、このような場合でも弁護士に依頼をしても問題はないでしょう。

しかし、弁護費用特約を利用せず自費で支払う場合、些細な事件であれば弁護士に相談や依頼をしないほうが良いことがあります。

交通事故の被害者が、弁護士に相談しない場合に考えられるトラブル

前述のように、些細な事件の場合には費用倒れの問題があります。

しかし、交通事故に遭ったとき、基本的には弁護士に相談や対応を依頼すべきです。もし被害者が自分一人で対応をすると、以下のようなトラブルに遭う可能性があるからです。

例えば、相手側から不当に低い慰謝料(示談金)の提案をされても、それが不当に低いことに気づかずに受けてしまう可能性があります。

被害者は、適切な慰謝料の相場や計算方法を知らないのが普通なので、相手側の保険会社は、低額な任意保険基準による金額を提案してくることが多いです。

このとき、被害者が相場や計算方法を知らなければ、そのままの条件を受け入れて、本来請求できる場合よりも受け取る慰謝料が減ってしまいます。

また、相手側は高い過失割合を割り当ててくるので、被害者が受け取る示談金の金額が減ってしまう可能性があります。

さらに、被害者が長期間通院していると、相手側の保険会社が早く通院をやめるように促してきたり、通院をやめないと治療費の支払いを打ち切ってきたりします。

このことで、被害者が途中で通院をやめてしまい、必要な治療を受けられなくなってしまうケースも。その場合、後遺障害の等級認定を受けるのも難しくなってしまうこともあります。

このように、交通事故の対応を弁護士に依頼しないと、たくさんのトラブルが起こる可能性があるのです。

弁護士に依頼すべき状況とは?こんなときに役に立つ!

交通事故に遭った被害者が弁護士に依頼すべき典型的なタイミングは、以下のような場合です。

まずは、相手側が示談金を提示してきたけれども、その金額に納得できないケースです。

相手側の保険会社は、低額な任意保険基準で慰謝料の計算をしたり、被害者の過失割合を大きくしたりすることで、賠償金の金額を大きく減らそうとしてきます。そのため、被害者が納得できないことが非常に多いのです。

このような場合、弁護士に対応を依頼すると、弁護士が高額な弁護士基準(裁判所基準・裁判基準)を適用して慰謝料の計算をしてくれるだけでなく、適切な過失割合の認定をしてくれるので被害者の過失割合が下がり、賠償金の金額が上がります。

また、保険会社が治療をやめるように言ってきたときや、治療費の支払いを打ち切ったときにも弁護士に依頼しましょう。

このとき、自己判断で治療をやめてしまうと大きな不利益があるので、弁護士に依頼して、アドバイスを受けながら正しい対処をすることが必要です。

さらに、後遺障害の等級認定請求をするときにも、弁護士に依頼する必要があります。

この等級認定請求はある程度医学的知識も必要とする専門的な手続きなので、被害者が適切に進めて高い等級の認定を受けることが難しいからです。

  • 弁護士に依頼すると、被害者はストレスを抱えることなく、非常に精神的に楽になる
  • 弁護士費用特約を利用せずに依頼をする場合、回収できる示談金よりも弁護士費用のほうが高くなってしまう「費用倒れ」に注意する
  • 弁護士に依頼をしない場合、、被害者が受け取る示談金が少なくなる、必要な治療を受けられなくなるなどのトラブルが起きやすくなる

交通事故で弁護士費用が安い弁護士事務所に依頼するデメリット

示談交渉を弁護士事務所にお願いする場合、費用が安いところにしようと考えがち。でも、そのような考えを持っている人には「思わぬ落とし穴」が待ち受けています。

弁護士費用が安い弁護士事務所に依頼するデメリットとは?

弁護士に依頼をする際、なるべく費用が安い事務所にしようという人も多いはず。しかし、そのような事務所は必ずしもサービスが良いとは限りません。

交通事故で適切な額の示談金を受け取るためには、ある程度お金がかかっても、実績があり、評判の良い弁護士事務所に依頼をしたほうがいいのです。

費用が安いだけの弁護士事務所に依頼すると、受け取る示談金の額が低くなり、かえって損をする結果になることも多いので注意しましょう。

保険会社に紹介された弁護士には、依頼をしないほうがいい?

交通事故に遭って弁護士を探すとき、保険会社から弁護士の紹介を受けられることがあります。このときに紹介してもらえるのは、保険会社の顧問弁護士など、その保険会社と何らかの関わりのある弁護士です。

このように、保険会社から紹介された弁護士に依頼をすると、その弁護士の対応に不満があるなどの問題が起こる可能性があります。

そして、せっかく紹介を受けたのに弁護士にやめてもらいたいということになると、保険会社との関係が悪化してしまうおそれがあります。そもそも、変更自体が難しいというケースもあるのです。

また、保険会社が紹介した弁護士は、その保険会社の利益を考えながら動いてしまう可能性があります。つまり、被害者の利益よりも保険会社の利益を優先してしまうわけです。

当然ながら、そのようなことは表立っては言わないので、被害者は気づかないのが普通です。しかし実際には、弁護士が強く妥協をするように説得してくると思ったら、その裏には早く事件を解決させたいという保険会社の思惑があるという場合もあるのです。

このように、保険会社に紹介された弁護士を使うと、いろいろな問題が発生する可能性が高いので、依頼をする弁護士はなるべく自分で探すようにしましょう。

弁護士費用を抑える方法はあるの?

弁護士費用特約に加入していない人でも、弁護士費用をかけずに交通事故問題を解決する方法はあります。

それは、交通事故紛争処理センターなどのADR機関や調停、法テラスを利用する方法です。

ADR機関 ADRとは、裁判所以外の機関が間に入って交通事故問題を解決してくれる手続き(裁判外紛争解決手続き)のこと。
有名な交通事故ADR機関として、「交通事故紛争処理センター」「日弁連交通事故相談センター」がある。どちらもセンターの担当員(弁護士)が間に入って話を進めてくれるので安心。
調停 裁判所の調停を利用する方法。
調停では、裁判所の調停委員が間に入って話を進めてくる。手続きは難しくなく、弁護士に依頼をしないで、被害者が自分で進めることも可能。
法テラス 経済的に余裕がない場合には、法テラス(日本司法支援センター)を利用する方法もある。
法テラスでは、弁護士の無料法律相談を受けることが可能で、安い金額で弁護士に依頼ができる。

なお、必要な弁護士費用は法テラスが立て替えてくれます(民事法律扶助制度)。その場合、毎月1万円ほど償還(返済)していけばいいので、負担が小さくて済みます。さらに、生活保護受給者の場合には償還が不要になるので、弁護士に無料で依頼ができます。

ただし、法テラスのこの制度を利用するためには、資力(収入や財産)が一定以下でなければならないという資力基準を満たす必要があります。

  • 交通事故で適切な額の示談金を受け取るためには、ある程度お金がかかっても、実績がある弁護士事務所に依頼すべき
  • 依頼をする弁護士は、なるべく自分で探すこと

交通事故で弁護士に依頼するときのオススメの事務所は?

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