2019.1.16 更新
後遺障害診断書|正しい書き方例と等級認定に落とせないポイント5つ

「診断書は誰に作成してもらうのがベスト?」
交通事故で怪我をし、後遺症が残る場合は後遺障害認定の申請を行い、等級認定する必要があります。等級認定すれば、症状に応じた補償を受ける事が出来ます。
その認定で最も重要なのが後遺障害診断書です。診断書の書き方1つで認定を左右するものなので、正しい知識が必要になります。
この記事では、正しい後遺障害診断書の書き方や後遺障害等級認定を受けるために確認すべき事などを紹介しております。
納得できる結果を得るためにも、弁護士など専門家の力を借りて後遺障害等級の申請をし、正しい等級認定を受けられるようにしましょう。
- 後遺障害診断書を作成する最も良いタイミング
- 後遺障害診断書の正しい書き方や記入例
- 後遺障害診断書は誰に作成依頼をすればいいか
- 後遺障害認定が認められなかった場合の対応方法
- 後遺障害認定を受けるためにアドバイスをもらう方法
目次
後遺障害診断書で全て決まる|必ず弁護士チェックを通しましょう
交通事故で後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定を申請して認定されれば「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を含めた損害賠償金を請求する事ができます。
後遺障害等級認定が認定されるかどうかで、その損害賠償額が大きくかわります。認定されれば後遺障害慰謝料と逸失利益を含めた損害賠償請求ができるのです。
この後遺障害診断書に記載している内容次第で、どの等級に認定されるかどうかがほぼ決まってしまいます。提出する後遺障害診断書に不備がないか・不適切な表現や記載がないかなどを交通事故案件に強い弁護士にアドバイスをもらいながら進めていくのをおすすめいたします。
残ってしまった後遺症とは、今後一生付き合わなければいけないものなので、その症状分の補償をしっかり受け取れるように慎重に後遺障害診断書作成を進めましょう。
書き直しはできない場合も|後遺障害診断書の修正に注意
後遺障害診断書を作成し終えたものに関して、内容の訂正や追加などの書き直しは医師から断られる可能性があります。修正が発生しないように、内容を医師と確認しながら作成を進める事をおすすめいたします。
後遺障害診断書を作成する最も良いタイミング
後遺障害診断書を作成する理由として、怪我の治療を続けても完治せず後遺症が残ってしまった場合、「後遺障害等級認定」を受けるために現在どのような症状が残っているかを記すための診断書になります。
作成するタイミングは、「症状固定」になり後遺症が残っていると医師に判断されたあとに作成します。症状固定になるタイミングは、医師と相談しながら決めますが、最終的には医師が判断して決まります。
症状固定とは
これ以上治療を続けても回復見込みがないと医師が判断した状態のこと
仮に任意保険会社などから症状固定の話が出たり、治療の打ち切りを急かされたりする際は医師に相談してください。
後遺障害診断書は病院の医師のみが作成できる・転院も可能

後遺障害診断書は医師しか作成する事が出来ません。
ただ、後遺障害診断書の書式は非常に特殊なものなので作成経験がない医師も沢山います。中には、ずっと治療を担当してくれていたのに後遺障害診断書の作成を依頼しても嫌がり作成してくれないケースも珍しくはありません。それだけ後遺障害診断書の作成は非常に重要で特殊なものなのです。
後遺障害診断書を作成してもらうための転院は可能です
後遺障害診断書を作成した事のある医師は、とても限られています。後遺障害診断書を正しく記載するために、別の病院へ転院し経験のある医師に後遺障害診断書の作成を依頼する事は可能です。
しかし、後遺障害認定されるためには症状が出始めてからの「一貫性」が非常に問われます。他覚症状・自覚症状ともに治療中から変わらない事を証明する必要があります。
別の病院の医師に作成してもらう事に問題はありませんが、交通事故が原因での後遺症という「因果関係」を証明する必要があるので、作成してもらう際には十分に注意しましょう。
整骨院では診断書の作成ができない
整骨院では後遺障害診断書を作成する事が出来ません。それには理由があり、整骨院で施術を行なうのは医師ではなく「柔道整復師」という資格者だからです。前述のように、後遺障害診断書は医師しか作成する事が認められていないため、作成してもらう際は整形外科など「医師」がいる病院へ通いましょう。
後遺障害診断書の作成にかかる費用と期間は?
後遺障害診断書を作成するには作成費用がかかります。料金は病院や医師によって異なりますが、1通につき5,000円~10,000円程度の場合が多いです。治療費とは別に、後遺障害診断書の作成費がかかります。
作成するのにかかった費用は、後遺症が認定された場合は加害者側に請求することができますが、もし仮に認定を受けられなかった場合は被害者負担になってしまう可能性がありますので注意してください。
後遺障害診断書の作成にかかる期間は約2週間
もちろん病院によっても医師によってもかかる時間は異なりますが、医師に後遺障害診断書の用紙を渡してから、その日に後遺障害診断書に記載する必要がある細かい検査などを行う場合が多いです。
その検査結果の数値を元に、医師が後遺障害診断書を作成致します。
当日中に後遺障害診断書を受け取れる事はほぼなく、約2週間後に郵送、または直接手渡しで受け取るパターンが多いです。医師によっては遅くなる可能性もあるので、あまりにも時間がかかりすぎてて気になる場合は、進み具合を随時確認致しましょう。
後遺障害等級認定の手続き・申請方法
後遺障害診断書を作成し終わり申請する際、後遺障害等級認定への申請方法には2パターンあります。
・保険会社まかせの「事前認定」
・ご自身、もしくは弁護士に手続きしてもらう「被害者請求」です。
後遺障害等級認定の申請方法、等級認定手続きや流れ・認定期間・認定基準などについては、交通事故の後遺障害|等級認定の流れと正しく受けるための方法でさらに詳しく説明しております。
後遺障害等級認定を受けるためにここだけは落とせない5つのポイント
- (1)自覚症状を自分で別紙で用意して医師に渡す
- (2)治療中から一貫性・連続性がある症状を医師に伝える
- (3)必ず後遺障害診断書の作成経験がある医師に依頼する
- (4)診断書の記載内容に不備がないか確認する
- (5)申請する前に弁護士など専門家に目を通してもらう
ポイント(1)自覚症状を自分で別紙で用意して医師に渡す
後遺障害診断書とは別に、自分自身で自覚症状を記載した書類を用意する事をおすすめいたします。いわゆる意見書です。後遺障害診断書の自覚症状を記載する欄には収まらないほどの症状がある場合は、別紙で準備してください。
申請する際に、診断書と自覚症状を記載した用紙を一緒に送る事が出来ます。
検査だけではわかりづらい自覚症状は、ご自身で書き記したほうが良いです。
ポイント(2)治療中から一貫性・連続性がある症状を医師に伝える
残っている症状に一貫性があるかどうかは重要です。治療期間中、どんな症状が出たのか、きちんと医学的に一貫性をもっているものなのかを重視されます。
特に自覚症状は他人からは見えないので、一貫した症状でなければ後遺障害認定が認められない事もあります。
医師に伝えていない症状を後遺障害診断書に記載する事はできないので、治療の段階から全ての症状を伝えましょう。
ポイント(3)必ず後遺障害診断書の作成経験がある医師に依頼する
後遺障害診断書は医師に作成してもらうものですが、医師であればだれでも作成できるというわけではありません。後遺障害診断書の作成経験のある医師は意外と少ないですし、担当医だとしても後遺障害診断書の作成経験がない場合、作成自体を断る医師も少なくありません。
後遺障害診断書の内容は、後遺障害等級認定に非常に大きく関わる部分ですので必ず作成経験のある医師に依頼しましょう。
ポイント(4)診断書の記載内容に不備がないか確認する
後遺障害診断書を医師に作成してもらった後、必ずご自身でも内容を確認してください。どういった数値や検査結果が記載されているのか、知らないまま申請することは避けましょう。
特に症状固定日や入院・通院開始日などは等級認定に大きく関わってくるところですので、誤りがないかどうか確認致しましょう。
また、必ずコピーをとり保管しておく事をおすすめいたします。
原本を申請すると、もう手元には戻ってこないので内容を確認できません。何か起きた時のためにもコピーは必須です。
ポイント(5)申請する前に弁護士など専門家に目を通してもらう
意外と知られていない、非常に重要なポイントがこちらです。後遺障害診断書の作成が完成し、診断書を申請する前に交通事故に強い弁護士などの専門家に目を通してもらい、認定のためのアドバイスを受けましょう。
交通事故に強い弁護士は後遺障害認定についての知見も非常にあります。どういった記載の仕方が認定されやすくなるのかポイントを確認し、もし修正が必要でしたら再度医師に作成してもらいましょう。

後遺障害診断書の書き方|等級認定される記入例を紹介
後遺障害診断書の見本|注意すべき診断書の2つの項目
後遺障害診断書には作成後に当事者が必ず確認すべき2つの項目があります。
【後遺障害診断書の重要項目】
- 他覚症状および検査結果 精神・神経の障害
- 障害内容の増悪・緩解の見通し
診断書の記入のポイントを踏まえて、不備があった場合医師にしっかりと自分から依頼をできるようにすることが大切です。
2つの項目について以下で1つずつ詳しく確認していきましょう。
「他覚症状および検査結果 精神・神経の障害」
この項目の記載について注意したいのは、症状を漏れなく記載しているかどうかです。
頸椎捻挫や頸部痛などの症状に加えて、睡眠の問題があるのであればしっかりと睡眠の問題も記載すべき事柄ですし、腰痛や頭痛などの症状が出ているのであれば漏れなく記載してもらう必要があります。
また、書き方にも注意が必要で、正確かつ障害がはっきりとわかるように書く必要があります。頸部に痺れがある場合には以下のような書き方に注意してみましょう。
認定される書き方:頸部シビレ感有り
認定が下りない書き方:頸部に違和感有り
ちょっとした書き方の差ですがこのような点に注意が必要です。
「障害内容の増悪・緩解の見通し」
2つ目は「障害内容の増悪・緩解の見通し」です。
障害内容の見通しが悪い場合にはしっかりとその旨の記載をしてもらう必要があり、この欄の内容がしっかりと記載されていないと認定を受けられない場合もあります。
適切な後遺障害の認定を得るためにはやはり書類全般にしっかりと目を通し、内容に不備があれば医師に相談して記載を追加してもらったり、適切な内容に改めてもらうことが非常に重要です。
しっかりと診断書の内容まで確認してから診断書を取得するようにしましょう。
自覚症状を裏付けるための4つの検査方法について
自覚症状は、他人から見えない分「後遺障害」に該当する症状なのかどうかの裏付けは非常に難しいです。自覚症状を医学的に裏付けるためには、いくつかの検査を行いその数値で判断する方法があります。ここでは代表的な4つの検査方法について見ていきましょう。
検査(1)ジャクソンテスト
受検者は椅子などに座った状態で、医師が後ろにまわります。医師が受検者の頭部を後方に曲げながら圧迫します。
これによって、神経根の支配領域に痛みやしびれがひろがった場合に陽性(反応があった)となります。
検査(2)スパーリングテスト
ジャクソンテスト同様に、座った状態で医師が後ろにまわります。
医師が後ろから頭をつかみ、痛みやしびれが出ている方に傾けつつ、後方に曲げ圧迫します。
この方法も、その神経根の支配領域に痛みやしびれが出れば陽性(反応があった)となります。
検査(3)深部腱反射テスト
打腱器(ゴム製のハンマー)で、腱を叩き、その反応をみるテストです。
運動系の障害や末梢神経の障害の有無の判断に有用なテストです。「反射の亢進」と「反射の低下」があります。
後遺障害の認定において腱反射は受検者が意図的に反応できるものではないため他覚的な所見としては重要です。
検査(4)筋萎縮テスト
筋萎縮テストは腕や脚の太さをメジャーで計る検査です。
「むちうち」などにより手に症状が残っている場合、他の筋肉が無意識のうちにそれをかばっています。
そのため、かばわれた筋肉は動きが少なくなり萎縮(縮み)し始め、症状のない手は、反対側の手とくらべると、細くなっていきます。
腕の場合、肘の関節の上下10cmの場所の計測を行い、判断します。
この検査も、受検者の精神状態や主観によって左右されないため有効な他覚的所見となりますが、症状の度合いによって、筋の萎縮まで生じているかどうかは、受検者によって異なります。
診断書の自覚症状の項目が不十分だったり、自分の症状が正しく伝わっていないと感じた場合には医師に検査の実施について依頼をするのがよいでしょう。
書式は自賠責と労災で異なる
後遺障害診断書の書式は自賠責保険と労災保険で異なります。
しかし、労災保険の後遺障害診断書の方が自賠責保険のものより内容が簡素なものになっているので基本的に自賠責保険の項目で作成を意識していくのがよいでしょう。
後遺障害診断書の原本は保険会社から渡されることもありますが、所定の様式であれば被害者自身が印刷をしてをそれを使用することもできます。
医師が後遺障害診断書を書いてくれない…理由と対処法
後遺障害診断書の作成を医師に依頼すると稀に作成を断られる場合があります。
医師が診断書を書いてくれないのには理由があります。その3つの理由と対策について以下で詳しく確認していきましょう。
医師が診断書を作成してくれない理由と対処法
医師が後遺障害診断書を書いてくれない理由としては以下の3つがあげられます。
- 交通事故の面倒に巻き込まれたくない
- 後遺障害診断書は書かないという病院の方針
- 後遺障害診断書の書き方に詳しくない
後遺障害診断書の作成をしてもらうための対処法
担当医師に後遺障害診断書の作成を断られてしまった場合、まず同じ病院の別の先生に作成してもらえるかどうかを確認致しましょう。それでも難しい場合は、紹介状を作成してもらい転院し、転院先の先生に作成してもらう事も可能です。
後遺障害診断書を提出したけど認定が下りない!低い等級になったら?
後遺障害診断書を申請したが、認定がおりなかった場合・または想定していた等級よりも低い等級に認定された場合、納得がいかない場合は「異議申し立て(異議申立)」を裁判を起こさずに行う事が出来ます。
もう一度後遺障害診断書を作成し、申請する事が出来るのです。
【まとめ】適正な等級認定を受けるためには弁護士に依頼
後遺障害等級認定をしたい方に弁護士が出来ること
- 後遺障害診断書の作成に対するアドバイス
- 後遺障害診断書を作成を依頼する医師の紹介
- 後遺障害等級認定される傾向の共有
- 保険会社よりも後遺障害慰謝料・逸失利益を多く支払い
交通事故案件を普段から行っている弁護士は、後遺障害等級認定に対するノウハウが沢山あります。
1人で悩まず、専門知識がある弁護士に、後遺障害認定から示談交渉まで全て任せることをお勧めいたします。
早いうちから専門家の力を頼って、納得のいく結果を得ましょう。
弁護士というと敷居が高い印象があるかもしれないですが、無料相談も受け付けているのでいつでもご相談ください。
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