2017.9.29 更新

初めての事故…交通事故の示談金いくら?算出方法から相場まで解説

示談金の定義とは?

勘違いすることが多いのですが、示談金と慰謝料イコールではないのでご注意ください。
示談金とは、交通事故の影響で発生した損害を全て合計した「損害賠償金」です。
それに対して、慰謝料とは治療期間やけがの程度などが考慮されて計算される「心の痛みに対する補償」です。
示談金の中には慰謝料以外にも、治療費や薬代、通院交通費や休業損害、などすべての損害賠償が含まれています。
示談の際に、示談書に明記されている賠償金の総額が示談金という訳です。
ただし、示談書に書かれている金額を全て被害者さんが受け取ることができる訳ではありません。
病院の治療費や薬代などを、保険会社が直接医療機関へ支払い済みの場合はその金額は被害者さんへは振り込まれません。
また、休業損害を毎月被害者さんの口座に支払ってもらっていた場合も、すでに受け取り済みなので、新たに受け取ることはできません。
つまり、示談の際に受け取ることができる賠償金は「慰謝料」と「受け取っていない休業損害」「後遺障害の逸失利益」などになります。
このことから、「示談金=慰謝料」と勘違いする人が多いようです。

示談金の内容とは?

交通事故の示談金として加害者に請求できる費用はこちらです。
1つずつ分かりやすく説明していきますね。

・治療費
交通事故によって怪我をした箇所の治療費が実費で支払われます。
被害者さんの過失割合が少ない場合は、相手の任意保険会社から医療機関へ直接支払われるので、窓口で治療費を自己負担する必要はありません。
ただし、カイロプラクティックや整体マッサージなどの施術費用は支払われません。
交通事故の怪我による治療期間中でも、交通事故に起因しない怪我や病気の治療費も支払われません。
・薬代
薬局や病院で処方された薬代が支払われます。
自分でドラッグストアや薬局で購入した市販薬は示談金として認められない可能性が高いので、購入前に保険会社に相談をしてみましょう。

・通院交通費
通院するために公共交通機関を使った場合は、実際にかかったバス代や電車代が支払われます。
自家用車を使用した場合は、1キロあたり15円を支払われることが多いです。

・入院雑費
交通事故で入院した場合に最高1日1,500円が定額で支払われます。
入院すると、洗濯代や電話連絡のための費用がかかりますが、個別に計算すると大変なので一定の金額が支払われるのです。

・付き添い看護費
入院や通院のために、家族が付きそう必要がある場合は、入院1日6500円、通院1日3300円程度支払われます。
民間の付添サービスなどを受けた場合は実費が支払われます。
ただし、付き添いをしなければならない合理的な理由が必要です。
一人で元気に歩けるのに、毎回家族が付添をしたからと言って認められるわけではありません。

・休業損害
休業損害は、「事故の怪我が原因で仕事を休む必要がある」と医師が認めた場合に支払われます。
休業損害を受け取るためには、職場に協力してもらい「賃金支払台帳」やタイムカードなどの写しを提出する必要があります。

・葬儀費
交通事故で死亡した場合は、葬儀費や仏壇、墓石を購入する費用が支払われます。
ある程度上限が決まっていて150万円の範囲内で、実際にかかった費用が認定されます。

・逸失利益
逸失利益には、死亡した場合の逸失利益と後遺障害を負った場合の逸失利益があります。
死亡の逸失利益は、生存した場合の想定生涯収入から、平均余命まで生きた場合の生活費を差し引いて計算されます。
後遺障害の逸失利益は、後遺障害のせいで収入が落ちることが見込まれる場合は、後遺障害がなかった場合の収入との差額が支払われます。

・慰謝料
慰謝料は、死亡、後遺障害、障害のいづれの場合も支払われます。
障害の場合は、治療期間に応じた金額が支払われますので、一般的には治療期間が長ければ長いほど慰謝料の金額も増額します。
後遺障害の場合は、治療期間に応じた慰謝料とは別に、後遺障害の等級に応じた慰謝料を受け取ることができます。

・モノが壊れた場合の修理費
これまでご説明した項目はすべて「人身事故」の場合に支払われる賠償金ですが、車や自転車、持ち物などが壊れた時は、別途修理費用が支払われます。
事故時に来ていて破れてしまった洋服なども支払い対象です。

示談金の算出方法

示談金の算出方法は、各項目によって異なりますので、項目ごとに説明していきたいと思います。
これからご紹介する全ての賠償金の合計に過失割合をかけたものが示談金となります。
すでに自賠責保険から賠償金が支払われている場合は、「賠償金の総額×過失割合-自賠責分」となりますので、被害者さんの手元に残る賠償金が少なくなってしまうこともあります。
例 賠償金の総額350万円 被害者の過失割合 30% 自賠責既払い額(治療費)120万円
このケースでは、被害者さんの手元には125万円のみが残ることになります。
(こちらは分かりやすく説明するための例です。実際はこんなに単純ではありません)
・治療費、薬代
治療費や薬代は実費が支払われます。
・通院交通費
実費。自家用車の場合は1㎞あたり15円が相場。
・入院雑費
1日最大1500円
・付き添い看護費
入院6500円、通院3300円。
・休業損害
過去3か月の給与合計÷90で、1日当たりの給与を算出→休業日数×1日当たりの給与
有給休暇を取得している場合も支払われる。
家族がいる場合は、専業主婦でも支払い対象。
・葬儀費
150万円を限度に実費
・逸失利益
被害者本人の年齢、職種、年収を元に算出。後遺障害の場合は後遺障害の程度も加味される。
・慰謝料
後遺障害がない怪我の場合は、通院日数や治療期間に応じて計算される。
一番金額が低い自賠責基準の場合、通院日数×2、もしくは治療期間の短いほうに日額4,200円をかけて支払われる。
弁護士基準になると慰謝料の算定額が高額になるケースもある。
・モノが壊れた修理費
実費。修理ができないほど壊れている場合や、古すぎて修理をするより新たに購入したほうがよいと判断された場合は、モノの「時価額」が支払われる。

示談金の相場とは?

示談金に、相場はありません。
同じ事故状況やけがの程度でも、人によって通院日数や治療期間、そして年収などが異なるからです。
「ネットの口コミでは、むちうちで慰謝料を200万円もらったって書いてあったのに、私はおなじムチウチなのに、100万円しかもらえなかった」と言う声をよく耳にしますが、条件が異なるので差があって当然なのです。
インターネットの口コミや、友人知人の体験談は金額が独り歩きして、具体的な治療日数やけがの程度、後遺障害の有無や休業した日数などが、比較されていませんので、全くあてになりません。
示談金を大きく上下させる「慰謝料」と「後遺障害の有無」は治療期間やけがの程度によって大きく左右されるからです。
自分の提示された示談金が妥当かどうかを判断したければ、第三者の弁護士や司法書士など、交通事故の損害賠償に詳しい専門家に相談するしかありません。
自治体やインターネットで弁護士の無料相談が開催されていますので、資料を用意した上で相談してみることをおすすめします。

保険会社の示談金提示額

被害者と直接交渉している任意保険の保険会社が計算した、慰謝料や休業損害などの提示額は、弁護士基準の示談金と比較すると低額になります。
保険会社の提示額は、被害者さんがインターネットなどで弁護士基準の慰謝料などを知っている場合、納得する金額にはなりません。
熱心に情報取集をしている被害者さんからすると、不満が残る金額が提示されることが多くなっています。
高額な弁護士基準と言われている、慰謝料算定基準はあくまでも「弁護士に依頼して訴訟を提起する可能性がある場合」に適用されることがあるものです。
被害者さん本人と保険会社が交渉している場合は、基本の「自賠責基準」や「任意基準」をベースに示談金が提示されます。
また、保険会社の担当者によっても算定額が上下することがありますので、その算定方法に納得がいかなかったり、ミスがあったりすると、多くの被害者さんが不満を感じます。
要するに「保険会社と直接交渉をしていると、弁護士基準よりも低額な算定基準に基づき算定されるため、満足しない人もいる」ということです。
最近ではインターネットの体験談で、弁護士に依頼した被害者さんの声が多く寄せられていますので、それをベースに考えると、直接交渉した場合の提示額では満足できないでしょう。

示談金交渉のはじめ

示談金交渉は、事故の被害に遭った瞬間からスタートしています。
示談金の中で大きなウェイトを占める慰謝料は、通院日数や治療期間に応じて算定されるからです。
怪我をして、治療が思うようにいかないのであれば間隔をあけることなく病院に通いますよね。
逆に、怪我が軽症の場合はそれほど病院に通わず早い段階で治療を終了させます。
だから、治療期間が長い人のほうが多くの慰謝料を受け取ることができるのです。
また、休業損害も「実際に会社を休んだ期間」を基に算定されます。
医師の指示による会社を休んだ日数が長ければ長いほど、受け取ることができる休業損害の額も高額になります。
この2つは、あとから凄腕の弁護士を雇っても、裁判をしても、覆すことができない「事実」です。
怪我の程度が軽く、病院にもほとんど通っていないのに「後遺障害がある」と主張したところで、認められるわけがありませんよね。
3日しか通っていないのに、半年分の慰謝料を支払え、と言っても無理な話です。
会社を休んでいないのに、「休むほど痛かったから休業損害を払ってほしい」と言っても、認定されません。
だから、本当に怪我で苦しんでいるのであれば、事故直後から間隔をあけずに通院して、しっかりと治療に専念することが「示談金交渉」の要なのです。
これをしっかりやっているのと、いないのでは「症状固定後」の示談金交渉に大きく差がでます。
治療の甲斐あって、「完治」した場合や、「症状固定」を提案された時から、実務的な「示談金交渉」がスタートします。
それまでは、示談金交渉のための石垣を積んでいた、と考えてください。
怪我が完治した場合も、症状固定の場合も、示談金交渉がスタートすると、治療日数や通院期間を元に慰謝料が計算されて提示されます。
症状固定後も、症状が残っていて日常生活に支障をきたしている場合は「後遺障害」を主張することもできます。
後遺障害が認定されれば、さらに慰謝料が上乗せされます。
治療完了後の示談金交渉が始まって保険会社の提示する金額や後遺障害の認定などに不満がある場合は、弁護士の無料相談などで示談金の妥当性を判断してもらうことをおすすめします

示談金の増額交渉

保険会社の提示した示談金に納得がいかない場合、増額交渉は可能です。
保険会社の担当者も、「この人は初回提示の賠償金で納得しないだろうな」と想定しているので、増額を要求されても驚くことも、怒ることもありません。
自分の持っている裁量で増額できる余地がある場合は、増額を検討しますし、全くなければ増額を要求されても却下します。
ただし、担当者が増額できる余地はそれほど残されていませんので、大幅増額は期待できません。
そもそも、治癒後や症状固定後に示談金を増額する要素は「後遺障害の認定」や「過失割合の修正」「慰謝料算定基準の見直し」くらいしかないからです。
この中で担当者の裁量でどうにかなるのは、過失割合ですが、過去の判例から大きく動かすことはできません。
大幅増額を望むのであれば、後遺障害に認定されるか、弁護士に依頼して慰謝料の算定基準を裁判基準に見直してもらうなどの措置を取る必要があります。

過失割合ゼロの示談交渉とは?

被害者さんの過失割合がゼロの場合、示談交渉の柱は「症状固定の時期」と「慰謝料」、「後遺障害の有無」になります。
人身事故の損害賠償においては、慰謝料が大きなウェイトを占めますが、その慰謝料は治療期間や通院日数によって大きく左右されます。
だから、保険会社が通知する症状固定の時期が重要です。
症状固定とは、これ以上治療しても症状が改善される見込みがない、と医師が判断することです。
それを保険会社が通知するのはおかしな話ですが、多くの医師も保険会社が潮時だと思う頃に症状固定を打診してきます。
もし、「まだ怪我が治っていない」のであれば、しっかりと医師に症状を訴えて、理解してもらいましょう。
必死の治療の甲斐なく症状が改善しない場合は、症状固定後「後遺障害」に該当するかどうかを医師に質問してみてください。
医師が「後遺障害の可能性がある」と判断して、診断書を書いてくれれば、保険会社側に「後遺障害の事前認定」を依頼することができます。
後遺障害の事前認定などの、手続きは保険会社が行いますので、「後遺障害があるかどうか事前認定してもらいたい」と言うだけでオッケーです。
このように、被害者さんの過失割合がゼロの場合は後遺障害の有無や慰謝料の金額、と言った示談金に直結する項目にじっくりと取り組むことができます。

弁護士依頼による示談金

「弁護士に依頼すると示談金が凄く増えるらしいよ」という口コミや体験談が増えていますが、実際にどの項目の増額が期待できるのか分からないと思いますので、具体的な項目をご紹介します。
・慰謝料
慰謝料は、通院日数や治療期間に応じて算定されますが、算定基準は3つあります。
自賠責基準と任意保険基準、そして裁判基準です。
自賠責基準や任意保険基準は低額で、裁判基準は高額です。
場合によっては2倍も差が出ることもあります。
弁護士に依頼した場合、裁判基準に準じた慰謝料基準で、算定される可能性が高いので、慰謝料が高額になるのです。
ただし、元々の通院日数や治療期間が短い場合は、それほど増額しませんのでご注意ください。
・後遺障害
後遺障害とは、治療の甲斐なく症状が体に残ってしまうことです。
医師が後遺障害ありと判断して、保険会社が認定した場合に、別途後遺障害慰謝料と逸失利益などが支払われます。
後遺障害の度合いに応じて慰謝料や逸失利益が異なりますが、後遺障害が無い場合よりも受け取る示談金は増額します。
被害者さんが後遺障害を主張するよりも、交通事故の損害賠償に強い弁護士が交渉に臨んだほうが後遺障害の認定が通りやすい傾向にあります。
また、弁護士が交渉をして後遺障害が認定された場合は、後遺障害の慰謝料や逸失利益なども裁判基準で算定することができますので、示談金の総額はさらに増額することが見込まれます。

示談金の時効と対策方法

交通事故の損害賠償請求権は、「損害および加害者を知った時」から3年間行使しないと消滅してしまいます。
それぞれの時効カウントダウンスタート日がこちらです。
後遺障害がない怪我の場合は、事故日から3年
後遺障害がある場合は、症状固定から3年
死亡した場合は死亡日から3年
「3年なんてあっという間じゃない!交渉しているうちに時効になったらどうしよう」と思うかもしれませんが、保険会社や加害者と連絡を取って示談交渉を進めていればほぼ「時効にはならない」のでご安心ください。
専門用語で言うと時効が「中断」や加害者が「債務の承認」をすれば、3年間の時効カウントダウンがストップします。
主な中断要件や債務の承認はこちらです。
・加害者側による治療費や休業損害などの支払い→支払いの翌日からもう一度3年間の時効のカウントダウンがスタートします
・裁判などで判決が確定する→時効が10年になります。
・加害者側が示談案を書面で提出してきた→翌日から新たに3年間の時効のカウントダウンがスタートします

障害の場合は、事故日から3年以上経過しそうになっても、それまで期間に治療費の支払いや保険会社からの、示談金の提示があれば、そこから新たに3年がカウントダウンされますので、時効はどんどん延びていきます。
交通事故の交渉中で、過去3年に、治療費の支払いや後遺障害の認定、示談金の書面の提示などが1つもないということはほぼないと思います。
もし、3年未満だけど、過去2年以上何もないと思ったら、保険会社に連絡を取って示談金の提示などの書面を送付してもらいましょう。

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