2017.9.8 更新

後遺障害等級の必須知識!適切な慰謝料をもらうには?

「症状固定」といって、もうこれ以上治療をしても症状が良くならない状態になると、加害者側の保険会社から給付される治療費は打ち切られます。ただ、それ以降も何らかの自覚症状を断続的に感じる状態に置かれている被害者も多いことでしょう。もし一定の症状が症状固定後も続いているのであれば「後遺障害」に対する慰謝料等を請求できることがありますが、すべての場合に認められるのではなく、客観的に基準が定められた「後遺障害等級」の認定を受ける必要があります。では、その「後遺障害等級」とはどのようなものなのか、そして慰謝料の算定にあたってはどのような基準があるのかなどを見てみましょう。


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そもそも後遺障害とは?

「後遺障害」とは具体的にどのような状態をさすのでしょうか?
たとえば、骨折してしまった腕の骨が一応くっついて元通りになったように見えるものの、以前よりも腕の動きが悪くなっているとか、外見的には完治したように見える一方で実際の機能に障害が残っているような場合です。

これを定義すると「傷病が治ったときに残存するもので当該傷病と相当因果関係(関連性)があり」「将来において回復が困難と見込まれる精神的または身体的な毀損状態で」「その存在が医学的に認められ」「労働能力の喪失を伴うもの」が後遺障害であるとされています。

次に解説しますが、後遺障害には「等級」があり、第1級から第14級まで症状が重い順にその状態と保険金額、労働能力の喪失率が定められています。後遺障害等級の認定がされると「損害賠償額が大幅にアップする」というメリットがあります。

後遺障害慰謝料の他、逸失利益(障害により働く機能が失われたり低下したりすることによる金銭的損害)の分の請求ができるようになるためです。どの等級に認定されるかにより金額は異なってきますが、これを認定するのは主治医ではありません。

損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)という専門組織があり、そちらが行っています。ただ、この認定において決定的証拠となるのが医師の作成する「後遺障害診断書」ということになります。では、後遺障害等級についてもう少し詳しく見てみましょう。

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後遺障害等級とは?

自賠責保険の適用がある後遺障害の症状・程度ごとに数値が定められており慰謝料などを定める基準として用いられていますが、これを「後遺障害等級」といいます。

後遺障害等級表には「保険金額」として等級ごとの金額が示されていますが、これは自賠責保険の損害賠償金額の上限を定めるという意義を持っています。等級表は別表1(介護を要するもの)と別表2(それ以外のもの)に分かれており、別表1は2段階に、別表2は14段階に分かれています。それぞれに詳細な後遺障害の状態、保険金額、労働能力喪失率が定められています。

後遺障害等級の認定はいつ?だれが?

後遺障害等級は上記のように自動車損害賠償保障法施行令の別表(第一および第二)で定められていますが、これを認定してもらうためには2つの手続き方法があります。1つ目は加害者側の保険会社が申請手続きを行う「事前認定」、2つ目は被害者側が自ら申請手続きを行う「被害者請求」です。どちらの方法においても、症状固定の後に認定手続きが開始します。

ただ、「症状固定」の時期そのものの判断が難しいケースもあり、その日付をめぐって被害者と保険会社の間で争いになることもあります)。まず医師による「後遺障害診断書」を作成して加害者側の保険会社に必要書類を提出し、その後損害保険料率算出機構が審査を行った上で認定結果が出る流れになります。

事前認定においては、被害者側は後遺障害診断書の作成を主治医に依頼し、出来上がったものを受け取って加害者側の保険会社に郵送するだけですので申請手続き自体の手間はほとんどかかりません。ただ、加害者側としては被害者の後遺障害等級認定がされるような努力をしてくれるわけではありませんし、単に機械的に書類を集めて手続きするだけです。

加害者側は当然、被害者とは対立当事者であり、後遺障害等級が認定されると自社が支払う慰謝料金額が上がりますので協力してくれることは到底望めないでしょう。

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後遺障害等級の申請は被害者請求で

上記のような理由から、加害者側保険会社の行う「事前認定」は被害者にとって書類を取り寄せる等級の手間がかからないこと以外にあまりメリットはなく、もし慰謝料額を上げたいのであれば面倒だと思っても「被害者請求」で行うべきです。

被害者請求とは、交通事故にあった被害者自身が加害者の自賠責保険に対して補償を求める手続(自賠責16条)ですが、これには被害者にとって非常に大きなメリットがあります。

「被害者自身に有利な医証(医学的な証拠)を提出することができる」「不利な情報を補う文書を作成・提出することができる」「事前認定よりも結果が出るのが早い」「認定されると、自賠責保険分の保険金が先に支払われる」といった点です。

書類収集の手間がかかるとはいえ、自ら手を尽くして申請したのであれば、たとえそれで期待した結果より低い後遺障害等級しか認定されなかったとしても被害者にとって納得のいくものになるでしょう。

適切な後遺障害等級の認定を受けるには?

まず、交通事故の直後にどのような行動を取るかによって勝ち取れる後遺障害等級、慰謝料の額が左右されるといっても過言ではありません。できれば即座に弁護士に相談し、今後どのような検査、治療を受けたら良いのかをアドバイスしてもらいましょう。

後遺障害が出たとしても事故との因果関係が証明できなければなりませんのであらかじめ必要な検査に関する知識をつけておくことが大切です。そして、実際に治療を受ける段階では、医師にできるだけ詳細に自覚症状を伝えましょう。こんな些細なこと、と思って言わずにいると後日その症状が悪化してくることもあるからです。治療は少し症状が良くなったかと思ってもすぐにやめてはなりません。自己判断で中断してしまうと、後遺障害が残った原因が被害者自身にあるとされてしまうこともあります。

とにかく、症状固定(これ以上症状が良くならないと主治医に判断されること)と判断されるまでは根気よく通院することです。また、労災に該当する事故の場合、自賠責と労災保険の両方で後遺障害を認定してもらう必要がありますが、これらは別々の様式になるので2通の「後遺障害診断書」を作成してもらいましょう。

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後遺障害の等級が認定されないケース

後遺障害等級の別表で第14級にもあたらなかった場合はどうなるのでしょう。後遺障害慰謝料も逸失利益も請求できないことになってしまいます。これを「非該当」といいますが、非該当になってしまう場合の典型的な理由は下記のようなものがあります。

「自覚症状を裏付ける客観的な所見に乏しい」つまり、医師の所見を見ても、その自覚症状との関連性がわかりにくいといった場合です。 「事故受傷との相当因果関係は認めがたい」受傷している事実はあるもののそれが交通事故によるものかどうか疑わしいということです。

「後遺障害認定を裏付ける医学的所見に乏しい」後遺障害にあたる自覚症状を訴えていても、医師の診察内容を見ているとそれがわからないということです。 「画像上は外傷性の異常所見は認められない」写真等を見ても傷その他の箇所がわからないということです。

また、自覚症状の訴えについてはある程度の一貫性が必要で、前後に矛盾があったりするとその点が非該当とされる原因になることもあります。 ただ、自賠責で後遺障害の認定を得られなかったとしても民事訴訟になると労働能力の喪失を認めてもらえる可能性がありますので、こういった状況に備える意味でも弁護士への早期の相談はとても大切なのです。

後遺障害に対する賠償金の支払基準

後遺障害に対する賠償金(慰謝料等)を計算する前提として3つの相場があります。「自賠責基準」とは、3種類の中で最も低い基準です。自賠責保険とは、自動車を所有するなら必ず誰もが入らなくてはならない強制保険ですが、傷害部分の上限は120万円となっています。

もし、後遺障害の認定を受けることができればその後遺障害等級に応じた保険金を受け取ることができます。「任意保険基準」は、現在では各保険会社による独自の基準が用いられています。ただ、自賠責基準より若干高い程度のことも多く、次の「裁判所基準」と比べると大きく下回ります。

「裁判所(弁護士)基準」はこの程度の支払いを受けなければ被害者への補償は十分でないと判断される金額のことで、過去の裁判例などに基づいて決められるものです。自賠責基準、任意保険基準より上回る金額となりますが、この金額を勝ち取るためにはやはり弁護士が介入しなければ難しいといえます。

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自賠責保険基準の計算方法

自賠責保険では後遺障害が認められた場合、「慰謝料」と「逸失利益」が支払われます。慰謝料の計算は前述のように後遺障害等級によって決められますが後遺障害の態様、重さなどにより第1級から第14級までに分かれています。

また、逸失利益は「基礎収入×労働能力喪失率×就労可能年数のライプニッツ係数」で計算します。「基礎収入」とは、被害者が追突事故に遭わなければ得られていたはずの収入を基準にしています。厚生労働省が算出する「賃金構造基本統計調査」という資料を用いるのですが、これには就業形態、勤続年数等を基準にした数値が出されています(賃金センサス)。

また賃金については、被害者の年齢や状況で次のような基準も定められています。
「35歳未満、事故前1年間の収入を立証できる者は年収額か、賃金センサスの全年齢平均年収額か、年齢別年収額のいずれか高い額」
「事故前1年間の収入額立証が困難な者は、35歳未満であれば賃金センサスの全年齢平均年収額か、年齢別年収額のいずれか高い額、35歳以上であれば賃金センサスの年齢別年収額」
「退職後1年を経過していない者も同上」
「労働能力喪失率」は後遺障害等級表の中で喪失率が示されていますのでそれを使用します。

「就労可能年数」とは、基本的には67歳(または平均余命の2分の1)とされています。

「ライプニッツ係数」とは、長期間の賃金を一時の金額に直すにあたり、利息にあたる部分を差し引いて考えるために用いる指数のことです。 これらが自動計算できるサイトなどもありますが、やはり計算間違いなどを防ぐためにも弁護士に相談し、正確に計算するべきといえるでしょう。

任意保険基準の計算方法

弁護士をつけないで後遺障害の慰謝料につき交渉した場合に用いられるのが「任意保険基準」ですが、現在では各保険会社の基準に委ねられているため、各会社の明確な計算式を外から知ることはできません。

ただ、平成10年まで使われていた「任意保険支払基準」の金額によると、上記の後遺障害等級表をひとつの基準として次のように定められています。

「第1級=1,300万円」「第2級=1,120万円」「第3級=950万円」
「第4級=800万円」「第5級=700万円」「第6級=600万円」「第7級=500万円」
「第8級=400万円」「第9級=300万円」「第10級=200万円」「第11級=150万円」
「第12級=100万円」「第13級=60万円」「第14級=40万円」となっています。

現在でもこれらの数値を参考に設定している保険会社が多く、下記の裁判所(弁護士)基準と比べてやはり大幅に低い金額が設定されている状況です。

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裁判所基準の計算方法

では、3種類の中で一番高い「裁判所(弁護士)基準」で用いる後遺障害の慰謝料はどのくらいでしょうか。

これも後遺障害等級表を基準として
「第1級=2,800万円」「第2級=2,370万円」「第3級=1,990万円」「第4級=1,670万円」
「第5級=1,400万円」「第6級=1,180万円」「第7級=1,000万円」「第8級=830万円」
「第9級=690万円」「第10級=550万円」「第11級=420万円」「第12級=290万円」
「第13級=180万円」「第14級=110万円」とされています。

厳密に考えると単に弁護士が入った場合と、実際に裁判まで持ち込んで裁判所が判断した場合の慰謝料は異なってきます。

弁護士が交渉した場合でも、上記の基準額以上の慰謝料を獲得することはほぼ難しいでしょうが、裁判所が最終的に判断を下す場合は実際に被害者本人の生活や就労に与えた実質的影響を考慮して上記金額より高くなることもありえるということです。

ただ、裁判をするとなるとそれなりの時間もかかり精神的負担も生じ、さらには必ずしも被害者が望んだ通りの結論が得られるとは限りません。自分のケースで裁判まで起こして、高い慰謝料を勝ち取れる可能性があるのかどうかを依頼先の弁護士によく相談して熟慮し、最終的にどの段階まで争うのかを決めておくべきといえます。

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