2019.11.20 更新
交通事故の慰謝料計算|自賠責・任意保険・弁護士基準の金額比較

「保険会社に提示された慰謝料は妥当な金額?」
交通事故の被害者の方が請求できる慰謝料には入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3つの種類があり、それぞれに異なる計算方法が存在します。
3つの慰謝料には受け取るための条件があり「後遺障害慰謝料」は後遺障害の等級認定を受けた方に、「死亡慰謝料」は事故で亡くなられた方の遺族のみが受け取ることができる慰謝料になります。
この記事では、事故でケガをした全ての方が請求することができる「入通院慰謝料」の適切な金額の出し方について解説するので確認していきましょう。
- 後遺障害慰謝料について知りたい方はこちら
「後遺障害とは?等級認定の流れと等級表でみる1級~14級の認定基準」 - 死亡慰謝料について知りたい方はこちら
「交通事故の死亡慰謝料相場|相続や慰謝料計算方法を紹介【ご家族用】」
目次
3つの慰謝料|そもそも交通事故で請求できる慰謝料とは
前述のとおり、交通事故の慰謝料は「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つの種類に分けられます。
3つの慰謝料の違いや請求できる条件について見ていきましょう。
交通事故で請求できる慰謝料の3つの種類 | |
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交通事故によってケガをした方に支払われる慰謝料を指します。自損事故でない人身事故であれば必ず請求することができます。重症や軽症に関わらず、通院期間が長くなるほど入通院慰謝料は高くなります。
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交通事故によるケガが完治せず、後遺症が残ってしまった場合に「後遺障害の等級認定」を受けた方に対して支払われる慰謝料を指します。
14級から1級までの14等級のうち認定された等級によって慰謝料の金額は変わります。 |
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交通事故により被害者が死亡した場合に、亡くなった被害者と遺族に対して支払われる慰謝料を指します。
亡くなったご本人の年齢や職業などによって金額は変わります。 |
入通院慰謝料は、ケガで入院・もしくは通院をした全ての方が受け取れる慰謝料です。
もし治療を続けても完治せず、後遺症が残ってしまった場合は入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の両方が受け取れます。
そのため、自分のケガが後遺障害の等級認定に該当するものであるのか意識しておくことが大切です。
交通事故の慰謝料の計算方法(自賠責・任意保険・弁護士基準)
慰謝料の計算方法には3つの基準があります。

この3つの基準は図のような関係になっており、一番高い基準で算出したい場合は弁護士に依頼することになります。
そしてどの基準を用いるかによって、もらえる慰謝料の金額は大きく変わります。
慰謝料を計算するための3つの基準 | |
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自賠責基準 |
交通事故にあった際に、法令で決められた最低限の補償をしてくれる基準。
事故相手が任意保険に加入していない場合に適用される。 |
任意保険基準 |
加入している各自動車保険会社が設定している基準。慰謝料の金額は、自賠責基準よりも少し高くなる。
事故の相手が任意保険に加入している場合に適用される。 |
弁護士基準(裁判基準) |
弁護士が用いる基準で、任意保険基準との金額の差は2倍以上。この弁護士基準で計算した慰謝料が、もっとも高額になる。
被害者が弁護士に依頼すると適用される。 |
基準1 自賠責基準による入通院慰謝料の計算式
自賠責保険は被害者の最低限度の救済を目的とするため、自賠責基準は3つの基準の中で慰謝料の金額がもっとも低くなります。
事故の相手が任意保険に加入していない場合はこちらの基準で計算します。
「4,200円(1日あたり)×入通院期間」
また、入通院期間については、「総入通院期間」と「実際に入通院をした日数×2」のうち、少ない方の数字を使って計算します。
実際に通院した日数は、「入院日数」と「病院に足を運んだ治療日数(実際の通院日数)」の合計を指します。
慰謝料の金額は72×4,200=302,400円になります。
基準2 任意保険基準による慰謝料計算表
任意保険基準とは、それぞれの任意保険会社が設定した慰謝料の支払い基準で、弁護士基準(裁判基準)と比べるとかなり低い金額になります。
それぞれの保険会社が決めているので計算式は公開されていないのですが、各会社の慰謝料金額を決めるもとになった任意保険基準の慰謝料表があります。
以下が、任意保険基準での入通院慰謝料を表す算定表です。
任意保険基準による入通院慰謝料表(単位:万円)
基準3 弁護士基準(裁判基準)による慰謝料計算の表
弁護士基準(裁判基準)とは、裁判所の考え方や判例などをもとに東京三弁護士会の交通事故処理委員会が公表している慰謝料の支払い基準です。
弁護士が示談交渉をする場合や裁判をする際に使われます。
3つの計算基準の中で慰謝料がもっとも高くなる基準で、被害者の方が弁護士に示談交渉を依頼するとこの基準が適用されます。
以下が、弁護士基準での入通院慰謝料の金額を表す算定表です。