2020.3.25 更新

後遺障害の等級認定に納得いかない! 異議申し立ての期間や成功させるポイント

交通事故で後遺障害認定を受けましたが、思っていたより等級が低く、納得いきません。あきらめるしかないのでしょうか?
後遺障害の等級認定によって、慰謝料などの金額が大きく変わります。納得いかない場合、異議申し立てを検討してはいかがでしょう。

交通事故で後遺障害が残った場合、認定された等級に応じた「後遺障害慰謝料」を請求できます。

認定された等級によって、受け取れる金額に大きな違いがあるため、思っていたよりも低い等級で認定されたり、そもそも認定されなかったりした場合は、納得できない人も出てきます。そうした場合には「異議申し立て」ができます。

後遺障害の等級認定に対する異議申し立ては、費用がかからず、納得いくまで何度でも行えます。しかし、異議申し立ての成功率は決して高くありません。

成功率を高めるためには、交通事故の問題に詳しい弁護士に相談することが大切です。
この記事では、等級認定の異議申し立てを成功させるためのポイントを紹介します。

法律監修

弁護士法人天音法律事務所 代表弁護士

正木 絢生

後遺症の等級認定に対する異議申し立てとは?

「後遺障害」とは、治療後にも残ってしまう後遺症のうち、「交通事故によるものと医学的に証明されるもの」で、しかも「労働能力の低下や喪失が認められるものを指します。」

後遺障害と認められた場合には、加害者に対して「後遺障害慰謝料」を請求できますが、そのためには後遺障害申請によって、等級の認定を受ける必要があります。

後遺障害の等級は、症状の程度によって第1級~第14級に分類され、等級が一つ変わるだけで、受け取れる賠償金も大きく変わってきます。

認定された等級が納得できない場合には、異議申し立て・紛争処理・訴訟の3つの手段をとることが可能です。

メリット デメリット
異議申し立て
  • 費用負担がない
  • 何度でも申し立てができる
  • 申請の手間がかかる
  • 成功率は高くない
紛争処理
  • 費用負担がない
  • 第三者機関による審査
  • 1回しか使えない
訴訟
  • 納得いくまで争える
  • 費用負担がある
  • 解決までに時間がかかる

この中で、費用や手続きの面から見て、最もハードルが低いといえるのが「異議申し立て」です。

ただし、異議申し立ての成功率は決して高くありません。異議申し立ての成功率を高めるためには、いくつかのポイントがありますが、最もシンプルなのは、交通事故の問題解決を得意とする弁護士に依頼することです。

後遺障害の等級認定は、その後の慰謝料請求などにも影響を与えるので諦めるべきではありません。異議申し立てを行う具体的な方法を把握して、必要な準備を整えましょう。

後遺障害認定の異議申し立てには時効がある

しかし後遺障害認定の異議申し立てには「時効」があるため、時間切れにならないよう注意が必要です。

不法行為による損害賠償請求権の時効を定めた民法第724条は、交通事故にも適用されます。

民法第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。(民法第724条)

人身事故で後遺障害が残った場合、症状固定(これ以上、治療を続けても症状の改善が見込めない状態)の翌日から数えて原則3年で時効となります。

つまり、3年以内でなければ等級認定の異議申し立ては行えません。

ただし、加害者が「債務の存在を認めた」「一時金を渡した」といったケースでは、時効が中断する可能性もあります。

また、ADR(裁判外紛争解決手続)や裁判によっても、時効を中断できる場合はあります。

異議申し立てをすべき場合と、しない方が良い場合

後遺障害の等級認定に関する異議申し立てを行うときには、成功の可能性があるかどうかをよく見極めておく必要があります。

異議申し立てを「すべき場合」と「しない方がよい場合」について、それぞれ紹介します。

異議申し立てをすべき場合

1.後遺障害診断書に抜け漏れている事実がある場合

初回の等級認定手続きで提出した後遺障害診断書に不備がある場合には、異議申し立てをすべきだと言えます。

なぜなら望む等級を得られるだけの事実があるにもかかわらず、診断書などの申請書類に、事実が適切に書かれていないパターンもあるからです。

この場合には、書類の内容を修正して異議申し立てを行いましょう。

2.初回の認定手続きが「事前認定」だった場合

「事前認定」とは加害者が加入している保険会社を通じた認定手続きのことです。

事前認定の場合、通常の認定手続きよりもシンプルな仕組みとなっていますが、保険会社が提出した書類が十分ではない可能性があります。

被害者からすれば、手続きが簡単というメリットがある一方で、適切な等級認定が行われないデメリットもあるのです。

保険会社を通じて提出した書類以外にも、追加書類などがある場合には、異議申し立てを検討すべきです。

異議申し立てをしない方がよい場合

1.そもそも認定事実がない、もしくは足りない場合

等級認定の異議申し立てを行うためには、きちんとした認定事実が必要です。

たとえば、14級の等級認定を受けるためには、「通院期間6ヶ月以上、通院実日数100日程度」という基準があります。

もし、通院期間や日数が足りていなければ、異議申し立てをしても同じ結果になる可能性が高いため、申し立てをしないほうがよいでしょう。

ただし、等級認定は通院実績以外の要素も含めて判断されます。期間や日数を満たしているからといって、必ずしも認定されるわけではないので気をつけましょう。

2.初回の認定を覆す新たな医証が存在しない場合

初回の等級認定を覆すためには、診断書などの「医証(医師による証明書)」が必要です。

医証がないまま異議申し立てを行っても、同じ結果となってしまうケースがほとんどです。

診断結果に納得がいかない場合には、改めて医師の診断を受け、新たな認定事実がないかを判断してもらうことも大切です。この場合、別の医師による診断でも問題になりません。

また、後遺障害の等級認定では「医療機関への通院」が治療実績として認められます。

整骨院や接骨院での施術は治療として認められないケースもあるので、整形外科など医療機関で診断を受けるようにしましょう。

異議申し立ての手続きの流れと必要な期間・費用

異議申し立ての手続きは、以下のような流れで進めていきます。

  • 必要書類の収集
  • 異議申立書の作成
  • 審査機関への提出

手続きには1~6ヶ月程度とお考えください。

初回審査よりも時間がかかってしまうのは、より専門的な視点から審査が行われるからです。

手続きそのものは無料ですが、異議申立書を作成するために必要な診断書代や画像取得費用など、1~5万円程度が必要です。

これらの費用は一時的に立て替えて、後から加害者側の保険会社が負担してくれる場合も多いので、事前に確認しておきましょう。

必要書類の収集

異議申し立ては書面で行う必要があるため、必要書類を準備することから始めます。

異議申立書の添付資料としては、「医師の診断書・意見書」や「検査資料」などがあります。

新たな資料を提出する際には、具体的な症状と紐づけて、客観的な事実を示すことが必要です。

担当医師とのコミュニケーションを大事にして、正確な症状を診断書に反映してもらいましょう。

異議申立書の作成

異議申立書は、保険会社に問い合わせれば入手可能です。シンプルな作りとなっていて、以下の項目を記入します。

  • 申請会社名(保険会社の社名)
  • 申立人の氏名・住所・電話番号
  • 証明書番号等(自賠責保険の証明書番号など)
  • 異議申し立ての趣旨

特に重要なのが異議申し立ての趣旨です。収集した書類の内容を踏まえて、できるだけ詳細に記入しましょう。

記載内容は以下のサンプルを参考にしてみてください。

異議申立書サンプル

審査機関への提出

異議申し立てをするための書類が準備できたら、保険会社に提出します。

加害者が加入する保険によって提出先が異なるため、あらかじめチェックしておきましょう。

提出した書類は、保険会社を通じて審査機関に送られるので、審査が完了するまで待ちましょう。

異議申立ては難しい!納得できる結果を導くには?

異議申し立ての手続きは自分で進めることもできますが、専門家のサポートを受けるという選択肢もあります。

「一人で手続きを進めるのは不安だ」と感じる場合には、弁護士に依頼して早期解決を図ってみましょう。

専門的な知識に基づき万全の準備ができる

異議申し立ては、そもそも成功率が低く、特に被害者が一人で準備した場合には、準備の手間や認定事実の立証の難しさにぶつかってしまいがちです。

異議申し立ての成功率を高めたい場合は、交通事故事案に詳しい弁護士の協力を仰ぐのが早道です。専門的な知識に基づいて申請書類を作成してもらうことで、より周到な準備が整うはずです。

専門家のサポートによる安心感が得られる

交通事故に遭ってしまうと、示談交渉をはじめ、さまざまな手続きが必要になるため、被害者は心理的な負担を感じやすいものです。

また、自力で異議申し立て手続きを行って、何度も同じ結果となってしまえば、次第に気持ちも疲れてしまうでしょう。

弁護士などの信頼できる専門家が身近にいることで、心理的な安心感につながるはずです。

被害者が直接、交渉しなくても済む

被害者の中には、加害者や保険会社とのやりとりに不安を感じてしまう人も少なくありません。

相手方とはいえ大抵の保険会社は誠意をもって対応してくれるはずです。しかし本音としては自分に不利な結果にはしたくないでしょう。

そのため示談交渉のプロとも言える相手方の保険会社との交渉は、被害者にとって大きなストレスになります。

その点、弁護士に依頼すれば、被害者が直接やりとりをしなくても済むため、負担を軽減できます。

交渉の代理人となってくれる弁護士がいてくれることで、落ち着いて手続きを進められます。

まとめ

後遺障害の等級認定は、慰謝料などの賠償金にも影響を与えるものであり、事実に基づいた認定を行ってもらう必要があります。

ただ、初回認定の結果に納得できない場合には、異議申し立てを行うことが可能です。

審査機関から認定を見直してもらうためには、診断書や検査資料などの客観的なデータと結びつけて根拠を示さなければなりません。

等級認定の異議申し立てを成功させるためにも、弁護士などの専門家のサポートを受けることを検討してみましょう。

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