2019.9.27 更新
弁護士特約とは?交通事故の被害者が使わないと損する4つの理由

「どんなケースで弁護士特約が使えるの?」
「弁護士特約」とは、保険会社側が弁護士費用を一定額負担してくれるもので、交通事故にあってしまったときなどに実質無料で弁護士に示談交渉を依頼できるものです。
弁護士費用の負担が0で弁護士に依頼することができ、慰謝料増額の可能性も高くなるため、弁護士特約は使わないと損です。
この記事では、弁護士特約の補償内容や適用範囲といった弁護士特約の基本的な知識のほか、利用によるメリット・デメリット、弁護士特約の使い方についてわかりやすくご説明していきます。
- 弁護士特約で受けられる補償内容
- 弁護士特約が適用されるケース
- 弁護士特約を使うメリット・デメリット
- 弁護士特約を利用する流れと注意点
目次
交通事故の被害者が使える弁護士特約とは
弁護士特約とは
弁護士特約(弁護士費用特約)とは、自動車保険にプラスして加入できる特約のひとつです。
弁護士特約を使うと、交通事故の示談交渉の依頼でかかる弁護士費用を、自分が加入している自動車保険の会社が負担してくれます。
実は加入率の高い弁護士特約
以下の円グラフにあるように、2017 年時点で⾃動⾞保険に加⼊している⼈のうち、約7割の⼈が弁護⼠特約に加⼊しています。

参考資料:おとなの自動車保険HPより
このように、実は弁護士特約に加入している人は多いのです。
加入しているのにも関わらず、認識していない人も多いので、一度自分の保険内容を確認してみましょう。
【弁護士費用が300万円まで負担0】弁護士特約の補償内容
弁護士特約を使うと、弁護士への示談交渉依頼にかかる費用を限度額300万円まで補償してもらえます。
弁護士費用の相場は一般的に下記の通り計算されますが、たいていの交通事故では弁護士費用が300万円を超えることはありません。
そのため、被害者は自己負担0円で弁護士に依頼することができます。
弁護士費用の相場
(相談料無料・着手金無料の場合)
成功報酬金20万+示談金(最終的に手に入ったすべての損害賠償金額)の10%
例えば、500万円の賠償請求をする場合には、弁護士費用は20万円+50万円=70万円となります。
普通に依頼すると70万円の費用がかかるところ、弁護士特約を使用すれば費用が実質0で満額の500万円を受け取ることができます。
■弁護士費用の内訳
- 弁護士報酬(成功報酬)
- 司法書士報酬
- 行政書士報酬
- 訴訟費用
- 仲裁・和解もしくは調停に要した費用
- その他、権利の保全もしくは行使に必要な手続きをするために要した費用
弁護士特約の適用条件と補償対象になるケース|家族も使える?
弁護士特約が適用されるケース
弁護士特約は自動車保険の特約ですが、契約自動車に乗っているとき以外の事故でも使えます。
たとえば、バスやタクシー、友人の車などに乗っていた場合の事故でも使うことができますし、自転車や歩行中など自動車にのっていない場合の事故にも適用されます。
■弁護士特約の使えるケース
・契約自動車に乗っていた場合の事故
・契約自動車でない、バスやタクシー、友人の車などに乗っていた場合の事故
・自転車や歩行中など、自動車にのっていない場合の事故
弁護士特約が適用される人の範囲
■弁護士特約の補償対象
・保険契約者
・保険契約者の配偶者
・保険契約者と同居している家族
・保険契約者と別居している未婚の⼦ども
・契約⾃動⾞に同乗していた⼈
つまり、交通事故の被害者本人が弁護士特約に入っていなくても、同居している家族や別居している親が加入している弁護士特約が使えます。
また家族だけでなく、事故にあった契約自動車の同乗者であれば、友人や恋人でも弁護士特約が使えます。
弁護士特約が使えないのはどんなとき?使用を断られるケースとは
弁護⼠特約が使えないのは以下のようなケースです。
- 事故当時に弁護士特約に加入していなかった場合
- 無免許運転
- 酒気帯び運転
- その他故意またはきわめて重大な過失がある場合
- 自分自身が事故の加害者の場合
- 同居の親族や配偶者などへの損害賠償請求 等
- 地震や噴⽕、津波による事故
- 自動車事故とは関係ない日常事故
このような場合は弁護士特約が適用されないので、注意が必要です。
基本的に弁護士特約が使えないのは事故被害者⾃⾝にも重⼤な過失がある場合です。
被害者に過失がある場合弁護士特約は使える?
「自分:加害者の過失割合が0:10でなければ弁護士特約を利用できない」というわけでありません。
自分:加害者=2:8などの場合は被害者に過失が認められても、弁護士特約を利用することは可能です。
ただし、被害者の過失が100%の場合は弁護士特約を利用できません。
弁護士特約のデメリット|保険料や保険等級への影響はある?
弁護士特約を利用することの懸念点として、この2点があげられます。
- 翌年の保険料が上がるのではないか
- 保険の等級が下がるのではないか
これは、自動車保険が「保険を利用すると等級が下がり、等級が下がると保険料が上がる」という仕組みだからです。
しかし、弁護士特約の利用自体で翌年の保険料が上がることはありませんし、保険の等級が下がる事もありません。
事故にあって保険を使うことで保険等級は下がるかもしれませんが、弁護士特約の利用と保険等級はまったく関係がないのです。
弁護士特約のメリット|使わないと絶対損する理由とは?
弁護士特約を利用すると、以下の弁護士に依頼する3つのメリットが実質無料で受けられます。
■弁護士に依頼するメリット
- 慰謝料を大幅に増額できる
- ケースに応じた解決で今後の不安を解消できる
- 面倒な手続きや示談交渉をすべて任せられる
1.慰謝料が大幅増額
弁護士特約を利用すると、保険会社から提示される慰謝料額より大幅に増額することができます。
その理由は、弁護士に依頼することで、保険会社が慰謝料を計算する「任意保険基準」よりも高額な「弁護士基準」(裁判基準)が適用され、結果的に慰謝料を多くもらえるからです。

弁護士特約では、本来弁護士に払わなければいけない「弁護士費用」を、加入している保険会社が負担してくれます。
そのため、実質無料で弁護士に依頼でき、結果的により大きい慰謝料金額を受け取ることができるのです。
2.ケースに応じた解決で今後の不安を解消できる
初めて事故にあった場合、「今後の示談の流れはどうなるのか」「そもそも何をどうすればいいかわからない」といった不安や心配があると思います。
弁護士特約を使うことで、弁護士が一人ひとりのケースに合った最も良い方法で解決してくれます。
3.面倒な手続きや示談交渉を任せられる
交通事故の示談交渉は時間もかかり、相手方の保険会社と何度もやりとりをしなければならないので、治療にも専念できず、精神的なストレスが多くかかります。
弁護士特約を利用すると、面倒な手続きを弁護士に任せることができるため、スムーズに示談交渉を終えられます。
また、後遺障害の等級認定や過失割合の交渉など、専門的知識がないと難しい内容も安心して任せることができます。

迷わず弁護士特約を使うべきケースとは
小さな事故や示談金が少ししかもらえないようなケースでは、弁護士に依頼すると費用倒れになってしまうためおすすめではありません。
しかし、弁護士特約を使うことができれば、費用倒れにならずに事故後の対応をすべて弁護士に任せることができ、納得のいく示談交渉のサポートをしてもらえます。
弁護士特約が多く使われているケース | |
---|---|
●小さな事故 | 費用倒れにならず過失割合を減らしたり、示談金増額ができる |
●被害者の過失がゼロ | 自分で示談交渉をしなくてよくなる |
●相手が無保険 | 相手が応じず泣き寝入りするしかできない状況にも対応してもらえる |
●加害者とトラブルがおきてる | 弁護士が間に入ることで状況を改善してもらえる |
弁護士特約の使い方|利用の流れと注意点を解説
■弁護士特約を使うときの流れ
- 加入保険に弁護士特約が付いているか確認する
- 交通事故案件に強い弁護士を探す
- 保険会社に弁護士特約利用の同意を得る
- 弁護士特約を使うことを弁護士に伝えて依頼する
1.加入保険に弁護士特約が付いているか確認する
まずは、ご自身の加入している自動車保険に弁護士特約が付いているかどうかを確認しましょう。
保険に加入したときに弁護士特約を付けていても、付けたことを認識していないケースが非常に多いのです。
■弁護士特約の有無を知る方法
- 加入している自動車保険の保険証書にある契約事項を確認する
- 保険会社に直接問い合わせる
2.交通事故案件に強い弁護士を探す
弁護士特約がついていることを確認出来たら、弁護士を探すことをおすすめします。
弁護士にはさまざまな専門がありますので、インターネットで探す場合でも「交通事故専門」または「交通事故を得意としている」弁護士事務所を選ぶ必要性があります。

交通事故に力を入れている事務所は、弁護士特約についても詳しく説明してくれるところが多いです。
■おすすめの弁護士事務所の特徴
- 無料相談を受け付けている
- 丁寧に対応してくれる中小の弁護士事務所
- 交通事故に強い弁護士事務所
詳しくは交通事故で評判の良い弁護士事務所とは?被害者必見の弁護士の選び方も併せてご覧ください。
有名な大手の事務所ではありませんが、交通事故専門の弁護士が親身になってきめ細やかな対応を行います。
3.保険会社に弁護士特約利用の同意を得る
依頼する弁護士が決まったら、保険会社へ連絡をし、同意(承認)を得るようにしましょう。同意がないまま話を進めると、特約を受けられない可能性もあります。
保険会社の約款(契約における条項)を読めばわかるようになっていますが、特約が使えるケースなのかがわかりにくいことも多いです。
そのため、そもそも弁護⼠特約を使えるケースなのかを、保険会社に連絡する前に弁護⼠に相談してみることも有効です。
そのため、依頼する弁護士の見当を付けたタイミングの連絡がベストでしょう。
4.弁護士特約を使うことを弁護士に伝えて依頼する
保険会社の同意を得られたら、示談を依頼する弁護士に弁護士特約を使う旨を伝えましょう。
現在、ほとんどの弁護士事務所が、弁護士特約の利用に対応しています。
自分が加入している自動車保険の名称や担当者の名前等を伝えると、あとは弁護士が代わりに保険会社との交渉や、弁護士費用の請求・支払いをしてくれます。
実は低い弁護士特約の利用率
少し前になりますが、2012年に産経新聞が発表した「弁護士費用特約の付帯状況と利用率のデータ」によると、弁護⼠費⽤特約の契約件数(1430 万件)のうち、 実際の利⽤件数は 8,200 件(およそ 0.05%)だと分かりました。
加⼊件数に対して、利⽤している人の割合はほんのわずかです。それはなぜなのか、主に考えられるのは以下の要因です。
- 弁護士特約に加入していることを認識していない
- どうやって利用すればいいのかよくわからない
- 利用する前に当事者間で示談が成立してしまった
弁護士特約に加入している事を認識していなかったり、加入しているのに使い方がわからないというのは非常にもったいないことです。
ご自身やご家族の加入している自動車保険に弁護士費用特約がついていないか、一度確認をしてみましょう。
【体験談】過失割合の大幅修正に成功!弁護士特約を使ってみた
弁護士特約を使って、過失割合が5:5から9:1に

- 事故形態:車対車
- 症状:むちうち・左足首捻挫・右手首打撲
- 示談金:48万円
- 示談成立までの期間:6ヶ月
—弁護士特約を利用しようと思ったのはなぜですか?
車対車の接触事故にあい、幸い大きなケガではなかったもののなるべくスムーズに示談を終えたかったため、弁護士に依頼することに決めました。
事故の直後に保険会社に連絡をし、弁護士特約を付けていることを確認していたため、すぐに利用の旨を連絡しました。
—弁護士特約を使う上で、デメリットや大変だったことはありますか?
保険会社の担当者が「ケガの程度も軽度で、双方に非がある現状を踏まえると、弁護士を雇っても結果は覆らない」「特約は使えない」の一点張りでした。
頭にきたので「弁護士を利用するかしないかは、顧客である私が判断するものでは?」と問い詰めると、担当の上司の方から謝罪を受ける形になりました。
—実際に弁護士特約を使ってみていかがでしたか?
結果的に信頼できる弁護士の方に依頼することができ、「加害者:被害者=5:5」だった過失割合が「9:1」まで覆りました。
あのまま保険会社の言いなりになってしまっていたら、過失が多いまま慰謝料も少なく、自力での示談にも難航して精神的につらかったと思います。
弁護士特約を付けていたことで無償で弁護士の方のサポートを受けられ、納得のいく示談ができてよかったです。
保険会社に連絡する際の注意点
これまでの事例として、弁護士特約を使う旨を保険会社に伝えると、以下のように言われたケースがあるそうです。
「弁護士特約を使うと、弁護士を立てて裁判をしなければならない」
「弁護士を利用するなら、保険会社の顧問弁護士を使わなければならない」
実際は弁護士に依頼=裁判でもなく、顧問弁護士に依頼しなくてはならないというルールもありません。
また、顧問弁護士はたくさんの案件を抱えているために対応が遅く、また保険会社と契約している弁護士なので、慰謝料増額に対しては積極的ではない、ということも多いようです。
言われるがまま顧問弁護士に頼むのではなく、自分で選んだ弁護士に依頼するようにしましょう。
大切なのは保険会社の言いなりにならず、自分の意思を伝え続けることです。
【まとめ】弁護士特約は絶対に利用しないと損!
弁護士特約を利用するメリット
- 慰謝料を大幅に増額できる
- ケースに応じた解決で今後の不安を解消できる
- 面倒な手続きや示談交渉を任せられる
- 上記メリットが実質無料で受けられる
弁護士特約の使い方
- 加入保険に弁護士特約が付いているか確認する
- 交通事故案件に強い弁護士を探す
- 保険会社に弁護士特約利用の同意を得る
- 弁護士特約を使うことを弁護士に伝えて依頼する
まずはご自身の弁護士特約が付いているか確認したうえで、弁護士に相談してみましょう。
- 弁護士特約を利用すると弁護士費用が実質無料
- 弁護士費用がかからず弁護士に依頼できるのでメリット大
- 弁護士特約は被保険者の家族でも使える
- 弁護士特約は車に乗ってなくても使える
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弁護士法人ステラ
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