2017.10.11 更新

交通事故の影響が怖い…交通事故の仕事や就活への影響は大きい?

事故のダメージによる症状とは

交通事故被害に遭い,骨折した場合などは事故が原因であることははっきりしています。
しかし,中には一見して事故によるケガが原因とはわかりにくい症状もあります。

事故による外傷後に外傷の程度と釣り合わないような激しい痛みが慢性化することがあり,CRPS(複合性局所疼痛症候群)と呼ばれています。
CRPSには様々な症状があり,灼熱痛,むくみ,皮膚の色の変化(発赤,蒼白),骨の萎縮などがあります。
発生原因や治療法は解明されておらず,事故受傷後,このような症状が続くとCRPSの可能性があります。

事故による頸椎捻挫後,継続的に,めまい,吐き気,耳鳴りなどの症状が出ることがあり,バレー・ルー症候群と呼ばれています。
その発生原因については不明な点も多く,ストレスの影響が大きいことも指摘されています。

事故時の恐怖体験によりPTSDを発症したり,事故後のストレスからうつ病を発症することもあり,これらの精神的症状も事故のダメージによるものです。

このように,事故で重傷を負ったわけではないような場合でも,慢性的な痛みやめまいなどの症状が続いてしまうこともあります。

事故直後に自覚症状がない場合

事故に遭った直後は,通常興奮状態にあり,体内ではアドレナリンが分泌されます。
アドレナリンが大量に分泌されると痛みを感じる感覚器官も麻痺し,痛みを感じないこともあります。
また,むち打ち症の場合,事故直後には痛みがなくても,翌日や数日後に痛みが発生し,持続するという経過をたどることがよくあります。

事故直後にはなかった症状が時間の経過とともに出てくることもあります。
特に,むち打ち症で症状が慢性化するような事例では,その原因がはっきりとはわからないケースが多く,前述のCRPSやバレー・ルー症候群などの症状が時間の経過とともに発生することもあります。

病院に早く行くべき理由とは?

交通事故に遭った場合,すぐに病院に行くことが大切です。
事故から時間が経過してしまうと,その症状が事故によるものなのか,その他の原因によるものなのかが分からなくなってしまいます。
交通事故被害者としては,事故後に体調が悪化していることから,当然事故が原因と考えていたとしても,示談交渉時に,保険会社から事故から受診までに期間が開いていることを理由に,事故と症状との因果関係を否定されることも想定されます。

事故直後には出ていなかった症状が後々,発症し慢性化することも稀ではありません。
そのような時でも,事故直後に病院に行っておくことで,どのような事故で,どのようなケガを負ったのかということを明確にしておくことで,後に発症する可能性のある症状との因果関係を証明することが可能となるケースがあります。

いずれにしても,事故直後に病院に行くことで,症状の原因を明らかにし,適切な治療を受けることが,ケガの早期回復につながるので,早めの受診をお勧めします。

受診方法と費用について

交通事故に遭った場合,整骨院などで治療を受ける方もおられますが,まずは病院で受診することが必要です。
整骨院での治療は医師の指示や同意がなければ,保険会社はその治療費の支払いを拒むこともあります。
受診する病院は,MRIやCT検査などに対応している所が望ましいですが,まずは通いやすい整形外科に受診し,ケガの内容によって,必要であれば他科や他の病院の紹介を受ければよいでしょう。
交通事故によるケガの治療は,加害者が負担すべきものですので,加害者が任意保険に入っていれば,加害者側保険会社が支払います。
しかし,事故の発生原因について被害者側に大きな過失がある場合には,加害者側保険会社が治療費の負担をしない場合もあります。
そのような場合には,ご自身が契約している自動車保険に人身傷害補償特約が付いていれば,自身の過失の有無にかかわらず,自らが加入している保険会社が直接治療費を支払うことも可能です。

事故の相手が任意保険に入っていない場合には,治療費はご自身で支払う必要があります。
支払った治療費は相手の自賠責保険から受け取ることができますが,自賠責保険は症状固定までの損害については120万円が上限となっているので注意が必要です。
交通事故の治療では自由診療とすることが多いですが,相手が任意保険に入っていない場合や,自らにも大きな過失がある場合には,健康保険を利用した治療を受ける方が,後々受け取れる損害賠償額が大きくなることがあります。

事故直後に受診していないと,事故とケガとの因果関係が否定される可能性があります。
特に,事故直後に受診することで,カルテに事故状況,ケガをした箇所,打った部位などを記載してもらうことで,事故直後にはなかった症状が後に出てきた場合でも,因果関係を証明しやすくなります。
例えば事故直後に頸部や腰部に軽い痛みがあったものの,自然に治ると自己判断して病院に行かなかった場合で,悪化したために1週間経過後に受診したとします。
腰痛や首や肩の痛みというのは,事故に遭わなくても,捻ったり,寝違えたりということでも起こりえますし,特定の原因がなくても,ひどい肩こりや腰痛持ちの人は多くいます。
事故から時間が経過してしまうと,事故による症状なのか,それ以外の原因によるものなのかが,わからなくなってしまいます。
自分では,事故前に症状がなく,事故によるものだと考えたとしても,保険会社がそれを認めるとは限りません。
事故による症状ならば,何故,すぐに病院に行かなかったのかと言われてしまいかねません。
事故直後に受診し,軽度の痛みであっても,腰椎捻挫や頸椎捻挫という診断を早期にしてもらうことで,後に悪化した時にも因果関係を否定されにくくなります。

ケガの大小にかかわらず,早期に受診し,カルテにその記録を残しておくことが重要です。

受診が早いと慰謝料にもメリット?

入通院慰謝料は,入通院期間を基準として計算します。
裁判基準では,通院6か月であれば116万円(むち打ち症で他覚所見がない場合は89万円)となります。
ただし,実通院日数が少ない場合は,実通院日数を3.5倍(むち打ち症で他覚所見がない場合は3倍)した日数を入通院慰謝料算定の基礎とします。
週に2~3回程度通院していれば,概ね通院期間が入通院慰謝料の計算の基礎となることになります。
このように,通院日数,通院期間が多ければ多いほど,慰謝料の金額も上がることになるので,この点からも早期に受診した方がよいでしょう。

通院頻度は,医師と相談の上,決まることと思いますが,可能な限りリハビリを受けるなど,通院をすることで,ケガの回復にもつながりますし,慰謝料の金額も高くなるというメリットもあります。
早期に治療を開始し,治療に積極的に取り込むことが大切です。

早期診察が後遺障害認定に影響?

後遺障害認定について,欠損障害(指の切断),機能障害(関節可動域の制限)など,他覚所見がある場合には,問題なく後遺障害認定されることが多いです。
しかし,むち打ちや腰椎捻挫などの場合には,加齢による脊髄の変化などもあり,MRIやCTなどの画像所見でその症状を裏付けることができないことが一般的です。
それでは,他覚所見で裏付けられない症状は後遺障害として認められないということかというと,そうではありません。
むち打ちや腰椎捻挫で,後遺障害等級14級9号「局部に神経症状を残すもの」と認定されることはよくあります。

後遺障害の認定に当たっては,受傷部位と症状との間に矛盾はないか,症状は一貫しているか,どのような治療経過をたどったかなどが重要視されます。
事故直後には症状は軽度であっても,その後増悪することはよくあることで,不自然なことではありません。
まずは,事故直後に受診し,事故内容と受傷部位をカルテに記載してもらうことで,その後の症状の悪化や慢性化の原因を明らかにすることができます。
早期に診察を受けることで,その後も継続的に治療を受けることになり,症状の推移や治療経過もカルテに証拠として残ります。

このように,事故直後から,その受傷経緯や,症状の推移,治療経過をカルテに残すことで,後遺障害と認定されることにつながります。
後遺障害はカルテなど病院の記録から認定されるものであり,カルテに記載がなければ,考慮されることもありません。
ですので,事故直後から症状の推移を証拠として残し,後遺障害として認定してもらうためにも,早期に受診することが大切です。

後遺障害認定と他覚症状

後遺障害の認定は保険金支払い手続きの一環であり,公正な認定が必要です。客観的な裏付けのない自覚症状のみで後遺障害が認定されることはありません。
各種検査結果やMRI画像など,症状を裏付ける客観的なものを他覚所見と言い,後遺障害の認定にあたっては重要視されます。

欠損障害(指の切断など),画像所見から原因が裏付けられる関節可動域制限などは,他覚所見がはっきりしています。
しかし,むち打ち症や腰椎捻挫などは,画像所見からは原因を明らかにすることが難しいケースが多いです。
そのような場合でも,筋力や握力の低下,各種神経学的検査結果などから,症状を裏付けられる他覚所見が得られるケースもあります。

医師は治療の専門家ですが,後遺障害認定手続の専門家ではありません。
後遺障害診断書に,詳しく他覚所見を記載することで,後遺障害認定につながります。
弁護士は,後遺障害診断書の記載内容に不備がないか,追加で検査を行いその結果を記載することで後遺障害認定につながらないか等,医師とは違った目線で法律の専門家としてどのようなものが他覚所見として考慮されるかを検討したうえで,助言することが可能です。
弁護士が医師と相談し,追加検査を行うことで,他覚所見を得ることができ,後遺障害認定につながることもあります。

初期に自覚症状がなければ安心?

事故直後に自覚症状がなくても,時間の経過により,症状が悪化することは珍しいことではありません。
特に,むち打ちや腰椎捻挫などの場合,初期には殆ど症状がなかったものが,痺れや,激し痛みなどが後々出てきて慢性化することはよくあります。
CRSPやバレー・ルー症候群のように,その原因や治療方法が解明されていない症状に発展することもあります。
事故直後に軽傷だと自己判断して,治療を受けずに悪化してから受診しても,交通事故による症状だとは認めてもらえず,正当な補償を受けられない可能性があります。
保険会社から事故との因果関係を否定されることで,大きなストレスが生じ,それが病状を悪化させることもあり得ます。
むち打ち症の慢性化はストレスも大きな要因であることが指摘されています。

どのような病気でも,早期に治療を開始することが回復につながりますし,補償をうけるためにも,自分で判断せずに,病院に受診することが大切です。

示談後に後遺症があらわれた場合

示談書を交わすということは,これにより,全てを解決し,示談で決められた内容以外については,お互いに何らの権利義務はないということを確認することを意味します。
ですので,原則として,示談を締結すれば,示談で決められたもの以外の請求をすることはできません。
しかし,示談締結後に,交通事故による後遺障害が発症してしまった場合に,その後遺障害にかかわる損害について,一切補償を受けられないというのでは,被害者にとってあまりにも酷となります。
この問題について,最高裁は,「交通事故による全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて,早急に,小額の賠償金をもつて示談がされた場合において,示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求は,示談当時予想していた損害についてのみと解すべきであつて,その当時予想できなかつた後遺症等については,被害者は,後日その損害の賠償を請求することができる。」という判断を示しています。
この最高裁判例を根拠に,示談締結時にはわからなかった後遺障害が後日あらわれた場合には,さらにその後遺障害についての損害を請求することが可能です。

また,後遺障害が認められずに,異議申し立てをしているときに,経済的理由により,後遺障害を除いた部分だけでも,示談を締結し,支払いを受けたいということもよくあります。
そのような場合には,示談書に,「後遺障害については別途協議する。」というような文言を入れておくことで,後遺障害を除いた示談であることを明記しておくとよいでしょう。

関連記事一覧

交通事故の示談金を必ず増額できる|被害者が取るべき行動とは?

「保険会社から提示された示談金が少ない...増額することってできるの?」 ...

交通事故の加害者を許せない|被害者が絶対してはいけないこととは?

目次加害者の心理状態とは?冷静を保つ心構えとは?示談交渉の上手な進め方弁護士が助けてくれることとは?加害者の責任とは?被害者が関与できる加害 ...

交通事故で加害者の悪質な態度が許せない|被害者はどうすればいい?

目次自分でできる対処法証拠に残す上手な方法相談相手とタイミングについて弁護士による対応策とは?警察は対処してくれるのか?交通事故紛争処理セン ...

親御さん必見|子供の飛び出し事故の示談や過失割合まとめ

目次子供の事故ダメージの対処法治療費の負担について加害者側との今後の対応弁護士依頼のメリット子供の飛び出し事故での過失割合の考え方事理弁識能 ...

「同乗者」にも交通事故の賠償責任は発生する

「同乗者にどんな責任が発生するの?詳しく知りたい」 「同乗者にも損害賠償請求は...

お悩み別ページ

ページランキング

  1. 交通事故で評判の良い弁護士事務所とは?被害者必見の弁護士の選び方
  2. 交通事故の慰謝料の相場を徹底解説|適切な金額を得るためには
  3. 交通事故の慰謝料が丸分かり!通院から6ヶ月後のケースではいくら?
  4. 交通事故で弁護士特約を使わないと300万円の損|使い方を徹底解説
  5. 誰でもわかる慰謝料計算機|交通事故の慰謝料を計算機でラクラク計算

カテゴリ一から探す