2018.9.20 更新

【判例4選】被害者死亡の交通事故でのケース別の慰謝料を徹底解説

交通死亡事故の裁判事例と慰謝料相場
家族が交通事故で亡くなってしまいました。

ご遺族の方ができることの一つとして、死亡事故による損害賠償金を受け取ることができます。

交通死亡事故の場合、加害者側との主張の食い違いから示談がまとまらないこともあるほか、死亡慰謝料や逸失利益の計算もとても複雑なものになります。

この記事では、実際に交通事故でご家族を亡くしてしまった方の裁判の事例を参照しながら、示談が少しでもご遺族の方の有利になるポイントをお伝えします。

  • 過去の交通死亡事故の裁判例が知れる
  • 死亡事故の示談で注意すべきポイントがわかる
  • 示談を有利に進める方法がわかる
この記事でわかること

交通死亡事故の損害賠償金はいくら?実際の裁判の事例4つ

まずは実際の死亡事故の裁判事例をみてみましょう。
死亡事故の損害賠償額の判例一覧
Case1 秋田地方裁判所
平成22年9月9日
21、19歳
姉妹
損害賠償額
約8610万円
Case2 仙台地方裁判所
平成20年10月29日
40歳
タクシー運転手
男性
損害賠償額
約7895万円
Case3 仙台地方裁判所
平成20年10月22日
2歳
女の子
損害賠償額
約5024万円
Case4 千葉地方裁判所
平成17年6月23日
28歳
研修医
男性
損害賠償額
約1億1170万円

※こちらの裁判事例は、すべて裁判所Webサイトに掲載されている判例集より引用しております。

【Case1】損害賠償額:約8610万円(事故当時21歳・19歳姉妹)

女性アイコン

姉妹が同時に亡くなってしまった事故

  • 片側1車線道路の走行中、被害車と加害者が衝突
  • 過失割合 0:10
  • 被害車に乗っていた姉妹が死亡
  • 被害者の父母に遺族固有の慰謝料が認められた

事故の状況

Case1の事故は、追い越し禁止の片側1車線の国道で、加害車が前方の車を追い越そうとして、対向車線にはみ出たところ、対向進行してきた被害車と衝突してしまったというものです。

制限速度時速60kmのところ、加害車は時速76~89kmで走行しており、スピード違反をしていました。

加害車側の過失による事故のため、過失割合は0:10です。

示談金の総額と詳細

損害賠償額 計 約8610万円(父母合算)
うち死亡慰謝料 姉妹それぞれに2200万円ずつ=4400万円
うち逸失利益 判例に記載なし
うち遺族への慰謝料 父母それぞれに600万円ずつ=1200万円
この判例では、遺族に対して固有の慰謝料が認められた点がポイントです。以下で詳しく説明いたします。

判例のポイント

通常、裁判基準では、亡くなった方本人に対する死亡慰謝料とその遺族への近親者慰謝料を合わせて2000万円~2200万円が相場となっています。
でもこのケースでは、被害者の方本人に加えてご遺族の方に慰謝料が出てますね。これには判断基準などあるのでしょうか?
慰謝料は「精神的苦痛」に対する損害賠償金なのでケースによって様々です。
このケースでは、21歳・19歳という若さで亡くなった無念、大切に育てていた愛する子供を一度に失ってしまったという精神的苦痛や、加害者の交通違反の常習性が考慮され、父母にそれぞれ600万円ずつの遺族固有の慰謝料が認められました。

【Case2】損害賠償額:約7895万円(事故当時40歳男性)

女性アイコン

居眠り運転による死亡事故

  • 加害者の居眠り運転による事故
  • 過失割合0:10
  • 被害者は脳挫傷により死亡
  • 被害者の父母に遺族固有の慰謝料が認められた

事故の状況

この事故の原因は、加害車運転手の居眠り運転によるものです。

被害車が青信号の交差点に走行していたところ、疲労により居眠り運転をしていた中型トラックが赤信号に気づかず交差点に進入し、避けきれずにそのまま衝突してしまいました。

被害者の方は、脳挫傷により亡くなってしまいました。

損害賠償額の総額と詳細

損害賠償額 計 約7895万円
うち死亡慰謝料 2400万円
うち逸失利益 4282万9017円
うち遺族固有の慰謝料(両親の合算額) 300万円(100万円+200万円)

判例のポイント

逸失利益ってなんのことですか?
逸失利益とは「事故にあわなければ本来受け取るはずだった利益」のことです。

通常、逸失利益は、以下の式で計算されます。

  • =基礎収入 × 後遺症による労働能力喪失率 × ライプニッツ係数
  • 基礎収入…一般的に、事故にあう前の収入額やその年齢・性別の平均賃金額がベースとなる
  • 労働喪失率…死亡や後遺傷害の等級によって基準が定められている
  • ライプニッツ係数…逸失利益の計算時に使用する指数

Case2の場合、

男性の基礎収入×労働喪失率(死亡の場合100%)×ライプニッツ係数(67歳まで働いたと仮定した27年間に対応した数字)

という式で計算されます。

そこから生活費を控除した金額(死亡事例のため)が逸失利益となります。

この裁判では、生前にタクシー運転手として実際もらっていた月収が一般男性の平均月収より低かったため、「男性の基礎収入をいくらとするか」が争点になりました。

しかし、翌年設立を予定していた新しい介護タクシーの会社による報酬分を基礎収入額に計上することができ、逸失利益を増額することができました。

被害者の方の実際の収入だけでなく、未来に発生するはずだった収入も基礎収入にカウントされることがあるんですね。
はい。逸失利益の計算は、様々な条件から「事故にあわなかった場合」を想定するしかないので非常に難しく、ケースバイケースといえるでしょう。

【Case3】損害賠償金:約5024万(事故当時2歳女の子)

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2歳の女の子の死亡事故

  • 横断歩道 横断中の交通事故
  • 過失割合 0:10
  • 2歳の女の子が脳挫傷により死亡、母親は両足をけが

事故の状況

Case3の事故は、お母さんと2歳の女の子の二人で、青信号の交差点を渡っていたところ、右折してきた車が横断歩道を確認せず交差点に進入し、二人と衝突してしまったというものです。
二人は突き飛ばされ、路上で転倒してしまいました。

女の子は頭を強く打ち付け、脳挫傷によって死亡してしまい、母は加療4週間ほどの両足挫傷を負ってしまいました。

損害賠償金の総額と詳細

損害賠償金 計 約5024万
うち死亡慰謝料 2400万円
うち逸失利益 2000万9158円
うち遺族への慰謝料 被害者本人の死亡慰謝料に含む

判例のポイント

小さい子供が事故にあってしまった場合、逸失利益はどのように計算するのでしょうか?

小さい子供の場合、事故以前に働いていないため「将来どのくらいの金額を受けとれるはずであったか」を計算することができません。

この場合、「賃金センサス」という厚生労働省が調査した全労働者の平均賃金を基準に計算されます

この事例では、事故発生当時(平成18年)の全女子労働者の平均賃金額を基準に算出されました。

この事例では、遺族の方への慰謝料はないのでしょうか?
特別な事由がない場合、亡くなった方への死亡慰謝料額に遺族への慰謝料が含まれてしまうことも多いのです。こちらもケースバイケースでしょう。

【Case4】損害賠償額:約1億1170万円(事故当時28歳男性)

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飲酒運転による死亡事故

  • 飲酒運転による死亡事故・ひき逃げ
  • 二台の車両に轢かれてしまった二重事故
  • 過失割合は2:8

事故の状況

Case4は、立体交差道路の合流地点で発生し、二台の車両に轢かれてしまった二重事故です。

被害者の方はジョギング中、立体交差道路のゼブラゾーンに進入してしまったところ、飲酒運転の加害車①にはねられて道路上に転倒した後、同じく飲酒運転の加害車②に轢かれてしまいました。
その方は、脳挫傷に加えて頭蓋骨や全身の骨を骨折し、亡くなってしまいました。

加害者の方たちはいずれも被害者の方を救護せず、その場を立ち去ってしまいました。

損害賠償金の総額と詳細

 

 

損害賠償金 総額 約1億1170万円
うち死亡慰謝料 2200万円
うち逸失利益 1億1307万6263円
うち遺族への慰謝料(父母合算額) 1000万円
うち葬儀関係費・その他 約185万円
過失相殺(2割) ×0.8
他の3つの事例と比べて、逸失利益の金額が大きいのは何故ですか?
亡くなった方の職業が研修医であったため、医師の平均賃金が基礎収入額として参照されたからだといえるでしょう。

判例のポイント

被害者の方に過失が認められた場合、どうなるのでしょうか?
交通事故では、被害者に過失がある場合、その割合に応じて過失相殺がなされます
たとえば、過失割合が3(被害者の過失):7(加害者の過失)であった場合、全損害賠償額のうちの3割を失ってしまいます。

このCase4で被害者は、本来歩行者はいないと仮定される道路のゼブラゾーンに被害者が立っていたという過失がありました。

ただし、加害者側にも飲酒運転という多大な過失があったことが考慮され、結果2割の過失相殺がなされました。

そのため、本来の全損害賠償額の1億4714万円と比べて、約3000万円ほど金額が減少してしまいました。

なるほど。過失割合が1違うだけでも、受け取る損害賠償金が大きく変わってきますね。
はい。そのため、過失割合に関して加害者の方との交渉が難航することがとても多いです。
しかし、大事な点ですので、妥協せず戦うことが重要です。

相場に騙されるな!慰謝料基準額と損害賠償額計算時のポイント

判例は参考になったでしょうか?
はい。自分と似た境遇の方の事例を見ることができて少し不安がやわらぎました。
でも、やっぱり年齢とか状況とか違うしなあ…自分の場合はどうなんだろう…。

死亡事故の慰謝料相場

慰謝料は、事故にあったことによる「精神的苦痛」に対する賠償金であるため、具体的な金額にするのは難しいことです。

ですが、類似ケース同士で金額が大幅に違わないようことで公平性が損なわれないよう、慰謝料の基準額がさだめられています。

亡くなった被害者本人 自賠責基準 弁護士基準
一家の支柱 350万円 2800万円から3100万円程度
母親・配偶者 350万円 2500万円から2700万円程度
子供 350万円 2000万円から2500万円程度
高齢者 350万円 2000万円から2500万円程度
その他 350万円 2000万円から2500万円程度
出典元:「損害賠償額算定基準2017(平成29年)版」※通称:赤い本 より

ケースによって損害賠償額は異なる

慰謝料の基準額や、逸失利益の算出額が定められているとはいえ、その事故のケースにより、損害賠償額は異なります。

例えば以下のような場合、慰謝料額が増額されたり過失割合が変動することもあります。

  • 飲酒運転やひき逃げなどの悪質なケース
  • 事故後の加害者の対応に不誠実さが認められるケース

また、死亡事故の場合、遺族に対する慰謝料が認められる場合とそうでない場合があるほか、遺族の生活状況によっても金額が変わる場合があります。

だからこそ、その事故ケースに沿って一つひとつ考えていくことが必要です。

死亡慰謝料の細かい計算方法などは【ご家族向け】交通事故の死亡慰謝料の全て|計算方法・相続・事例をご覧ください。

【事故示談は弁護士に依頼】ご遺族の方が少しでも救われるために

事故ケースによって考えるべきことが異なる場合、ご遺族の方はどうするのがよいのでしょうか。
弁護士に依頼することで、少しでもその負担を軽減させることができますよ。

弁護士に依頼するメリット

  • ご遺族の方の味方になって一緒に戦ってくれる
  • 示談交渉や手続きをすべて弁護士に任せることができる
  • 慰謝料や逸失利益を増額できる可能性がある
  • 過失割合が減ることがある

弁護士に依頼するメリットは、慰謝料の増額などの金額的なメリットだけではありません。

弁護士がご遺族の方の味方となり、その事故ケースごとに対応してくれます

死亡に至る事故の場合、示談にあたり加害者側との争点が多くなる傾向にあり、示談交渉も難航しやすいです。

そんな心の負担となる事故の検証や示談交渉などをすべて弁護士に任せることができるので、精神的負担の軽減につながります。

弁護士はご遺族の方の味方です
少しでもご遺族の方の負担が減るように尽力いたしますので、まずはご相談ください。

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