2020.1.21 更新

【保存版】交通事故の慰謝料相場はいくら?必ずわかる計算方法まとめ

交通事故の慰謝料相場マニュアル
「交通事故にあったとき慰謝料の相場は?」
「保険会社から提示された慰謝料額が妥当なのかわからない…」

 

交通事故の被害者が受け取る慰謝料の金額は、けがの程度や内容、入院・通院に要した日数によって異なります。

このため標準的な金額という意味での「相場」はありませんが、ケースごとに妥当な金額を計算する「基準」はあるので、基準を知っておくことで適切な金額を請求できます

この記事では交通事故の被害者に向けて、慰謝料の基準や計算方法をはじめ、慰謝料以外に請求できる費用、弁護士などへの相談方法などを実例とあわせて解説していきます。

  • 交通事故の被害者が受け取れる慰謝料の金額がわかる
  • 慰謝料以外に請求できる費用がわかる
  • 保険会社から提示されている慰謝料が妥当か確かめられる
  • 弁護士を利用して適切な慰謝料を請求する方法がわかる
この記事でわかること

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この記事の監修者

元弁護士

福谷陽子

弁護士の福谷陽子先生

目次

交通事故の慰謝料は3種類|入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料

そもそも、慰謝料とはどういう意味で支払われるもの?示談金とはどう違うの?
慰謝料とは、交通事故の被害者が受けた精神的な苦痛に対して支払われるお金のことで、「損害賠償金」つまり示談金に含まれています。

交通事故の被害者によくある思い違いが「請求できるのは慰謝料だけ」というもの。被害者が請求できる示談金には、財産的な損害に対するものと、精神的な苦痛に対するものがあります。ここでは、まず精神的な苦痛に対する慰謝料について、詳しく説明していきます。

はじめに、押さえておきたいのが、交通事故の慰謝料には3種類あることです。

交通事故の3つの慰謝料
入通院慰謝料 怪我の治療での入院や通院に対して支払われる
後遺障害慰謝料 完治せず後遺症が残った場合に支払われる
死亡慰謝料 死亡事故の場合、亡くなった本人と遺族に対して支払われる

入通院慰謝料とは

入通院慰謝料とは、交通事故でけがをして入院や通院をした際に支払われる慰謝料のことです。けがの程度にかかわらず、入院や通院した期間や日数をもとに計算され、入通院が長引くほど慰謝料の金額は高くなります。

後遺障害慰謝料とは

後遺障害慰謝料とは、交通事故で負ったけがが完治せず、後遺症として残った際に支払われる慰謝料のことです。
後遺症が残った場合、後遺障害申請を行うことで認定される14級から1級までの等級に応じて後遺障害慰謝料の金額は変わります。

死亡慰謝料とは

死亡慰謝料とは、死亡交通事故の場合に亡くなった本人と、その遺族に対して支払われる慰謝料のことです。
この死亡慰謝料の金額は、亡くなった本人の年齢や立場、職業などによって大きく変わります。

交通事故における慰謝料の相場と計算方法

交通事故の慰謝料計算

ここからは、慰謝料の計算方法について説明します。

あまり知られていませんが、交通事故慰謝料を算出する基準は1つではありません異なる3つの基準があり、どの基準を用いるかで金額も大きく変わります。また、基準が3つ存在していることが示談交渉でトラブルを招く要因となっています。

どの基準を用いるかは、交通事故の加害者が加入している保険の種類や、過去の判例を参考にするかどうかで決まります。まずは、3つの基準の違いから説明しましょう。

交通事故の慰謝料を計算するための3つの基準
自賠責保険基準 法令で定められた最低限の補償
任意保険基準 自動車保険会社ごとに決まっている
弁護士基準 判例に基づいており、弁護士が用いる

自賠責保険基準とは|最も低い慰謝料基準

自賠責保険基準とは、法令で定められた最低限の補償をするための基準で、3つの基準の中では最も低い金額の計算式となります。

車を運転する人なら必ず加入が求められる「自賠責保険」により定められていて、加害者が任意保険(自動車保険)に加入していない場合には、この基準が用いられます。

以下が自賠責基準の範囲で補償される最大限の金額です。

自賠責保険基準の補償金額
けがをした場合 治療費などの費用に対する補償金の限度額は1人あたり最大120万円
後遺症が残った場合 後遺障害に対する補償金の限度額は最大4,000万円
死亡した場合 1人あたりの補償金の限度額は最大3,000万円

自賠責保険基準での慰謝料の計算方法

ここでは、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つの慰謝料のうち、ケガをした場合の入通院慰謝料の計算方法について説明します。

自賠責保険基準での入通院慰謝料は、日額4,200円を上限として「1日いくら」で決められています。

・初診から治療終了までの期間
・実際の通院日数の2倍

上記いずれかの「少ない方」に日額の4,200円をかけて算出します。

例:交通事故でむちうちに。初診から治療終了まで約120日間。実際に病院に通った日数は75日。

この場合、「120<150(75×2)」となるので、120×4,200=50万4,000円が自賠責基準での入通院慰謝料です。

任意保険基準とは|自動車保険会社ごとに設定

任意保険基準は、加害者が任意の自動車保険に加入している場合に適用されます。保険会社から提示される慰謝料は、この任意保険基準で計算されたものです。

任意保険基準は、自賠責保険基準ではカバーしきれない部分を補うためのもので、支払われる慰謝料の金額は保険会社や保険商品ごとに設定されています。

任意保険基準での慰謝料の計算方法

任意保険基準は、自動車保険ごとによって定められていて、その計算式は公開されていません。かつては全社共通の計算基準があり、現在もその基準をもとに設定されているケースが多いです。

以下の表で、任意保険基準の入通院慰謝料のおおよその相場がわかります。

※横軸が入院、縦軸が通院した期間(月数)を表しており、両者をかけあわせた数字が一覧になっています。

任意保険基準の入通院慰謝料 相場表(単位:万円)

任意保険基準による入通院慰謝料表(単位:万円)

この基準をもとに、「入院なし、通院3ヶ月」の場合の慰謝料を計算し、自賠責保険基準での金額と比較してみましょう。

任意保険基準での慰謝料は、横軸が「0」、縦軸が「3」で「37.8」、つまり37万8,000円になります。自賠責保険基準は、前述のように治療期間と通院日数(×2)を比較して計算するので、「入院なし、通院3ヶ月」を「治療期間は80日、実際の通院日数の合計は50日」として計算します。
「80<100(50×2)」となるので、小さい方の数字をもとに「80×日額4,200=33万6,000円」となります。

このように、任意保険基準で提示される慰謝料は、実は最低限の補償である自賠責基準とあまり変わりません

弁護士基準とは|自賠責基準の約2倍で最も高い慰謝料基準

慰謝料の算定に、自賠責保険基準と任意保険基準のどちらを用いるかは、加害者の加入している保険によって決まります。とはいえ、その金額に大きな違いはありません。

保険会社から提示される金額に納得がいかない場合、被害者は弁護士に相談して、弁護士基準によって算定された金額をもとに交渉できます。
弁護士基準は、過去の裁判での判例をもとにしたもので、「裁判基準」とも呼ばれます。他の基準に比べて高額になるケースが多く、最も低い基準の自賠責基準と比較すると、約2倍程の差が出る場合もあります。

弁護士(裁判)基準での慰謝料の計算方法

弁護士基準による慰謝料の相場を、交通事故のケガで最も多い「むちうち」と「その他の症状」で一覧表をわけて紹介します。

むちうちの慰謝料相場(単位:万円)

弁護士基準のでの慰謝料相場一覧表、むちうちの症状の場合

その他の怪我の場合の慰謝料相場(単位:万円)

弁護士基準のでの慰謝料相場一覧表、むちうち以外の症状の場合

「入院なし通院3ヶ月」の場合を例に、弁護士基準と任意保険基準とを比較してみましょう。

弁護士基準では、むちうちの場合で「53万円」、その他のケガの場合で「73万円」となり、任意保険基準の「37万8,000円」と比較して、かなりの高額となります。

同じようなケガでも、これだけ受け取れる金額が変わりますので、3つの基準の違いを知っておくことが、いかに重要かが分かります。

交通事故の弁護士基準の慰謝料についてのまとめ

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【体験談】むちうちの場合慰謝料はいくらもらえる?

女性アイコン
通院7ヶ月で入通院慰謝料140万円(弁護士基準適用)
主婦(30代)/ 女性
  • 事故形態:車対自転車
  • 症状:むちうち
  • むちうちがなかなか治らず治療が長くなってしまった
  • 弁護士に示談を依頼し、弁護士基準での慰謝料を獲得

弁護士基準で受け取った

交通事故の怪我がなかなか完治せず、治療費が打ち切られたり、後遺症が出てくる不安もあり、念のために弁護士に今後について相談することに。

弁護士から適切なアドバイスを受け、弁護士基準での入通院慰謝料140万円を請求できました。

むちうちで7ヶ月通院した場合の入通院慰謝料の相場
自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準
58万8,000円 70万6,000円 97万円

このように、弁護士に依頼すると、弁護士基準によってケースに応じた最大額が計算されるので、相場よりも高い金額を受け取れる可能性があります

ただし、むちうちで通院する場合には、注意すべき点があります。

むちうちで通院が不定期な場合、計算方法が変わってくる

通院が長引いた場合でも、全く通院しない月もあるなど、月によって通院の頻度が異なる場合は、毎月、定期的に通院している場合よりも、慰謝料の金額が少なくなってしまいます。これは弁護士基準でも適用されてしまいますので、注意が必要です。

通院が不定期だと実際に通院した日数を3倍した数を通院期間とすることになっています。実際にどれくらい慰謝料に差が出てしまうのか、比較してみましょう。

通院頻度による慰謝料額の差
通院期間 7ヶ月 7ヶ月
通院頻度 週に数回、定期的に通院 不定期
通院日数 50~60日 35日
計算対象期間 7ヶ月 35日×3=105日=4ヶ月
慰謝料(弁護士基準) 97万円 67万円

このように、通院が不定期だと症状が軽いと見なされてしまい、しっかり通院すれば受け取れるはずの金額と比べて30万円も少なくなってしまうので、むちうちの場合の慰謝料は通常の症状よりも注意が必要です。

交通事故の損害賠償金(示談金)|慰謝料以外に請求できる項目一覧

交通事故でけがをした場合、慰謝料以外にも請求できる項目をご存知ですか?

交通事故の被害者が請求できる示談金(損害賠償金)には、精神的な苦痛に対する「慰謝料」だけでなく、財産的な損害に対する賠償も含まれます。具体的には、どんなものが含まれているか、一覧にまとめてみました。

損害賠償金の内約(一部)
慰謝料 精神的な苦痛に対し支払われる金額
治療費
入院費
治療にかかる費用。入院雑費なども含まれる
通院交通費 タクシーも含め通院にかかった交通費
通信費 交通事故によりかかった通話代など
修理費 車両の修理にかかった費用
(レッカー代や代車等の費用も含む)
付添看護費 入通院で付添が必要になった際に認められる費用
器具等購入費 治療や後遺症が残った際にかかる費用(車椅子・松葉杖など)
家屋等改造費 後遺症が残ることによってかかる自宅のバリアフリー化などの費用
物損費用 交通事故が原因で破損したものの費用
葬儀関係費 葬儀に関する費用

上記は一部ですが、交通事故に巻き込まれたことで発生した費用は、基本的に請求できる場合がほとんどです。

たとえば、むちうちで病院とは別に整骨院に通って治療している場合、やむを得ないと認められれば、その費用も請求できます。

領収書や明細書をきちんと保管しておき、証明できるようにしましょう。

また、表で示した項目以外で重要なものに、「休業損害」や「逸失利益」があります。両者について詳しく説明しましょう。

休業損害とは|治療のために仕事を休んだ場合の給料を補償

休業損害とは、交通事故でけがをした被害者が治療のために仕事を休まざるを得なくなった場合に、休業しなければ得られるはずだった賃金や収入を「損害」として求めるものです。

休業損害の金額は、休業した日数や収入によって決まります。3つの基準それぞれについての計算方法を一覧表にまとめましたので、参考にしてください。

3つの基準ごとの休業損害
自賠責保険基準 5,700円×休業日数(ただし19万円が上限)
任意保険基準 保険会社によって異なる(自賠責保険基準よりもやや多め)
弁護士基準 1日あたりの基礎収入×休業日数
基礎収入=交通事故前の3ヶ月分の平均給与額÷90(日)

逸失利益とは|交通事故がなければ得る事のできた将来の収入

逸失利益とは、交通事故で大きなけがをしたり、後遺症が残ったり、もしくは亡くなってしまった場合などに認められる「交通事故にあわなければ将来得られたはずの賃金や収入」です。

「手首を骨折し、以前よりも可動領域が狭くなった」など、普通の生活を送れていても、仕事に影響がある場合は認められます。

慰謝料や示談金はいつ受け取れる?

交通事故の慰謝料は、示談書にサインをし「示談成立」してからまとめて示談金として支払われます。銀行口座に振り込まれるケースがほとんどですが、示談成立から1ヶ月、もしくはそれ以上かかる場合もあります。

できるだけ早く示談金を受け取りたい場合、「仮渡金制度」を利用できます。これは、示談が正式には成立していなくとも、受け取れる金額が確定している場合に、「前払い」で受け取れる制度です。

示談金の振り込まれる時期は非常に重要なので、状況にあわせて利用してください。

「仮渡金制度」を利用するにせよ、しないにせよ、こまめに加害者や保険会社と連絡をとり、示談金が振り込まれる時期を把握しておくことが重要です。いつ振り込まれるのかわからない、という状態はないようにしたいものです。

交通事故の慰謝料や示談交渉について、弁護士に頼んだ方がよい4つの理由

慰謝料を増額できることのほかに弁護士に任せた方がよい理由としては、大きく以下の4つがあげられます。

    1.請求できる損害賠償を漏れなく教えてくれる
    2.ストレスになる示談交渉を代行してくれる
    3.後遺症やけがの症状についての知識がある
    4.弁護士費用のために示談が赤字になることはない

1.請求できる損害賠償を漏れなく教えてくれる

交通事故の被害者は、ほとんどの場合が初めての経験なので、慰謝料や示談について、何もわからないのが当たり前です。

とはいえ、何も知らずに保険会社と示談交渉すると、本来は受け取れるはずの金額よりも、少なくなってしまう恐れがあります。保険会社からすれば、支払う示談金は少ない方がありがたいので、被害者から申請されなかった補償まで、わざわざ提示してくることはありません。

その点、弁護士に依頼すると、どんな補償が申請可能かを漏れなく教えてもらえるため、結果的に納得できる金額になります。

2.ストレスになる示談交渉を任せられる

保険会社との示談交渉は、仕事中など関係なしに、何度も連絡がかかってくることもあり、大きなストレスを感じている方が多いようです。

一方で、連絡がなくて不安になったり、対応の悪い担当者の言動に不快感を持つケースも目立ちます。

弁護士に依頼すれば、保険会社との示談交渉を代行してくれるので、こちらが連絡をとる必要はなくなります

任せてしまえば、あとは弁護士から進捗の連絡を受けるだけなので、ストレスもなく安心です。

3.後遺症やけがの症状についての知識がある

交通事故案件に積極的な弁護士は、それだけ経験も豊富なので、けがや後遺障害などについても豊富な知識を持っています。このため、被害者の症状に応じて、適正な慰謝料を算出してくれます。

4.弁護士費用で示談金が赤字になることはない

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する際に、多くの人がデメリットと感じるのは「弁護士費用」でしょう。

「せっかく慰謝料が支払われても、それを上回る弁護士費用がかかるようでは意味がない」と思うのは当然です。しかし、そうした事態はありえません。

なぜなら、弁護士費用は示談金から差し引かれるため、被害者が弁護士に支払うわけではないからです。さらに、弁護士に相談すれば、正式に依頼する前に示談金を計算し、弁護士費用を差し引いても「赤字にならない人」だけが依頼できる仕組みになっているのです。

また、加害者の加入している自動車保険にオプションとして「弁護士特約」がついていれば、弁護士費用は保険会社が負担してくれます(上限300万円)。実質的に無料で弁護士に相談できるので、まずは弁護士特約の有無を確認しましょう。

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