2018.6.20 更新

後遺障害認定で非該当の理由は?認定と慰謝料増額のためにすべきこと

「後遺症が残っているのになんで非該当なの?」
「慰謝料の請求は諦めるしかないの?」

後遺障害の等級認定で非該当になってしまった方でも、再申請をして認定を受けることは可能です。

しかし、後遺症が残ったのに非該当になるのには理由があり、それを知らずに再申請をしても認定結果を変えることは難しいです。

正しい認定を受けて今の慰謝料を増額するためには、弁護士に依頼をすることが一番の解決策です。

この記事では、等級認定で非該当になってしまった理由と再申請で認定を受けるためにするべきことについて紹介しています。

「後遺障害の定義」と「等級認定を受けるための後遺障害の書き方」はこちら

交通事故の後遺障害認定で非該当になる3つの理由

交通事故にあって後遺症が残ったのに等級認定を受けられませんでした。なんか理由があるんですか?
後遺障害の等級認定で非該当になってしまうのには理由があります。また、非該当となってしまった場合でも認定を取るための対策があるので確認していきましょう。

交通事故で頸椎捻挫等のいわゆるむちうちの傷害を負い、時間が経ってもなかなか痛みが取れないということは珍しくありません。

痛み自体が残っていても怪我をしてからから3ヶ月から6ヶ月程度が経過した時点で症状固定の診断を受けるのが一般です。

その場合にはまだ痛みが残っている状態で後遺障害の等級認定を受けることになります。

しかし、この等級認定の段階で、最下級の等級である後遺障害14級の認定を受けることができず非該当となるケースがしばしば見られます。

被害者本人からすると、まだ痛みが残っているにもかかわらず非該当となるのは納得できないのは当然ですが、実際には大変よく見られるケースです。

非該当になってしまう主な理由は以下の3つです。

【後遺障害認定で非該当になる理由】
  • 症状に他覚的所見がない
  • 通院回数が少ない
  • 自覚症状が詳しく証明できていない

詳しくは次に説明しますが、他覚的所見がないとは、レントゲンによる画像診断など本人以外の人が認識できる形で症状を確認できない場合のことを指します。

次に、通院回数が少ないことも非該当になる一因になります。通院の回数が少ないということで、症状も重くないと評価されてしまうことがあり得るということです。

さらに、被害者本人の自覚症状が診断書などに適切に反映されていない場合も非該当とされる一因となります。

本人がどのような痛みを感じているかは診断書などの記載でしか判断できないため、適切な記載がされていなければ痛みの残存が認められないのは当然です。

次に、非該当になる理由を踏まえた異議申し立てをする際の対策についてそれぞれ詳しく確認していきましょう。

非該当の理由1:症状に他覚的所見がない

他覚的所見がない場合の対処法にはどんなものがあるんですか?
むちうちなどの傷害を受けた部位を外から見ても症状を確認することができないタイプの傷病では、さまざまな追加の検査を行うことによって症状の有無や程度を客観的に確認することになります。

他覚的所見がない障害に対してよく行われる検査には以下のものがあります。

【他覚的所見がない症状の検査法】
  • レントゲン・CT・MRIなどの画像による診断
  • 腱反射
  • 握力テスト
  • スパーリングテスト
  • ジャクソンテスト

本人が痛みなどの症状を訴えていても、これらの検査で異常が見られない場合「他覚的所見がない」という言い方をすることがあります。

被害者本人が感じている痛み、しびれや違和感は医師が感知できるものではないので、説明をするだけでは症状が存在するか証明することはできません。

他覚的所見がないことで後遺障害が認められないわけではありませんが、この場合非該当とされる可能性が高いのでしっかり検査を受けることが大切です。

他覚的所見がない症状の検査方法について詳しくはこちら

次に、通院回数に関する注意点について見ていきましょう。

非該当の理由2:通院回数が少ない

通院の回数が後遺障害の有無や程度に直接つながるわけではありませんが、通院の回数や頻度が少ないとそれだけ症状も重くない、という判断をされ非該当になってしまうケースがあります。

適切な示談金を受けることを考えれば、仕事が忙しかったり面倒に感じたりしても、定期的に通院をして着実な治療を受けることが重要です。

交通事故にあって怪我をしたものの、忙しくて病院に通う時間が取れず、通院の回数が少ない状態で等級認定を受けるケースがあります。

また、我慢できないほどの痛みではない、わざわざ通院して薬をもらってもさほど効かないなどの理由で通院が少なくなってしまうケースもあります。

真面目な人ほど、痛みなどを我慢した結果このようなことになってしまう傾向にあるようです。

非該当の理由3:自覚症状を正しく証明できていない

自覚症状を医師に証明するポイント

後遺障害の等級認定をスムーズに行うためには、医師への自覚症状の説明をきちんとすることが重要です。

その際に大切な3つのポイントは以下の通りです。

【医師へ症状を説明するポイント】
  • 説明はできるだけ具体的にする
  • 症状に変化があれば積極的に伝える
  • 症状に関するメモを取っておく

医師に自覚症状を証明する際の3つのポイントに対して例とともに見ていきましょう。

(1)説明はできるだけ具体的にする

痛みに悩まされているときに「毎日痛いです」と説明することは簡単ですし、医師と症状の話をするときにもその程度の伝え方をしていることが多いと思います。

しかし、ここはもう一歩踏み込んで具体的に説明をするように心がけましょう。

症状の説明の例
身体のどこが 背中が
どのようなときに 起床後・特に雨の日にひどい・仕事を終えて帰宅したときには必ず
どのような頻度で 3日に2日程度の割合で
どの程度継続して 痛み出すと1時間くらい

上記の例のように、痛む場面を思い起こして具体的な説明をするようにしましょう

医師によっては場面を分けて具体的に聞いてくれる人もいるかもしれませんが、多くの医師は時間に追われて診療に当たっていることが多いです。

そのため、こちらから気を付けないと抽象的に「痛い」というだけで終わってしまうことが多いのでこちらから積極的に伝えるようにすべきです。

(2)症状の変化を積極的に伝える

日によって症状が変化することはありますが、ある程度通院が続くと治療に慣れてしまい毎回同じような症状を同じように伝えてしまうことが多いです。

そのような受診の結果作成される診断書は毎回同じような内容のものになり、具体性に欠けるものになってしまいます。

日々の症状の変化は患者本人にしかわからないので、意識して医師に伝えるようにしましょう。

(3)症状に関するメモを取っておく

毎日通院しているわけではない場合には、通院と通院との間に起きたことを医師に伝えることを忘れてしまうこともあるでしょう。

大げさなものを作る必要はありませんが、メモ帳(スマートフォンのメモ機能など)を作って症状について気づいたことがあった時に記載しておくと役に立ちます

次に、後遺障害認定で非該当になる理由について少数派なケースについても確認しておきましょう。

後遺障害の等級認定で非該当になるその他の理由

交通事故で後遺障害が残ってしまったのに非該当になる理由には、事故の規模や自覚症状の程度が影響するケースもあります

非該当になるその他の理由については以下の2つがあげられます。

【認定で非該当になるその他の理由】
  • 事故の規模や衝撃が小さい場合
  • 自覚症状が軽度である場合

上記の2つの要因がどのように認定に関わってくるのかについて詳しく見ていきましょう。

事故の規模や衝撃が小さい場合

事故の規模まで等級認定に関わってくるんですか?
等級認定の場面では認定にあたって、さまざまな要素が考慮の対象となります。事故後の経過、残存している症状など以外にも、事故の規模や衝撃の程度なども認定にあたっての考慮要素の一つになります

例えば、他覚的所見のない症状が多く非該当になってしまうことの多いむちうちは、事故の規模としては比較的小さく、衝撃も少ないことが多いとされています。

事故の規模が大きい、事故時に受けた衝撃が大きいなどの事故状況は当然その後の症状にも大きな影響を与えることになります。

よって事故の規模が大きいほど残存する症状も重いことが認められ、等級認定を肯定する方向に作用する要素となることになります。

逆に、事故の規模や衝撃が小さい場合は、それによって残存する症状の軽いものと判断されやすくなるので、非該当になる要素となり得ます。

事故の規模によって認定に与える影響
事故の規模が大きい場合 残存する症状も重いと判断される
事故の規模が小さい場合 残存する症状は軽いものと判断される

しかし、むちうちの場合には程度の軽い事故であっても症状が長く残ることがあるので、事故の規模や衝撃などは認定において絶対的な要素ではありません。

自覚症状が軽度である場合

むちうちなどでは他覚的所見がないことが多く症状を確認すること自体が難しいですが、その場合には本人の痛みなどに関する自覚症状がどの程度かが等級認定において重要な要素になります。

他覚的所見が見られる場合は別として、それが見られない場合には自覚症状が軽いものであると等級認定においてそれが不利に働くことは事実です。

他覚的所見がなければ、自覚症状に基づいて症状の有無や程度を確認することになります。

そのため、自覚症状自体が軽いと症状は軽いものと見られてしまい、残存した後遺障害の有無や程度もそれに応じた低い程度のものとされることが多いです。

ただ、むちうちなどの症状は、強い痛みやしびれ、違和感などが長く続くものもあります。

被害者からすれば、これが毎日のように続くことは大変負担になるものであることは間違いありません。

自覚症状が軽いものであっても痛みが長く続いている場合は、受診の度に医師にきちんと説明し診断書にこれらの記載がされるように注意する必要があります。

次に、非該当になってしまった場合の異議申し立てについて異議申し立てがどんなものかについてから詳しく見ていきましょう。

慰謝料の増額|後遺障害認定に対する異議申し立てとは

後遺障害認定の申請をして認定結果に不満がある場合は、異議申し立てをすることができます。交通事故で後遺障害が残ってしまった方は、しっかりと適切な等級の認定を受けて慰謝料を増額するべきです。

 
上記の通り、異議申し立ては認定結果に対して異議がある場合に再申請をすることを言います。

異議申し立てには決まった時効や認定申請期間はなく、これといった費用もかかりません。

しかし、等級認定の認定基準は変わらないため異議申し立てをする場合には前回の申請よりもしっかりと症状を証明するための対策を行わなければなりません

異議申し立てを成功させて慰謝料を増額するために、異議申し立ての1番のポイントとなる後遺障害診断書の書き方について以下で詳しく見ていきましょう。

等級認定を受けるための後遺障害診断書の書き方

後遺障害診断書のひな形と記入例
後遺障害認定においては、医師の作成した診断書はもっとも重要な資料となります。したがって、その内容が適切なものかは認定に大きな影響を与えることになります。

後遺障害認定を行う際には、定型の書式の後遺障害診断書に主治医が記載を行います。

診断書の作成に慣れている医師であれば認定のための内容の記載をしてもらうことができますが、全ての医師が診断書の作成に慣れているわけではありません。

場合によっては症状が残存していないかのような内容の診断書が作成されてしまう例も見られます。そのような診断書では非該当になる可能性が高くなります。

とはいえ、診断書は医学的見地から専門家である医師が作成するものですので、患者側がその記載内容を逐一指示できるものでもありません。

そこで、診断書を作成してもらう際に被害者本人が注意すべき点と幾つか挙げておきます。

【診断書の作成で注意すべき点】
  • 自覚症状を詳細・明確に伝えること
  • 具体的な記載がされているかを確認すること
  • 記載漏れがないかを確認すること
  • 弁護士にあらかじめ相談して記載内容について医師と面談してもらうこと

これらの点に問題のある診断書は非該当になりやすい診断書ということになってしまいます。以下で1つずつ詳しく確認していきましょう。

(1)自覚症状を詳細・明確に伝えること

自覚症状はあくまで本人が感じていることなので、本人からの申告がなければ医師が正確に記載することはできません。

特に他覚的所見のないケースでは自覚症状は重要な要素になるので、診断書作成の際には医師にあらためて症状を詳細かつ明確に伝えるようにしましょう。

(2)具体的な記載がされているかを確認すること

診断書によっては、定型の書式の記載事項を埋めているだけの形式的な記載しかなされていないものが見受けられます。

診断書の内容が具体的であればあるほど認定を受けやすくなるので、あまりに簡潔・形式的な記載しかされていない場合には補足を求めることも考えましょう。

(3)記載漏れがないかを確認すること

定型の診断書の項目に記載漏れがある診断書もあります。当然認定に支障が生じるので、補充してもらう必要があります

(4)弁護士にあらかじめ相談して記載内容について医師と面談してもらうこと

医師が後遺障害診断書の作成経験がない場合や、診断書の作成を渋る場合などには対策をすることが必要になります。

このような場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談して医師と面談してもらった上で診断書を作成してもらうことが役に立ちます

弁護士から医師に認定に役立つ記載内容を間接的に示唆してもらうことができますので、認定に有利な診断書にしてもらえる可能性が大きいです。

次に、異議申し立てで正しい等級の認定を受けるための方法について確認しましょう。

異議申し立てでスムーズに認定を受けるなら弁護士に依頼

天音法律事務所で依頼し慰謝料を請求しましょう

異議申し立てでしっかりと認定を受けるための一番の方法は弁護士に依頼をすることであると言えます。認定について弁護士に依頼をするべき理由については以下で詳しく解説していきます。

交通事故で弁護士に依頼するのは加害者側との損害賠償の交渉がうまく行かなくなった時点でよいと考えている人も多くいらっしゃいます。

しかし、後遺障害等級認定の結果は損害賠償額に大きな影響を及ぼすので、等級認定の段階から弁護士に依頼することにはたくさんのメリットがあります

弁護士からのアドバイスが役立つ場面としては次のようなものがあります。

【弁護士に依頼をするメリット】
  • 通院中のアドバイスをくれる
  • 症状固定時の判断をしてくれる
  • 後遺障害診断書の作成をサポートしてくれる
  • 弁護士基準で慰謝料の計算を行ってくれる
交通事故で過失割合について疑問があるかたは弁護士法人天音法律事務所に無料相談

(1)通院中のアドバイスをくれる

通院中に医師に自分の症状をどのように伝えるべきかについて、症状に応じたアドバイスを受けながら通院をすれば、カルテに記載される内容をある程度コントロールすることができます

カルテの記載は後から追記・訂正してもらうことは困難ですから、通院中から適切な内容になるように注意してそこから認定の手続きを受けるのがよいでしょう。

(2)症状固定時の判断をしてくれる

通院を漫然と続けていると、あっという間に日が経って行きます。

通院から3~6ヶ月程度で保険会社から治療の打ち切りを迫られることが多く、その時期を目安に認定の手続きに進むかを判断することになります。

医師側から症状固定の診断をすることを積極的に勧められることは多くはありませんし、症状固定後に治療が不要になるわけではありません。

症状固定はあくまで法律的な概念ですので、その時期をいつにするかは法律の専門家である弁護士とも相談して行うべきです。

(3)後遺障害診断書の作成をサポートしてくれる

医師に後遺障害診断書の作成をしてもらう際に、診断書の内容について弁護士のアドバイスを受けると、認定が受けやすい診断書を作成しやすくなります

後遺障害診断書の内容は等級認定の成否を左右する重要なものですので、いったん弁護士の目を通した診断書を利用することは大変役に立ちます。

(4)弁護士基準で慰謝料の計算を行ってくれる

後遺障害慰謝料ではなく入通院慰謝料という項目の慰謝料を弁護士基準で計算してもらうことで、認定で非該当になってしまった場合でも慰謝料を増額することができます

交通事故の慰謝料の計算に用いる3つの計算基準

慰謝料の計算には自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士(裁判)基準の3つの基準があり、どの基準で計算をするかによって慰謝料の金額が大きく変わります。

異議申し立てをせずに慰謝料を増額するためには、示談交渉が成立する前に弁護士に依頼して慰謝料を弁護士基準で計算してもらうのがよいでしょう。

【まとめ】非該当で慰謝料増額のためにすべきこと

交通事故の被害にあったことは残念なことですが、被害を受けてしまった以上は適切な賠償を受けて被害を補てんすることが大事です。

そのために、事故後から被害者側も後の賠償請求に向けた行動をする必要があります。

【慰謝料を増額するためにすべきこと】
  • 医師に示談交渉の流れを伝える
  • 事故に起因する出費の書類を保管しておく
  • 依頼に関係なくまずは弁護士に相談してみる

医師と話をする際には、いずれは事故の賠償交渉の段階に進むことをそれとなく意識させる必要があります。

医師の中には賠償のことは自分は関係がないと考える人が多いようですが、現実には医師の治療経過・内容が賠償問題の解決に大きな影響を与えます。

そのため、賠償段階での協力をスムーズに得られるよう良好な関係を築いておく必要があります。

さらに、当然のことですが事故に起因する出費(ほとんどは治療費関係でしょうが)の証拠となる書類(領収書など)は保管しておく必要があります。

最後に、依頼するかどうかにかかわらず、事故に遭った場合にはなるべく早い段階で一度弁護士に相談しておきましょう

必ず役に立つアドバイスを受けることができるはずです。

また、弁護士に依頼する場合に備えて、自分や家族の加入する自動車保険などの損害保険に弁護士特約が付いていないかを確認しておきましょう。

自分名義の保険ではなくても同居の家族の保険でカバーできることもあります。

  • 後遺障害で非該当になった場合は異議申し立てをするべき
  • 異議申し立てをする場合は非該当の理由を確認する
  • 適切な認定と慰謝料増額のためには弁護士に依頼
この記事のまとめ

天音法律事務所なら弁護士に依頼する際に弁護士特約を使えます

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