2019.11.15 更新

当て逃げの犯人は特定できる?加害者の受ける罰則や慰謝料、保険は?

当て逃げ事故にあったら、まずどうすればいいの?
犯人が分かった場合の対応は?加害者にはどんな罰則があるの?

当て逃げは、した側もされた側も何らかのダメージを受けます。大切なものを壊したり(されたり)、傷つけたり(られたり)すれば当然です。
今回は、加害者側と被害者側、両方の立場から当て逃げ事故について見ていきましょう。

  • 当て逃げの犯人特定は困難。駐車場なら管理人にすぐに連絡を
  • 犯人が特定できれば、被害者は相手側の保険会社に請求できる
  • 当て逃げをした加害者側は基本的に罰金刑
この記事でわかること

当て逃げをしてしまった場合の罰則について

当て逃げを物損事故として処理するタイムリミットはどれくらいか

当て逃げ後に何分以内に戻れば事故として対処できるか、という明確な基準は、残念ながらありません。
一般的に事故を起こした当事者には、直ちに停止して警察に事故を報告し、二次災害の防止措置をとり、(負傷者がいれば救護し)警察が来るまで現場に待機する、などの義務が課されています。

したがって、現場の状況等によりその場で安全に停車できないような特別な事情があった場合を除いて、いったん現場から離れてしまえば、たとえ短時間で現場に戻ったとしても、形式的には当て逃げにあたります。

もっとも、警察が来るまでの短時間の間に戻り、被害者が謝罪を受け入れてくれて逃げたことを問題にしないような場合は、通常の物損事故として処理されるでしょう。

当て逃げへの保険会社の介入はある?

当て逃げやひき逃げのような犯罪に該当する行為をしてしまった場合、加害者は保険が使えないのではないかと考えている方も多いと思います。

しかし、一般的に当て逃げは過失で事故を起こした後に警察などに届出をせずに逃げることを指しますから、事故を起こしたことは通常の事故の扱いと違いはなく、事故後の対応のみが異なってきます。

したがって、被害者は加害者の保険会社に対して請求することが可能になります。

「何もしていない同乗者」は罪に問われない

道路交通法上、「運転者」および「その他の乗務員」には負傷者の救護義務、警察への報告義務などが課されています。

ここでいう「その他の乗務員」とは、運転者と同様の義務を課されることになることから、自動車の運行について運転者と同じ責任を負うものに限定されるべきであるとされ、一般的には業務上・職業上の乗務員(バスガイドやバスの交代運転手など)を指すといわれています。友人や家族などのような単なる同乗者は含まれません。

したがって何もしていない同乗者は、運転者に対し積極的に逃げるようそそのかしたなどの嫌疑がないかぎり、刑事上の罪に問われることはありません。

当て逃げが車同士ではない場合はどうなるのか

当て逃げに関する刑罰などを定めた道路交通法は、道路や自動車運送法上の自動車道のほか、「一般交通の用に供するその他の場所」に適用される法律です。

駐車場は基本的に私有地にあたりますから、原則として道路交通法の適用対象になりませんが、その駐車場が不特定多数の人や車が利用する場合は、「一般交通の用に供するその他の場所」に該当し、道路交通法の適用を受けると考えられます。

したがって、商業施設やコインパーキングなどの不特定の人が利用する駐車場内の柱に車両を接触させた場合でも、道路交通法上の義務を果たすことなくその場を離れれば、当て逃げに該当します

当て逃げをしてしまった場合の罰則金は実費なのか

物損事故であっても、道路交通法上、警察へ報告し必要な措置をとる義務が課されていますから、当て逃げすればこれらの義務に違反になり、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられることになります。

刑事事件としては重大なものではないので、前科が多数ある場合などを除いて、基本的には懲役刑ではなく罰金刑が選択されます。
なお、過失による器物損壊罪を処罰する規定がないことから、物を壊してしまったこと自体については刑法上処罰されることはありません。

ただし、他人の建造物を壊した場合には、道路交通法が運転過失建造物損壊罪という規定を設けているため、例外的に処罰されることがあります。

レンタカーでの当て逃げの場合は全て自己負担

レンタカー会社は一定以上の保険に加入することが義務付けられているため、レンタカーで起こした通常の事故の場合は、レンタカー会社の加入する保険会社が被害者への補償をしてくれます。

これに対し、当て逃げの場合は保険の利用ができず、加害者の自己負担となります。
というのも、レンタカー会社は、約款の中で保険が適用されない場合についての規定を設けており、事故が発生した場合には警察とレンタカー会社への連絡など必要な措置をとらなければならないとし、この義務に違反した場合には保険金は支払われないと定めているからです。

当て逃げをされてしまった場合にまずすべきこと

実際に犯人が捕まる可能性はかなり低い

詳細な統計が公表されているわけではないので正確な数字はわかりませんが、ひき逃げに比べて民事で解決されることの多い当て逃げの犯人が逮捕される可能性はかなり低いようです。

死傷者のいるひき逃げと比較すると、刑罰的にも重くない物損だけの当て逃げは、限られた人員であらゆる事件の捜査をしなければならない警察としては、どうしても十分な捜査を尽くせないという面もあるようです。

また、被害者が時間がたってから当て逃げの被害に気づいて、警察に届け出たような場合、目撃者を探すことがより困難になり、周辺に防犯カメラ等が設置されていたとしても事故当時の映像が失われている可能性も高くなるので、犯人が逮捕される可能性はより低くなるといえるでしょう。

駐車場での当て逃げはまず管理者に連絡して犯人特定へ

駐車場内で当て逃げされた場合には、まず駐車場の管理者に連絡するようにしましょう。

大型の商業施設などでは駐車場に防犯カメラが設置されていることも多いので、管理者に協力してもらい、映像を見せてもらったり警察にその映像を提出してもらったりすることで、その映像から加害者を特定する情報を集めることができる場合があります。

また、駐車場内に人や他の車両がある場合には、目撃者を探し出して情報を提供してもらいましょう。最近ではドライブレコーダーを搭載している車両が増えてきたので、ドライブレコーダーの映像が残っていないか確認させてもらってもいいでしょう。

当て逃げの犯人を特定できた後の対処の流れ

目撃者を探すなどして自分で犯人を特定した場合には、警察に情報提供して捜査の対象としてもらうようにしましょう。刑事罰と民事上の損害賠償は別問題ですが、刑事事件として立件される方が、加害者が損害賠償に積極的に対応する可能性が高くなります

民事上の賠償については、まず犯人が任意の対物保険に加入しているかを確認する必要があります。対物保険に加入していた場合は、原則として保険会社に対し修理費用等を請求することになります。
これに対し、対物保険に加入していなかった場合は、物損は自賠責保険の対象にならないので、加害者自身に賠償請求することになります。

当て逃げの加害者が見つからない場合の修理費や保険、慰謝料について

犯人を特定できなかった場合の修理費はどうなる?

犯人が特定できない場合、賠償請求の相手がいないため、修理費用等は自己負担せざるを得なくなります。

ただ、被害者であっても任意の車両保険に加入していれば、保険会社から保険金の支払いを受けることは可能です。

ですが、被害者自身の保険を使う場合は、等級が下がり保険料が値上がりしてしまうことが考えられます。

実際に被害者自身の保険を使う判断をする場合は、修理費用の見積もりを取ってどの程度の費用が掛かるのかを確認し、また、保険会社に保険を使った場合に保険料がどの程度上がるのかを教えてもらう必要があるでしょう。両者を比較して修理費用を自己負担するか、保険を使うかの判断をしてください。

当て逃げをされた場合、どのくらい保険会社は介入してくれるのか

加害者と示談交渉をするのは大変なので、自分の加入する保険会社に間に入ってもらい、示談交渉を代行してほしいと考える方は多いのではないでしょうか。

走行中の接触事故で被害者にも何らかの過失がある場合には、保険会社に間に入ってもらい示談交渉を任せることが可能です。保険会社は、保険契約に基づき、契約者(過失のある被害者)に代わり相手方に賠償金を支払う立場にあるからです。

しかしながら、当て逃げ被害の場合、駐車場内に駐車していた際にぶつけられるなど、被害者に過失がない場合が多く、被害者は加害者の損害を賠償する責任を負う必要はありません。

そうなると、被害者の保険会社は利害関係がない(被害者が加害者からいくら受け取るかだけが問題であり、保険会社には関係がない)ということになり、保険会社は示談交渉を代行することはできないのです。
したがって、過失がない場合には被害者自身で加害者(あるいはその保険会社)と対応しなければならなくなります。

当て逃げされたときの慰謝料は基本的には発生しない

物損事故は、原則として慰謝料は認められません。過去の裁判例で物損事故による慰謝料を認めた例は、ペット(人ではないので法律上は物という扱いになります)、墓石、自宅建物など、特に被害者の思い入れが強いと考えられる物を損壊した場合です。

当て逃げとはいえ物損事故には変わりがないので、車両が損壊しただけでは慰謝料の請求は基本的に認められないといえます。
ただし、過去の裁判例の中には、加害者が飲酒運転により当て逃げ事故を起こし、被害者が現場周辺を捜索して現場から数百メートル離れた場所で加害車両を発見した事案について、慰謝料10万円を認めたというものもあります。

当て逃げの裁判例を見ると、慰謝料の請求には通常の当て逃げとは違う特別の事情が必要で、仮にそのような事情があったとしても、認められる慰謝料の額はそれほど多くないということがいえます。
したがって、示談交渉の場面で加害者に慰謝料を請求することは自由ですが、加害者が応じない場合には、慰謝料に強くこだわって紛争を長期化させることは、経済的にもあまりメリットはないといえそうです。

当て逃げの被害者が納得のいく示談金をもらうための方法

示談交渉の金額に不満が…そんなときの対処法

示談金に納得がいかない場合の対策としては、おもに以下のことが考えられます。

  • 粘り強く交渉を続ける
  • 調停や訴訟などの裁判所の手続を利用する
  • 交通事故紛争処理センターなど、裁判所外での和解手続を利用する

ただ、繰り返しになりますが、「当て逃げ事故」は相手が特定していないかぎり示談金を受け取ることは出来ません。加害者側が特定できれば示談金の請求は可能です。
その場合は、交通事故紛争処理センターなどを利用し、適切な対応をしましょう。

関連記事一覧

交通事故で評判の良い弁護士事務所とは?被害者必見の弁護士の選び方

当て逃げ事故に遭ったときに困らないためのマニュアル

どんなに注意をしていても、交通事故に巻き込まれてしまうことがあります。例えば、当て逃げ事故。 加害者が現場から逃走してしまうので、被害者が何も対策をしていなければ泣き寝入りをする結果に……。 そう...

お悩み別ページ

ページランキング

  1. 交通事故で評判の良い弁護士事務所とは?被害者必見の弁護士の選び方
  2. 交通事故で依頼すると後悔する弁護士3つの特徴|体験談も掲載
  3. 後遺障害とは?等級認定の流れと等級表でみる1級~14級の認定基準
  4. 【保存版】交通事故の慰謝料相場はいくら?必ずわかる計算方法まとめ
  5. 交通事故の慰謝料が丸分かり!通院から6ヶ月後のケースではいくら?

カテゴリ一から探す